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 日常通り、朝イチでホノカを学校へ送り届けた後、ニケは車を3桁区の郊外へ向かわせた。2桁区の外周を同心円状に切り取る環状鉄道を通り過ぎると、ひなびた住宅街が広がっていた。車を停めなければトラブルに遭うことなく通過できるし、ノンストップでオーランド近郊の別の都市へ向かうこともできる。

 幹線道路の側道に入りランプを降りる頃には途端に道端にゴミがうず高く積もり、行くあてのないホームレスたちが朝の日光で体を温めていた。

 今日の目的地あの銃砲店だった。車を路上に止め離れるのは若干気が引けたが、白昼堂々の車上荒らしや車両盗難はそんなに頻繁ではないらしかった。貧しくも善良な市民が多く往来おうらいしている。

「いらっしゃい。ニケさん、待ってましたよ」

 銃砲店の入り口のドアを開けると、錆びた音色の鈴が鳴りとかぎ鼻店主が慇懃な挨拶をした。

「時間どおりですね、ニケさん。さすが軍人」

「この時間は道が空いていたから。で、この前に頼んだ仕事は?」

「ええ、もちろん。仕上げていますよ」

 かぎ鼻の店主は老眼を脇に置くと、帆布はんぷのテーブルクロスにニケが先日預けていた骨董品の拳銃をうやうやしく置いた。

「アモイ九八、なかなかの名銃です。軍が正式採用を取り消してしまったのがもったいない。ま、それもこれも業界ギョーカイの力学というやつですな、カカカ」

 ニケは銃を手に取った。やはり5年も連れ添った銃なのでよく手に馴染んだ。バックパックには剣を入れて持ってきているが服の下で隠し持つならやはり拳銃に限る。

遊底スライドがかなりスムーズになっている。注油だけじゃないだろう」

「へへ。こーみえてサカイ工廠で設計しておりましたので。干渉していた部品を削って調整しときやした。だいぶ型式が古い。その時代のは全て一品仕上げオーダーメイドでしたからねぇ。大量生産品の部品とは相性が悪いんですよ」

 さびれた郊外に小さな店を開く名工。いろいろと事情がありそうだったが聞かずにおいた。

 かぎ鼻の店主は手書きの明細を指先で確認しながら説明をしてくれた。

「激発ピンが劣化していたので交換して、銃身もクリーニングしておきました。以前に軍規格の部品に入れ替えておられれますね? 軍に納品されるのは純正パーツで、値段が高い割に耐久性が良くない。ま、随意契約の弊害ってやつですわ。予備のピンも2本付けておきますね。軍人さんはいろいろ激しい使い方をされると思うので。この世代のオリジナル部品は耐久性が低いのが難点ですが、今ではいい社外品が出ていますので。へへへ」

 明細に記された値段も法外という値段ではなかった。額面通りの紙幣を渡し、細かいお釣りは店主に渡した。

「ところで、裏社会には詳しいのか?」

 ニケは2つ用意した弾倉に弾を込めながら言った。

「まぁ、詳しいってほどじゃないですが、ここらで生きていくには知り合いが多いほうがいいってこともありやして。わざわざ足を運んでくれたのはそのために?」

 店主の瞳孔の動きから緊張しているのが見て取れた。

「別に、ガサ入れしようとかそういうのじゃない。俺はもう軍警察とは関係がないただの一兵卒だ。ここに来たのも、他に信用できる銃職人ガンスミスを知らないから。いや、あんたの仕事が確かなのは認めるが」

「じゃあ、ニケさんも裏稼業に興味が?」

「違う、不正を働く軍人と一緒にしないでくれ。ただ、人探しをして欲しい。だれかそういうツテに詳しい人を知っているかと思って」

「はて、人さらいではなく人探しですかい? だったら2桁区の方にも探偵事務所や興信所があるでしょう」

 かぎ鼻の店主は、人探しのアテがあることを否定しなかった。

「強化兵のオリジナルになった人物を探している。ほらこの前、一緒に来た強化兵の子だ」

「ははーん強化兵ですかい。『あなたの代わりに分身が戦います ただし生体提供は年に1度まで』っていうテレビの広告でしょう。知ってやす。でもそーゆーのは軍に依頼したほうがいいんじゃないですかい?」

