第2話 何でも屋〈仕事紹介〉
裏の顔...それは、許容と時間の限りどんなことでもするというサービス。何でも屋である。
確かに”なんでも”というには無理があるかもしれない。だからこその、”許容と時間の限り”なのである。僕にも僕の人生、時間がある。いまだに親にバレたことはない。許容というのは、できるか否かというのも含め、僕がやりたいかやりたくないかというものである。
例えば、「家の留守番お願いします」という依頼なら、時間次第で受け入れる。しかし、「子供をください」とか「人を殺してください」となると話は変わってくる。
できる限りのことはできるよう尽力するが、できないことはできないと理解してもらわなければいけない。
本日の依頼。
<畑仕事>
・丸一日、留守にするため水やりと雑草抜きを頼みたい。
・時間は、いない間に一度。夜でも構わない。
僕は住所と、道具や詳細を確認して、家を出た。現在午後8時30分。母が帰るまで約3時間。依頼主の畑まで距離は約20キロ。到底一般高校生が足だけで依頼を達成できるとは思えない。でも僕にはできる...
5分後...僕は畑についていた。細かくはわからないけど、普通に考えて、分速4キロ。だいたい、秒速60メートルくらいは出ているのだろう。でも僕には関係ない。早く依頼をこなすのが最優先。僕は誰もいないことを確認する。
そして、地面に手の平をつける。
すると、畑の雑草がほとんど溶ける様に土に溶け込んだ。僕は残った雑草を引き抜きに畑中を走り回る。正直、少し残っていても「すぐ生えてきたんでしょう」とか「見落としていました」とかで通じるくらいしか残っていない。明らかな雑草は、さっきなくなったからだ。でも、取れるものは取っておく。やれることはやるというプライドがあるからだ。数分後、目視できる雑草はなくなった。といっても、僕自身植物の知識があるわけでもないので、雑草以外も抜いていたら申し訳ない。とはいえ、もしそうでも、それはどうしようもないので、とりあえず後回しにする。僕は、畑の真ん中に立って、また地面に手を付ける。今度は、手のついたところを中心に、土が湿っていくのがわかる。またまた数分後、畑とその周辺は水をあげたかのように、土が湿っていた。
「よし。終わったぁ。」
僕は一仕事終え、声を漏らす。
「さあ。帰って報告するまでが仕事。」
また、全速力で家に帰宅する。
家に帰り着いたころには、夜9時だった。まだ、母も帰っていない。とりあえず、汗の臭いがしたため先にお風呂に入る。別に濡れているわけではない。むしろカラカラに乾いている。秒速数十メートルもだしていれば、服についた汗なんて乾いてしまうし、泥も落ちてしまう。とはいえ汚いのでお風呂に入る。お風呂はプライベート。速さは求めない。その日の気分次第。今日は15分ほどでお風呂から出た。
そのまま、服を洗濯機にいれて、部屋に向かった。机にパソコンにを置いて電源を入れる。そして、何でも屋のサイトを開いて、依頼主にメッセージを送る。
「”依頼内容は完了しました。後日報酬を受け取りに向かいます。”」
と、数枚の、畑の写真とともに送った。
そんな風に、依頼をこなしつつ、日々暮らしている。
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