明日に向かう希望の為に戦う僕たち~最後の最終決戦親友との和解と悲しみふける~

黒金 影輝

親友との最後の最終決戦

 俺は、魔王の魔法により現世に戻されてやっと帰ることが出来たのもつかの間。

 魔王は、部下達をどんどんと召喚魔術により呼び出して、大量虐殺をし始めた。

 なんとか、俺と異世界で旅をしてきたもので防ごうとするも、魔王軍の部下の数は多くて阻止することができない。


「なんで……こんなことをするんだよ! なんで……優しかった類が……なんで!!」


 魔王は、ニヤリと不気味な笑みを見せて叫ぶように俺の質問に返答する。


「お前には、分からないのか……この世界の、腐りきった現実が! 人間は、戦争により罪のない者を殺し。そして、貧困の格差により飢えて死んでいく……それに、加えて親や周りにより犯罪者が増えていく! こんな世界は、終わらせるべきなんだ!」


 俺は、その言葉には反論出来なかった。

 それは、友達が言ってるからじゃない。

 それが、この世界の現実で実際に苦しんでいる人々と、悪人が蔓延っているからだ。

 これだけは、変えられないどうあがいても。


「だからって! 世界を滅ぼして良いわけない!」


「ふん! 別にいいさ……そんなの」


 親友は、変わってしまったのかもしれない。

 それか、俺は親友の本当の気持ちを理解してなかっただけ……なのかも。


 そんなやり取りをしていると、魔法使いの仲間マホル・トークも召喚魔術を使い、異世界の住人を呼び出して劣勢をどうにか持ち直す。

 だが、お互いの力は互角なのか全く決着はつかない。

 そして、魔法で燃やされて死んでいくもの剣や斧で斬り殺されるていくものの死体が増えていく。

 その光景は、まさに地獄のようだった。


「フハハハハ!! いいぞ! この光景こそ! 人間の真の姿だ! 醜く争い、そして蔑み蹂躙じゅうりんする!」


 魔王の笑い声が響き、剣と剣のぶつかる音と人や魔物が斬られ音と、火の魔法により燃やされて焦げていく臭いが周りに広がる。

 俺は、それでも立ち尽くす出来ない、だって親友とは戦えないから。


「しっかりしろ!」


 その時、一番最初に声をあげたのは斧使いのマッシュ・スーだった、だけど俺はその彼の言葉は響かなかった。


「そうです! 私にとってあなたは、英雄なんですから!」


「そうよ! それに、あんたは私達の世界を救ってきたじゃない!! そんなあんたが、魔王一人ぐらい説得できないわけないじゃない!!」

 

 そう、魔法使いのマホルは英雄と俺を呼び、女剣士のサラサは俺の冒険を思い出すかのように、励ましてくれた。

 そうだ! 

 俺は、数々の旅をしてきて沢山の仲間と出会い、色々な困難を乗り越えてきたじゃないか。

 それに、俺には仲間がいる。

 マッシュ、マホル、サラサ皆がいるじゃないか!

 俺は、気を奮い立たし剣を思いっきり握り直して、親友であり魔王のルイスに向ける。


「君を止める!! そして、こんなことはやめされる!!」


「あははははは!! 出来るものならやってみろよ! だがな! これで終わりだ!! ジャッジメント!! ザ!! アース!!」


 魔王は、地面に手をつけて地震を起こす。

 やがて、地面は割れていきマグマが現れて吹き出す。


「なんで……なんで、こんな事をするようになったんだよ! あんなに、類は俺に優しくしてくれたじゃないか!!」


「お前に……俺の、何が分かるんだよ!! 俺の苦しみと怒りが!!」


 魔王は、そう言いながら魔法を繰り出して、俺と自分自身を別の空間に飛ばした。

 そこは、白い壁と床が広がっているだけの場所で、他には何もない。


「フハハハハ!! これで、お前も現世の住人は守れないだろう。残念だったな!」


「なんで……なんで、こんな事をするんだよぉぉぉぉ!!」


 俺が、そう叫ぶも魔王には届かなかった。

 魔王は、更に俺に絶望を与えるため、魔法で四角いモニターみたいなものを出現させて、外の映像を見せてくる。

 そこに映っていたのは、地面が割れて地球のマグマが剥き出してなっていて、燃え盛っていたあの光景で今にも世界が終わりそうな感じだった。


「やめろぉぉぉぉ!!」


 俺は、一心不乱に剣を振り回して攻撃するも、魔王の持っている黒い剣でそれを防がれる。

 お互いの剣は、ぶつかり合い弾かれる。

 そして……せめぎあう。


「やめてくれ……こんな事は、類も望んでないだろ!」


「はん! 馬鹿馬鹿しい! そんな説得意味ないだろ!」


 俺は、この親友に現世で救われてきた。

 学校のいじめや、家族の問題も救われてきた。

 今度は、俺が親友を救うんだ!  

 その、憎しみから。


「確かに、意味がないかもしれない……だけど! 俺は、親友だ! それに、俺は類に苦しい時救われてきた……だからこそ! 類は、こんな事をする人間じゃない! 何か、あったんだろ! そうだろ!」


「何が言いたい! 何が……」


 魔王は、そう言いながらも俺の質問に答えた。

 類が、何があってこうなったのかを。


「俺も……現実を知った時悲しかったんだ……ゆうみたいな、人間が増えていきやがて怒りと悲しみが世界に溢れていくのが……戦争といじめと犯罪がある世の中が……だけど、雄……今のお前を見ていると、それは違ったみたいだ……だから……俺の命を使って、現実世界を戻すよ……」


 魔王ルイスは、そう言いながら魔法を使い現実の世界に俺と自分自身を戻し、心臓辺りを光らせてそのエネルギーを地球の地面に放つ。


「やめろぉぉぉぉ!! やめてくれよ……類が居なくなったら……誰も、友達が居なくなるじゃないか……」


「お前には、もう大事な仲間がいるだろ……それに、俺の命のエネルギーを使わなきゃ。地球は消えてしまう」


 魔王ルイスは、そう言って自分の光を手に集めて、それを地球に注ぎやがて地球は元の姿に戻るが。

 俺はその場に、立ち尽くし茫然とする。


 そして、仲間達も自分の元に集まってきて声をかけるが、俺はその声には反応することができなかった。

 たった一人の、大事な親友が死んでいったと言う悲しい現実をまのあたりにして……。

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