 はぐらかしている──ニケは小首を傾げてかぎ鼻の店主を観察した。

「ここで何かを見聞きしたとしても口外はしない。約束だ。ブレーメンは約束を守るし嘘もつかない」

「そういう方便ほうべんでは?」

「そういう習性だ。ヒトが美女を見るたびに、■■■が起立するのと同じように、皆そういう習性だ」

「見るたびに起立はしませんけどねぇ、実際」

 そうか。少し勘違いがあったらしい。軍警察の先輩から教わったことは真に受けないほうが良さそうだった。

「ただ、うーん。裏社会となりますと」

「金なら払う。まあ、払える額には限りがあるが」

 すると店主はハッとなって、まるで遊底から飛び出したスプリングのように、駆け足で店のブラインドを閉め、「閉店」の札を表に掲げた。

「実は、強化兵を工場から横流ししている連中がいるんですよ」

「それはさすがに見過ごせない」

「まあまあ、強化兵なんざ軍に何十万人もいるでしょう。年にほんの数人だけですや。マフィアは愛玩目的でそういう横流しされた強化兵を買うんです。素性を辿られないクローンってのは何かと便利ですし。愛玩って意味、わかりやすか?」

「ああ、分かるから続けてくれ」

 ニケは苛つき焦る心を落ち着かせた。

「へへ、あっしも同じ気持ちですよ。で、横流しする連中が酒に酔った勢いで話していたことによると、献血者リストってのを軍は保管してまして、やつらは職務上、そういう書類を閲覧できるそうなんですよ」

「バレないのか」

「さぁて。うまくいってるからバレないんでしょうねぇ。書類は用意しても誰も確認はしないとか。だから健康上の不備があったり、なくてもでっち上げて医務室に送りそんでこっそり工場から回収する。人数が減った分はリストをでっちあげる、と」

「で、いくら欲しいんだ?」

 それ以上、命を売り買いする所業を聞く気は無かった。しかし店主は頭を振った。

「交換条件ってのはどうですかい? 最近、別の地区からふらっと現れた新興ギャングがいましてね。腕っぷしだけの荒っぽい連中のせい今までの秩序が崩れているんです──」

 そういえば、最初に来たときも店主はそれらしいことは言っていた。

「──で、ニケさんにはそのギャングの親玉を懲らしめてほしいんですよ」

「つまり俺が新興ギャングを懲らしめ、あんたは旧来のギャングから報奨金をもらい、その報奨が強化兵の密売組織に渡ると。そうすればここいらの治安は以前に戻り安心して商売ができるし、ギャングに顔を売ることもできる」

「へへへ、お察しがいいようで」

 悪の組織のサプライチェーンは、まるで蜘蛛の巣の迷路のように無駄がなかった。利益という一点で繋がりそこに法や良心は存在しないらしい。

 こんなことが軍にバレれば一発で懲戒処分になる。うまく立ち回らなければならない。

「で、そのギャングの根城はどこだ? ちょっと潰してくる。ヒト相手に戦うなんてわけ・・ない。何本か骨を折ればヒトはもう動けなくなるから」

「ちょ、ニケさん、そんな簡単な話じゃないから交換条件なんですや」

「と、言うと?」

「ギャングの首魁しゅかいはブレーメンなんですや」

「それは……事実なのか?」

「ええ、緑の瞳に青く輝く武器を持ち、逆らった者の粉砕された死体が積み重なっている、とか。ギャングの鉄砲玉たちもみな返り討ちに遭うっていうんで震え上がっているですわ」

 若草色だ、とニケは心の中で反論した。

 店主からギャングの根城のおおよその位置だけをメモでもらった。強化兵の生体サンプル寄附者の追跡にはしばらく時間がかかるらしい。ブレーメンのギャングの首魁探しも、時期を見て動くことにした。

 軍警察時代の教官の電話番号を調べ上げるだけでも1週間かかったが、しばらくは3桁区でギャングや分離主義者たちの一斉摘発はしばらくなさそうだった。暗殺まがいの行動も軍警察に悟られなくて済む。

 1日外出する、とノリコさんに告げて家を出た。最近は2振りの刀を持ち歩いているお陰で特に怪しまれることはなかった。

 目的の地区まで幹線道路をひた走り、道をそれて廃工場の並ぶエリアまで来た。車を降りると、どこか遠くから工事か工場の作動音はするが、廃工場はがらんどうでめぼしい換金できそうなスクラップはあらかた持ち去られていた。それでもどこかからか視線をひたひたと感じる。ニケは2振りの刀を革紐かわひもで固定した。

 周囲を警戒しながら古いコンクリート工場の敷地を歩いた。錆びたトタン屋根と鉄骨、窓ガラスは割れて落書きグラフティーも風化して元の色彩がわからない。

 工場の裏手は採石場らしかったが、沼地のように水がたまり、廃工場から流れ出る汚水と混じり合い鼻につく刺激臭を醸し出していた。

 ニケは歩みをピタリと止め、正面に林立する鉄骨の塔を見上げた。樹木に絡みつく蔓植物つるしょくぶつのようにパイプが複雑に交差し天を目指している。

「そこに隠れているのはわかっている! ヒトのニオイが漂ってる。ひどく緊張したニオイだ」

 天高らかに告げた。剣舞の前にある前口上のように、ニケの言葉は風に乗って響いた。

 すると物陰から、一様に目出し帽を被ったギャングたちがのそのそと這い出てきた。ゴミ箱を叩いたら這い出てくるアブラムシのように、それらは連携すら感じない素人の動きだった。

 手には各々、ばらばらな武器を持っている。民間用のセミオートライフルや拳銃、軍から横流しされた制式ライフルなどで武装している。弾薬がバラバラで兵站はどうなっているんだ、と職業柄不思議に思ってしまう。更に言うと隣同士が近すぎる上に射線に敵同士が入っている。まったく戦闘訓練を受けていないど素人集団で、銃さえ撃てれば問題ないという程度の知能だった。

 彼我ひがの距離は2丈ほど。主刀を抜きつつ一歩で飛び込める。しばく・・・だけなら刀はいらないかもしれない。

「お前たちの首魁しゅかいに話がある。交渉できるならお前たちに怪我をさせないで済む。見ての通り、俺はブレーメンだ。本気を出せば10秒で、ここにいる全員の首と胴体を斬り離せる。死にたくなかったら手を出さないことだ」

 戦いを前にして妙に心は落ち着いていた。10秒、とは言ったものの亡き父に言わせれば5秒でかたを付けないと叱られそうな程度の難易度だ。

 ギャングたちは互いにごそごそと目配せをしている。撃とうと思えば撃てるだろうが、もしそうなればどういう仕打ちを受けるか低い知能でもわかるらしかった。

「そう、お前らは手を出すんじゃあねぇ」

 野太く粗野な大音声だいおんじょうだった。鉄塔のてっぺんで人影が動きそれが真下に落下してきた。舞い上がる砂埃の真ん中に筋骨隆々な大男が立っていた。ブレーメン特有の若草色の瞳に、ヒトと比べてやや茶色がかった髪をしている。その髪をテカテカに撫で付け前髪を高く上げることで威圧感とともに青臭いギャング、というより不良少年のような幼さも見て取れた。青く輝く棘付き鉄球メイスを軽々と肩に掛け、ニケを睥睨している。

 乾いた風で白い特攻服がはためく。その袖口や背中にはたくさんの名前が刺繍とともにドクロマークのワッペンが貼られ───たぶんこれまでほふってきた犠牲者だろうか。どれもヒト式の名前ばかりで、弱いものを叩いてのぼせ上がっているようだった。

「かっ! ブレーメンのニオイだ。ヒぃーャ! くせぇヒトとはぜんぜん違げぇ。カァいつは、くぜぇ。ヒーャ!」

「ひどく下品だ」

 ニケはブレーメン特有の罵倒語ばとうごに顔をしかめた。シィナもときどきそんな口をきくが、ヒト社会での罵倒語は知能の低さの現れだった。

「るっせぇ、おりこうさんぶってんじゃねーよ、どつくぞこら! てめぇみたいなクルアィがいちばんむかつくぜ」

「お前はトラ、ギャングの首魁のブレーメン。ふむ、事前情報通りで間違いなさそうだな」

 ニケはなおも冷静にブレーメンの巨漢を眺めていた。対峙するトラは太い血管が浮き出て人相も獣のような鋭さを浮かべている。そして瞳は金色の輝きを蓄えた。

「クルアィ、ぶっ殺してやる!」

「いや俺としてはこの地区からお前らが去ってくれればそれでいいんだが」

 しかしトラは聞く耳を持たず、

「トラ・カトーが参る。尋常に勝負!」

 雑に武器を構え、剣技比べの前口上だった。ニケは戦いは避けられないと理性では残念と考えつつも煮えたぎる闘争心が発露する機会を得て、心が踊っていた。

「ニケ・義・サトー。刃前じんぜんちぎりを持っ──っと!」

 まだ前口上の途中だというのにトラは手に持つメイスを振りかざし果敢に突貫してきた。

 考えなしの力づく。軽くて重い棘付き鉄球メイスが豪快に振り回される。その軽い一振りで錆びた鉄骨の山が宙に舞い上がり重い音を立てて地面に落下、突き刺さる。トラの部下のギャング共は右往左往、怪我しないよう逃げ回るのが精々だった。

