第75話
さて、そんなこんなで服屋や美容院、飲食店など様々な店が立ち並ぶ区域にまで引っ張られたわけだが...
「それじゃあまずは...服屋に行きましょうか」
「服屋?いきなりだな?」
「だって貴方、今もそうだけれど着物ばかり着ているんだもの。日常的に着物を着ている人は少なくはないけれど、洋服も似合うでしょうから持っておいた方がいいわ」
「いや...俺は別に...」
「あら?洋服一着でも持っているのかしら?」
「モッテナイデス...」
「ならきまりね。早く行きましょう」
服屋...かあ。服なんて親が買ってきたやつ以外だったら、某有名ファッションセンターでマネキン買いくらいしか覚えがないぞ?
__________________________________________________________________________________
などと考えているうちに、あからさまにブランド品扱ってそうなオシャレな店に連れてこられてしまった。
「なあ、菫?ここは俺にはハードルが高いと思うんだ」
「何言ってるの?ハードルなんて高くないわよ。それに貴方の家格だったら一流ブランドの品物だって買い放題...それどころかオーダーメイドだって融通効かせられるでしょう?私の家でも出来るのだから無理とは言わせないわよ?」
「ん?そうなのか?」
言われてみれば確かにそうだな?俺と父さんはともかく母さんや紗季さん、紗枝なんかは和服と同じ頻度で洋服着てたし、洋服も随分質良さそうだったしな。
それに、刀とかの装備品のオーダーメイドを早く融通して作ってくれるって考えたら、普段着る用の洋服のオーダーメイドくらい問題ないか。系列店的な扱いしてそうだし。(本当に質のいい服は退魔師用のでなくても蜘蛛やら芋虫やらの妖から取れる糸を使って作っているため)
あと、霊薬や触媒で金使うとはいえ、入ってくる金額考えたら使って経済回さないととかもありそう。
「ふむ、考えてみたら確かにそうだな。んで、服選ぶって言っても俺にセンスはないぞ?」
「はいはい、そのぐらい予想はつくわよ。だから今日は私が選ぶの。大人しく着せ替え人形になっていなさい」
「はーい」
これって相当時間かかるやつか?まいったな。
長時間の拘束が決定した俺は、仏頂面のまま菫に手を引かれて服屋に入った。
__________________________________________________________________________________
それから一時間、みっちりと着せ替え人形にさせられ何着かの服を買うことになった。
ちなみに、今着ているのも選んでもらったうちの一つで白の半袖無地のTシャツに細めの黒の長ズボン、そして七分丈の生地の薄い黒のパーカーとなった。あと、今更だが菫はスーツから淡い青の上とジーパンに着替えていて、カッコカワイイとでも言うべき感じになっていた。
いや、普通に可愛いな写真撮りたい。
「一先ずはこれでいいわね。また機会があればもっと色々試してみましょう」
どうやらまだ満足していなかったらしい。勘弁してくれよ。
「何項垂れてるの?服屋で時間使っちゃったから次々行くわよ?」
「えー」
「えーじゃない。それに次行くところはゲームセンターだから楽しめると思うわよ?」
お?マジかよ。
「それを先に言ってくれよ。ほら早く行こうぜ」
前世以来だなぁ。シューティングゲームにクレーンゲーム、他にも色々と。
「わかったわよ。まったくいきなり元気になって。やっぱり男の子はゲームセンターの方が好きなのね」
「まあ、な。服屋も肌触りのいい服とか気に入った服を見つけられると嬉しいけど。やっぱりゲーセンで遊ぶ方が楽しく感じるな」
まあ、やっぱりマネキン買いとかなんだけど。
「そう...あら?でも貴方ゲームセンター行ったことないはずよね?服屋も今日が初めてって...」
おっと口が滑った。
「まあ、色々あるんだよ色々」
転生とか転生とか転生とか
「怪しいわね。まあいいわ。それよりゲームセンターはこっちだから、そんなに楽しみなら早く行きましょう?」
「おう」
「あっ、その後は花屋とかにも行くから夢中になりすぎないでね?」
「夕方なのにそんなに回るのか?」
「今の時期は日も長くなり始めたし大丈夫よ。それに最後は喫茶店でのんびりする予定だから楽しみましょう?」
「そうだな。街で遊ぶのは初めてだし楽しむよ」
__________________________________________________________________________________
基本的に無地か人に選んでもらった服着ているやつがセンス良いわけも無し(作者のことです)_:(´ཀ`」 ∠):
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます