第5話 ネッコ

 俺はアニマルトーキングとテレパスを使い、直接仔猫の脳に話し掛ける。


『よぅ、昨日振りだな。

 この人間の女の家はどうだった?』


『ハッ…!アニチの声が頭の中で聞こえるニャ…!

 この女の母親が捨てて来いって言って、アチシは追い出されたニャ⤵』


『そうか、大変だったな…

 そこで2つ提案がある。

 1つは俺の家に住む。

 もう1つはケーサツという所に行くかだ。』


『ケーサツ…?』


『まぁ覚えなくていい。

 簡単に言えば、俺の家に来てもケーサツに行っても、死ぬ可能性があるって事だ。

 死ぬ可能性としてはケーサツの方が高い。

 どっちに行きたい?』


『アニチ、よろしくお願いしニャす!』


『よし、出て行きたくなったら何時でも言えよ、オマエには野良猫という道もあるんだからな。』


『出て行く前提かニャ!?』


『言ったろ?死ぬ可能性があるって。』


『エー…どういう事かニャ?』


『オマエに説明するのは難しいんだよ…

 来たら解るかもしれないし解らないかもしれない。

 まぁ取り敢えずよろしくな。 

 これからオマエの名前はネッコだ。』


『マヂかー、ダッサ…。』


『…このまま放置がご希望かね?ん?』


『アッ、アニチぃー、よろしくニャー(泣)。』


『ん?泣くの字が違くないか?鳴くだろ?』


『イヤ…合ってr…何で会話なのに字が判るのかニャ…?』


『それは俺が超能力者だからだ。』


超能力者コワっ…!』



 さて…と、鳴沢に伝えないと。


「この猫ウチで飼う事にするよ、俺が引き取る。」


 それを聞いて鳴沢は安堵の表情を浮かべた後、笑顔になった。


「そう、本当にありがとう!

 ホント、助かったわ…。

 あの…今更だけど、名前を聞いても…?」


「あぁ、俺は佐竹凪だ。」


「佐竹…?何か聞き覚えが…」


「あぁ、同じクラスだからな。」


「エッ…!?同じクラス!?」


 どうせ自己紹介の時に、その他のモブだと思って俺の顔すら見てなかったんだろう。

 鳴沢は俺と同じクラスだと知った途端、急に険しい表情を浮かべ、教室で見た時と同様に負のオーラを醸し出す。


「…今日の事は助かったわ、でも学校に居る間は今後一切私に話し掛けないで。

 いい?絶対よ。」


 そう言い残して鳴沢は学校の方向に歩き出し、この場を立ち去った。


 …学校に居る間は…か。

 随分含みのある言葉だな…。


 …で、このネッコも登校前なのに俺に丸投げか。

 俺はテレポートでまずネッコを自宅まで運び、まだスーパーが開いていないので猫用トイレやミルク等を用意出来ないから、小便やウンコをしたい時は風呂場でする様にネッコに指示すると、直ぐに学校にテレポートし遅刻は免れた。


 その後の休み時間でスーパーにテレポートし、猫と生活するための必需品の買い物を済ませて自宅にテレポート、そして室内に各道具のセッティングを済ませ、ネッコに猫用ベッドや猫用トイレの場所、ミルクを入れた皿の置き場所等の説明をした後、また学校にテレポートして最後まで授業を受けた。

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