 ほんの一瞬の速さだった──それよりも先に速く、ニケはを蹴って回避してトラの背後に立っていた。

「どのみち、そうやってヒト相手に弱い者いじめをしていたんだろう。ひどい戦い方だ」

 ニケは主刀を引き抜くとあえて刀身の腹が見える角度で構えた。きらりと日光が反射し青く輝く刀身が白く変わった。

 典型的な戦術だった。獣と対峙するときあえて目を剣に向かわせる。そのわずかなスキに間合いを詰める義式の剣技。トラ相手ならそんな戦術が効くと思った。

 ニケの瞳も金色に輝いた。そして地面を蹴る──光の残像を残してトラに急接近した。

 主刀を振り抜く──棘付き鉄球メイスで弾かれる/分かっていた。

 トラの足が止まる──剣技比べにおいてはの足運び。戦いは腕と剣をふるうだけじゃない。足で間合いを作る駆け引きも同じぐらい重要だ。

 振り抜いた主刀で重心を狙って牙突──トラがさらに一歩下がる/誘い込むのでなければ足を下げるのは下策。

 機はこちらにあり──意外にもトラは崩れた体勢から体をひねって足技を繰り出してきた。ニケの顔から数寸という近さで、鉄鋲てつびょう付きのブーツが繰り出され、外れた足は鉄骨をくの字にひんまげた。

 ニケは間合いを取るため後ろへ飛び抜ける──視線はトラを捉えままのハンドスプリング。

 体術もあり──本来の剣技比べなら反則だが右手で主刀を逆手に構え、左手の拳を握りしめた。

「ヒーャ! その刀もとっとと抜きやがれ! いやらしぃかー」

「黙れ、ゲス野郎」

 品性も学びも皆無な剣技比べなんて、関わっているだけで恥だ。負けなんてありえない。

 勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝……。

 全身の血が沸騰したかのように熱くなる──地面を蹴って肉薄/トラもメイスを振りかざした。

 2人が刃ととげを交えるたびに甲高い金属音が鳴り、風が渦巻き、砂塵が舞った。

 トラの技はとても剣技とはいえない。しかしブレーメンの中でもさらに体格と筋力に恵まれ、スピードとパワーはニケを凌駕りょうがしていた。

 牙突&牙突。刀の切っ先がメイスに弾かれた瞬間、トラが反撃を繰り出そうと動いた──読み通り。

 ニケは左手で隠し刀を引き抜き横撫で切り裂いた。剣技の基本の型通り、相手は首筋か腹かどちらかを守らなければならない。そのどちらか五分五分の確率で致命傷を負わすことができる。

 ニケは──首筋を狙った。ただ吹き出してくる臓物と返り血を浴びたくないというただそれだけの理由だった。

 コンマ数秒のり取り──トラは上下のどちらも守ろうとしない。反撃できるという体勢でもないのに。

 ニケの隠し刀の切っ先はあえなく空を斬った。トラは後ろ後方へ振り返ること無く飛び上がり、廃工場の壁を突き破って屋内に逃げた。

「こざかしい」

 ニケは唇を噛みながら隠し刀を鞘に収めた。トラの後ろは壁だと思っていた──ブレーメンの体躯を駆使すれば工場の細い鉄骨と石膏せっこうボードなんて紙みたいなものだった。亡き父が見ていたら今の失態をどやされていただろう。

 しかし亡き父の思い出が思い浮かぶたびにニヤリと口角が緩んだ。楽しかった剣技、日々上達し負け知らずだったあの頃。

 ニケは主刀を握り直すと笑みをこぼしながら廃工場の屋内へ侵入した。

 屋内は薄暗く、破れた屋根から光がまっすぐ差し込んでいる。そのコントラストの差で一瞬 視力が無くなった。

 しかし耳は重たい風切り音を捉えていた。首を下へ引っ込めると、すぐ頭上を鉄骨が振り抜かれた。支柱の柱、柱、柱を破壊していく。振っているのはトラだった。鉄骨はぐるりと一周して軽々と槍のように飛んできた。

 ニケは半身で飛んできた鉄骨を避けた。はるか後方まで飛んでいき、トラの部下のギャングたちが隠れて群れているど真ん中の地面に突き刺さった。古びたアスファルトがめくれあがった。

「お前、なんでもありなのかよ」

「勝てればいいんだよ、勝てれば!」

 再び鉄骨の柱が直線的に飛んできた。ヒトならともかくブレーメンの剣士に対しての攻撃じゃない。

 ニケは刀を振るった。途端に空中で鉄骨が両断される。薄暗い屋内に一筋の青く輝く残像が引き伸ばされる。

 更に一歩──ここはトラの間合い。あと一歩でニケの間合いに立てる。

 メイスが振り下ろされる。前後左右どちらの避けようともトラの手中キル・ゾーン

 しかし義式剣術はあえて相手の間合いに飛び込む技。そしてニケが個人的な工夫も凝らしている。この5年間、ブレーメンの力の触媒となる剣無しで戦ってきた。剣に頼らない力の出し方を知っているしそれ以上の力の出し方も直感的にわかっていた。

