第6話 自宅
今日の登校前のネッコに関する出来事の後、鳴沢と教室で何度かすれ違ったが彼女は俺に目線も合わさず、やはり俺の事を無視している様だ。
てか、俺も鳴沢もクラスの連中には基本無視されている。
まぁ俺も俺の不幸体質のせいで誰かに怪我をさせるのはイヤだから陰キャぼっちを貫いている訳で、結果はこれで良かったのだろうが…。
鳴沢の方は、周りから複数の変な噂が流されているのを昨日確認したが、自ら他人に関わらない様にしているのには何か事情があるのだろう、この件についてはそのうち進展があった時にまた考えようと思う。
俺の自宅は是政橋を府中市側に渡った辺りにある比較的新しいオートロックの2LDKで、川が台風で氾濫した時の事を考えて4階に住んでおり、独り暮らしをするには十分過ぎる物件だ。
幸いウチの親は結構金を稼いでいる様だから、金を出してもらえる間はトコトン脛をかじらせてもらおう。
自宅に入りネッコの様子を見ると、今日買ってやった猫用ベッドの上で丸まって寝ていた。
「済まんな、起きろ。
オマエにはまず風呂に入ってもらう。」
『…フワ〜っ、おかえりニャさい…やっぱり入らないとダメかニャ?』
「うむ、ダニとかノミとか汚れとかを落としてもらうぞ、ちゃんと専用シャンプーも買って来てある。」
制服から部屋着に着替えて腕と脚の部分を捲り、風呂桶にお湯を溜める。
「さぁ、バッチ来い。」
『…濡れるの好きじゃニャイ…。』
「雨風凌げる暖かい部屋にいたいのならガマンしろ。」
『ハーイ、ただいま。』
シャワーを流しネッコを湿らせてからシャンプーで身体を洗う。
よく見ると大事なモノが付いて無い。
「おー、オマエ女の子だったのか。」
『そうニャよ、だからネッコとかいう名前止めるニャ。』
「じゃあどんな名前がいいんだよ…」
『エローイとかカロリーヌとか』
「どっからそんな名前引っ張って来た!?
エロ…?カロリー…?
俺が色気か食い気しか考えて無いサイテーな飼い主みたいじゃねーか…
しかもそんな名前、人前で呼べねーよ!」
『アチシが捨てられる前に見た深夜番組で言ってたニャ!
どっちもちゃんと意味のあるフランス人女性の名前ニャ、人前で呼べないなんて、アニチはサイテーなのニャ!』
「猫に知識で負ける俺って一体…(泣)」
『あー、あとアチシはもう固形物食べられる様になったから今日はミルクでガマンしてやるけど、明日から猫缶とか買って来るニャ。』
「…おいコラ、ネッコ…
オマエ居候の分際で、何マウント取ろうとしてんだ…
てっきりミルクしか飲めないと思ったから保護する気になったが、固形物食えるんだったら今直ぐにでも野良猫としてやっていけるよなぁ…?
こっちはいつ出てってもらってもいいんだぞ?あーん?」
『しまったー、マウント取りに行くの早すぎたニャー!
アニチぃー、スンマセンしたっ!!』
「…フン、許すのは今回だけだぞ。」
『チョロっ…』
「アーン!?何か言ったかっ!?」
『ニャーン。じゃ無くて、』
「ニャーン。」
「猫のフリをして誤魔化すな!
…って、猫か。」
因みに俺は学校の成績はかなり良い、頭を打って手術してから1度読んだ本や教科書の内容等は忘れないから予習復習も必要無い。
本当は学年1位を取れるだけの実力はあるのだが、モブとして20位前後になる様にテストの回答をいつも調整している。
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