 髪先がメイスの棘に触れて切れた。地面を蹴る。息を止めすべての力を一点に集めた。

 ブレーメンの視覚でも捉えられない速さだった。瞬時にニケはトラの後方へ躍り出ていた。そして両手には刀が握られ、トラの両腕の腱が切り裂かれ薄い血の筋が空中に踊った。

 全力。

 ニケはやや上段気味に蹴り上げた。トラの巨体は空を裂いて吹っ飛び廃工場の壁を突き破って外に飛び出た。

 長らく止めていた呼吸を再開──興奮をもよおすホルモンが体中を駆け巡っている。

 しかし──勝ったと思った時ほど心を落ち着かせなければならない。これは亡き母の方の教えだった。母の受け継いだ剣術では冷静に敵を見、的確な一撃を加える術だった。そのせいか剣術の指導方針の対立は父母の流血沙汰の剣技比べで決着を付けていた。

 その頃の剣技比べよりもはるかに粗雑で恥ともいえる終わり方だった。

 廃工場の外ではトラの部下たちが半円形になって囲み、半ば脱いだ目出し帽から恐怖の表情が見えていた。トラの体のあちこちには折れた窓枠が突き刺さり、髪もべっとりと血で濡れていた。

「俺の勝ちだ」

 ニケは残心の構えを崩さず、刀の先はトラを向いていた。

「だぁあぁぁ湧いたぜ湧いたぜ湧いたぜ。斬れさあ斬れ。コのサイコーの気分のまま殺せ」

 トラは地面に横たわったまま笑っている。

「バカか、お前は」

 ニケはトラの横に落ちていたメイスを拾うとぽん、と遠くへ放り投げた。放物線を描きポンプ小屋に着弾した軽くて重いメイスはその小屋のすべてを破壊した。

「俺は殺しに来たわけじゃない。交渉しに来た。お前らが荒らし回っていた地区の商人たちは善人であり秩序を大切にしている。彼らを苦しませるようなことをするな。でないと本当に殺すぞ」

 しかし半ばでまかせだった。ヒトならともかく同族を殺すことなんてできるはずもない。

「小難しいことをべらべらと。ヤるならとっととヤりやがれ!」

「はぁ、まったく。どうしてブレーメンなんかがギャングの親玉をやってんだよ」

 すっかり興ざめてしまった。ニケは刀を鞘に収めると、距離を取って血溜まりに横たわるトラを眺めた。

「クルァィ。サイコーじゃねぇか。このヒト共は力を見せつければ俺の子分になっちまうんだぜ。よわっちぃくせに『親分のためにー』って。じゃけん、俺も一肌脱いで親分らしくいなきゃいけねぇ」

 バカなりの正義心、といったところか。

「じゃああの武器はどこで手に入れたんだ。お前、剣技を受け継ぐ家系といわけでもないだろう」

「東方部族だ。やつらの刀鍛冶は何でも作ってくれるからなぁ」

 どうりで見たことのない武器だと思った。比較的ヒトの文化圏に近い西方部族と違い、東方部族は何かと荒っぽい。同族のブレーメンを襲うことはないにしろ敵愾心てきがいしんに満ちている。

「そんなに権力が欲しいなら軍にでも入ることだ。テウヘルを殺せば殺すだけ周りから褒めてもらえるし認めてもらえる。お前みたいな平凡なブレーメンでも、力だけでのし上がれる」

「何! 軍、だと。そりゃいったいどこのギャングだ?」

 ブレーメンとは思えない低い知性と短絡さだった。

「軍だ。ギャングじゃない。そもそもお前、ギャングは腕っぷしだけじゃないだろう。駆け引き無しで殺すか殺さないかしか考えられない頭でどうやってギャングを取り仕切るっていうんだ」

 すると周囲で数人の部下が同意するように頷いてた。

 トラは、きりっと目に光が宿ると何事もなくすっと立ち上がった。すでに血は止まっている。

 ニケは一瞬だけ身構えたが、

「解散!」

 トラの大音声の号令だった。痛々しい傷を物ともせず、メイスを拾い上げた。

「軍ってのは、どっちに行けばいいんだ?」

「徴兵事務所だ。駅の近くにでもあるだろう」

「よし、わかった!」

 いやわかっていない──トラは足取りだけは確かだが廃工場群の奥深くへ向かってしまった。傷だらけだったが1週間も安静にしていればあの程度の傷、すぐに完治するだろう。

「おい、誰か、ついていってやれよ」

 ニケが唸るように付け加えると数人の部下が慌ててトラに付き添った。

 とりあえず一件落着、か。

 ニケは服についた土埃をパンパンと払うともと来た道へ踵を返した。

「あのーすいません、ブレーメンの旦那。俺たちは?」

 目出し帽を脱いだトラの元・舎弟しゃていの1人がニケに尋ねた。まだ若いヒトでギャングの荒くれ者というより素朴な田舎の青年、というふうだった。

「真面目に学校に行って勉強して働くんだ。あるいは軍に入って何年か真面目に働けば次の仕事も見つかるだろう」

 トラよりも多少は頭の良さそうな元・舎弟たちはばらばらとニケに挨拶の言葉を述べた。

 ニケは車に戻ってハンドルを握ったが、軍の広報のような言い方だったと反省した。思い返せば士官学校だって気性の荒い連中の集まりだった。あの元ギャングたちも性根が訓練で叩き直されるか見ものだった

 3桁区の市道をひなびたアパート群に沿って車を走らせた。そういえばギャングを壊滅させた証拠を持って帰るのを忘れていた。どんなモノが証拠になるかわからないが、あの銃砲店のかぎ鼻店主は説明を並べるだけで納得してくれるだろか。

 いつもの道路脇に車を停め、路地へと入り銃砲店のドアをくぐった。かぎ鼻の店主は挨拶もないままカウンターの向こう側で新聞を読んでいた。しかし掛けるべき老眼鏡はキャッシュトレーの上に置いたまま、読むべき視線もピタリと止まっていた。そして息遣いも荒かった。

 違和感。状況からして何かしら殺気を感じるはずなのに、それら気配が消し去られていた。首を動かさず眼球だけ動かして周りを見たが狭い店内に身を隠すような死角は無い。

 ニケは主刀の鯉口を切った。それと同時に左手で拳銃を引き抜いた。

 しかしそれよりコンマ数秒速く、店の薄暗い影の上に短機関銃を手にした兵士が立っていた。誰もいなかったはずの空間に、左右に1人ずつ、カウンターの向こう側で店主に拳銃を向けている兵士がひとり、そして急に出現した殺気が背後に2つあった。

 心がざわつく。ありえない。誰もいなかったはずなのに。目の錯覚? いやヒトのニオイすらしなかった。

 ギャングの真似事をしたから──否、軍警察にしては動きが早すぎる。いや、軍警察じゃない。兵士は戦闘服ではなく、皆女性でぴったりとした黒スーツを着ている。その記章きしょうは本物を見るのは初めてだった。

近衛兵このえへいか」

「ごめいさつ~」

 背後から聞こえたのはなんとも間延びした、少女の高い声だった。少女はまるで歌うように、

「まあまあ、落ち着いてくださいまし。あなたをどうこう・・・・するつもりはありませんのよ。その銃と刀をしまってくださいまし」

 少女──というより幼女というべき小柄な体格だった。近衛兵部隊と同じ意匠のスーツ姿だったが彼女の趣味だろうか、フリルが付け加えられている。その幼女の手には分厚い札束が握られ、それをカウンターの向こうにいるかぎ鼻店主に向けて置いた。

「ふふふ、これは迷惑料ですの。ここで見聞きしたことはすべて、他言無用です。もしも。もしも、口外するようなことがあれば……」

 幼女は緩慢な動きだったが、瞬時に手を伸ばすと店主の目の前でパチンと指を鳴らした。

「さて、参りましょうか」

 幼女は右腕をニケの左腕に絡ませた。左の手だけに黒い革手袋をしている。そしてヒトの子供とは思えない力でぐいぐいとニケを引っ張った。その瞳は若草色だった。

 まだ頭が理解に追いついていなかったが、

「お前、ブレーメンか」

「くふふ。当たりともハズレとも言えますの」

 店の外や通りには近衛兵が短機関銃を脇に抱えて周囲を警戒していた。いつの間にか屋上にも兵士に似た人影が見える。

 幼女に引っ張られ、さっき乗ってきた車の後ろに止まっている長大なリムジンまで導かれた。3桁区には似つかわしくない、1桁区の上流階級が乗るような高級車だった。

 リムジンの後席は今まで座ったどのソファよりも柔らかくそれでいて体が沈み込みすぎない。ニケが乗り込み、真正面に幼女が座った。

「武器は、剣と銃を持ったままでいいのか」

「ふふふ、その程度でわらわどうこう・・・・できるとでも」

「いや、危害を加えるつもりはないが」

「妾も、あなたが妾に危害を加えられるとは思っていませんの」

 ほんのさっきまで対峙していた粗野なブレーメンとは大違いだった。格の違い、ともいうべき余裕の態度だった。緊張を悟られないように、と意識したが意識すればするほど焦りが出てしまう。

 1回だけ。目を閉じ大きく息を吸い込んだ。

 目を開けると、瀟洒な赤いカーペットのひかれた部屋が広がっていた。理解が追いつかなかった。

 今、たしかに車に乗り込んだはずなのに。瞬きするわずかな時間で別の場所へ移動してしまっていた。それとも薬か何かで眠らされていた? そんなドラマみたいな展開はありえない。ブレーメンにたいていの薬剤は効果がない。

 ここはどこか確認したかったが──首が動かなかった。手や足に拘束具は無い。それなのに高級ソファに縛り付けられていた。筋肉がこわばったというより、透明な器に閉じ込められたような感覚だった。

「妾はネネと申しますの。自己紹介が遅れてしまいました。近衛兵大隊の大隊長という肩書ですが、いわゆる侍従長じじゅうちょうというやつですの」

 幼くも妖艶な声が右耳の近くで聞こえた。その小さな手に体をまさぐられ、2振りの刀と拳銃を抜き取られた。ネネは眼前のローテーブルに並べていく。

 ニケは意思表示をしたかったが声が出なかった。呼吸はできるのに言葉を出そうとすると呼気が喉の奥で詰まってしまう。

「約束は約束ですが、でもちょっとだけ味見をするならバレないでしょう」

 生暖かいネネの呼気が首筋に触れる。そしてヌメヌメとした感覚──舐められている?

「k、クソ、どうなってる!」

「あら、妾の緊縛術が解かれるとは。もしかして剣術だけでなく精神的な修練も積んだのかしら。頑張ったわね、坊や。えらいえらい」

 ネネの小さな手が顎のあたりを撫でている──気持ちが悪い。

「まさか1日に2度もブレーメンに会うなんて」

「そんな、邪険に扱わないでくださいまし」

 ネネが耳元で喋っているせいでゾワゾワする。

「やっと、わかってきた。突如現れた近衛兵。幼い見た目のブレーメン、怪しげな術。マ女だな、お前」

 首筋を撫でまわっていたネネの吐息がピタリと止まった。

「ふふふ、かわいい坊や。妾のことをどこまで知っているのかしら」

 ネネが靴のままニケの膝の上に立った。2人の顔と顔の鼻先がくっつきそうなまでに近づく。

「知っているも何も、ブレーメンなら皆が知っているおとぎ話だ。昔々のブレーメンの戦士団で、ア・メンと会話をして、不老で、怪しげな術を使い、そしてブレーメンを裏切ったマ女」

年端としはもいかない小童こわっぱに知ったふうな口をきかれると、さすがに看過できませんわね」

 キリリと、頭痛が走った。ネネが左腕の革手袋を取った。その下は器用に動く義手だった。手首から先がオリハルコン神から与えられた聖剣と同じ材質の青い光を放つ金属だった。継手つぎてのない彫刻のような形だったが生身のように自在に動いていた。

 ネネはニケの頭を両手でつかんで締め付ける。そして──幼女は牙を向いた。鋭い犬歯はブレーメンともヒトのものとも違った。

「そこまでです、ネネ。粗相そそうはしないと約束したでしょう」

 澄み渡った、それでいて聞き覚えのある声だった。

 ネネは観念したようにニケから飛び降りると、パチンと指を弾いた。とたんにニケの体を縛っていたかせの術が解け、その反動で飛び上がるようにして振り向いた。

「リンの、声? だが、お前は誰だ?」

 簡素だが上質な布と色合いのドレス、珍しい金髪の髪とふっくらした体。面影も年齢もリンと同じぐらいだったが声色もよくよく聞いてみたら違っていた。

 その高貴そうなふるまいの少女はぺこりと会釈をした。

「お初にお目にかかります。しかしながら、自己紹介というものにいささか慣れておらず。ええと、わたくしの名前はキエ。キエ=キルケゴール。連邦コモンウェルスおうです」

 予想外の状況──予想外の人物。

「初めて見た」

「そうですね。テレビに出演する際は顔を隠していますから」

「どうしておうがリンとそっくりなんだ」

 ニケはキエと、その横で片膝を付いて頭を垂れているネネを順々に見比べた。

「いわゆる、不手際といささかの手違いがあったのです」

「リンの生体提供者が、おう? おうも献血をするのか」

 しかしネネがニケの足首あたりをぱしぱしと叩いた。

「小童、陛下を前にして不敬です」

 しかしキエは慇懃なネネをたしなめた。

「良いのです。ブレーメンの流儀は心得ています。人の上に人を作らず。皆が平等な社会です」

「いや、ヒトの言う階級はないが剣の強さという絶対的な階級はある。常に強さをお互いに比べ合っている」

「あらま、そうでしたの。もういちど勉強せねばなりませんね」

「しかし、だ。今は俺はヒトの社会で生きている。いち兵士として敬意を示さないと。節度は大切だ」

 ニケもネネに倣って片膝をつこうとしたが、キエがその両手を包んで止めた。リンのように厚い皮に覆われた手じゃなく、柔らかくほっそりした手だった。

「わたくしの健康診断用の血液がどうやら強化兵製造ラインに混入してしまったようで。わたくしはしかたがないと思ったのですが侍従長ならびに宰相さいしょうは良しとせずずっと探しておりました」

「探すって、リンは少なくとも製造されてから6年以上経っている。そんなに時間がかかったのか」

 キエは答えに困っていたが、ひざまずいたままのネネが助け舟を出した。

「強化兵の製造に当たり組織的な横領があったようですの。そのせいで生体の入荷データ、育成、出荷先などがばらばらになっていました。それにこうした不手際をおおっぴらに調査をするわけにもいきません。泳がせていた不正職員を監視していた所、陛下によく似た写真を持っていた者があらわれましたの。その依頼を順々に辿って、それで小童に行き着きましたの」

 ということは銃砲店に入ったあたりから監視されていたわけか。

「近衛兵が急に現れたのも、マ女の秘術だったというわけか。天幕から現れる業魔と同じただのおとぎ話だと思っていた」

 しかし、キエは握ったままだったニケの両手をギュッと握りしめた。弱々しい力のはずなのに簡単には振りほどけない。

「いじわるはめっ・・ですよ。ネネを悪く言わないでください。ネネはわたくしたち・・によく尽くしてくれております。訳あって仔細をお話するわけにはいきませんが忠義に厚いブレーメンであり侍従長です」

 ニケは観念して、適当に理由を言ってキエの両手を振りほどいた。

「で、これからどうなるんだ? リンの──お前たちが探してた強化兵は皇の影武者にでもなるのか?」

「前例がないのでまだわかりません。まだ宰相には話していないのです。彼に知られればすくなくともそういった待遇になるはずです。あるいは……」

 廃棄処分。罪の1つさえ犯していない。その上連邦コモンウェルスのために命をかけて戦ってきたのだ。廃棄されるいわれはない。

「ですが、大丈夫なのです。わたくしはなんといっても連邦コモンウェルスの皇なのですから」

「だが、連邦コモンウェルスの政務は貴族院と宰相が担っていて、皇はあくまで統合の象徴じゃなかったか」

「はぅ……」

 そう学校で習った。何を統合するのかとヒトの教師に訊いたことがあるが、乱れがちな人心をまとめるのだ、と曖昧な返事しか聞けなかった。

 事実を述べただけだがネネはしきりにニケの足首をぱしぱしと叩いている。

「陛下、それと小童も。仮にそういった状況に陥れば速やかに彼女をオーランドより逃します。コーンランド、タムソムあるいはソリドンブルグのセーフハウスにほとぼりが冷めるまで匿います」

「わたくしは、まだ会ったことのない妹に、生きていることが罪だと思ってほしくないのです。せっかく人として生を受けたのもなにかの縁でしょう」

「妾は縁ではなく偶然だと思いますが。それに強化兵ですしそこまで深い思考はないかと」

「ネネ、そういう言い方はめっ・・ですよ。命は皆 尊いのです」

「俺もキエに賛成だ。リンは優秀な兵士だがそれ以上に彼女自身の個性を獲得しつつある。モノとしてぞんざいに扱ったらどう転ぶか見当もつかない。最悪、分離主義者に肩入れしてしまうとか。だから俺からの希望は、リンを1人のヒトとして扱ってほしい。」

「あなたもそう思いますよね!」

 キエは嬉しそうに、再びニケの両手を包んだ。リンと似た声と顔立ちなせいかどこか面白かった。

「なぜいちいち手をつかむんだ」

「こ、これは! 普段 人と関わりが少ないせいなので。人の体温が懐かしいというか温かいというか」

「温かいのは俺がブレーメンだからだろうな。ヒトより体温が高い」

 しかしニケはおうの手を振り払うことができなかった。子供のときに読んだ鳥かごに囚われた小鳥の話とキエの生き方がつい重なってしまった。友達のいない小鳥は、籠に寄ってきた夜鷹を友だちだと勘違いしてしまう。おそれを知らぬ小鳥は籠の蓋を夜鷹に開けてもらい空へと飛び立つが夜鷹に騙され食われしまう、という救いのない童話だった。

「あの、ですね、ニケさん。お願いがあるのですが。実は──」

「しかし陛下、我が君。少々お戯れがすぎるかと」

 ネネがすかさず言葉を挟んだ。

「いいじゃありませんか、ネネ。少しくらい。じゃあこうしましょう。わたくしの自由をひとつ見逃す代わりにネネの粗相もひとつ見逃しましょう。次にもし若い男に会ったら血を吸ってもいいですから」

 ピクリ、とネネが反射的にニケを見た。

「あ、ダメです。めっ・・ですよ、めっ。次と言ったでしょう」

 キエはまるでこれは自分のおもちゃだ、とでもいうようにニケの両手を掴んで引き寄せた。

「で、頼みとは?」

 にこりと、キエの口角が緩んだ。

「わたくし、遊園地に行きたいんです」

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