第8話 おじさんと美少女、初のダンジョン配信

おじさん整備士と女子高生の新人配信者について語るスレ



0001 名無しの探索者

犯罪臭しかしないんだがwwwww


0002 名無しの探索者

誰か知らんけどガチでヤバそうな気配しかしてなくて草


0003 名無しの探索者

てかそれ女子高生騙されてるんじゃね?


0004 名無しの探索者

>>0002 outubeのURLここに貼っとくわ


0005 名無しの探索者

>>0004 助かる


0006 名無しの探索者

>>0004 見てくるわ


0007 名無しの探索者

見てきたけどなんか思ったより普通だった。整備士と組むとか絶対騙されてると思ったんやけど

普通に整備士と組みたい探索者なんかおらんやん、足手まといやし


0008 名無しの探索者

>>0007 それはそう、ワイもそう思った


てか女子高生、くそ美人で草


0009 名無しの探索者

>>0008 それな


0010 名無しの探索者

>>0008 ガチびびったwwwww

……あれで一般人とかマジ?(真顔)


0011 名無しの探索者

>>0008 あの顔見るためだけに配信見てたい


0012 名無しの探索者

まだ見てないんやけど、おじさんの方はどうやったん?


0013 名無しの探索者

声だけだったわ。ディレクターらしい


0014 名無しの探索者

キモい感じはしなかったな


0015 名無しの探索者

まぁ、普通って感じ

しかも女子高生に誘われてディレクターなったらしい


0016 名無しの探索者

女子高生、もしかして枯れ専なんか……


0017 名無しの探索者

>>0016 美人やし逆にいける


0018 名無しの探索者

>>0017 草


0019 名無しの探索者

まぁ、様子見って感じやな

明日ダンジョン配信やるらしい


0020 名無しの探索者

美人探索者かぁ……いいなぁ


0021 名無しの探索者

とりあえず初回は見てみるか


0022 名無しの探索者

俺もとりま初回だけ見るわ


0023 名無しの探索者

まぁでもおじさんと女子高生の組み合わせとかめっちゃワクワクするんやけどwwwww



 







 動画をアップし、SNSのフォロワーも増えてきたところで、俺たちはダンジョンでの初配信をすることになった。告知ももう済ませ、待ってくれている人もいる。

 ただまだその人数はかなり少ないから、登録者数が増えるにはかなり時間がかかるだろうけど……それよりもダンジョン探索の方が今は大事だろう。


「ダンジョンに入る前に今のステータスを教えてくれないか」


 ゆあに伝えると、スラスラと口にする。ちゃんと自分のステータスを意識していたらしい。

 

「えっと……」


 俺はスマホにメモをした。


-------------------------------------------------

【氏名】 姫野 ゆあ

【レベル】 1

【魔力量】 レベル2

【攻撃力】 レベル2

【防御力】 レベル1

【スキル】 なし

--------------------------------------------------

 

「まぁ駆け出し探索者の中だったら普通のステータスだな。ただ第1層攻略するにはレベル3はいる。先週はあんま潜れてなかったからむしろ好成績って感じだと思う」

「なるほどね。私はもっと強くなったつもりだったんだけど」

「初めの方は飛躍的に身体能力が上がるからな。でもそれで勘違いしたら終わりだ。ちゃんとレベル通りのところにいかないと」

「ふーん。齋宮、ただの整備士のくせに変にそういうところ詳しいよね」

「そ、そうか? いやまぁ、凝り性で調査好きだからな。はは、あはは」


 実際のところ、ダンジョンの研究所にいる友人から情報垂れ流してもらってるとか、口が裂けても言えない。

 とはいえ俺の知識の8割くらいは自分で得たものだけど。


「……まぁいいけど。とりあえず行くわよ。齋宮、色々大丈夫?」

「機材とかに問題はない」

「準備は万端ね。これが私の初めてのダンジョン配信になるんだもの。絶対成功させなくちゃ」

「あのー、ゆあさん? 前回のは……」

「あれは消したからもう無かったことになってるのよ」


 2人で軽口を叩きつつ、ダンジョンの受け付けへと足を運ぶ。

 許可証を見せて通してもらい、俺たちはダンジョンへと足を踏み入れた。


「じゃあ、配信始めるわよ」

「あぁ」


 今回はダンジョン専用のカメラを使う。手ブレ補正や、暗いところを明確に映し出すのに優れている。ちなみに姫野グループの製品だ。


 ゆあは恐る恐る配信開始ボタンを押した。


「まだ誰も来てないわね」

「まぁ、俺たちのレベルならな。しばらく経ったらくるんじゃないか」

「それもそうね。まずはレベル上げのために、スライム倒しましょうか」

「そうだな」


 ゆあの全体像を映しつつ、俺は頷く。

 スライムを倒し始めてから5分ほど経って、ようやく1人来た。


「どうもこんにちは。ゆあです」

「齋宮です」


 お互いに挨拶をする。よし、ここまでは上手くいった!

 そうこうするうちに2人、3人と増えていく。

 

「今日は第1層を探索していきたいと思います。えっと今は、スライムを倒してます。あっ、前方に1匹いますね。倒しますね」


 猫を被っているゆあに連れられ、俺はスライムがいる場所まで来た。ゆあはスライムを時間をかけて討伐し、2倍の魔石を持ち上げる。


「齋宮、コメントは?」

「あっ、ごめん見てなかった」

「もー、なにやってんのよ! コメントは齋宮の担当でしょう? 何回もシュミレーションしたじゃない。齋宮が見てなくてどうすんのよ」


 怒った様子でそう言い放ったゆあは、徐々に顔を強ばらせる。

 そっか。今配信中だったし、猫を被ってもんな。


「ち、違います今のは違うんです。違くて……違います」

「まぁ、今猫被ってるんですけど、普段はこんな感じなんです。あっ、でもいい子なんで。お嬢様で世間知らずのところは、大目に見ていただければ……」


 慌てたゆあに、言葉を重ねる。

 コメント欄を見てみると……


 "わがままなお嬢様とおじさんか……新しい組み合わせ"

 "ゆあちゃん、素の方がいいかも"

 "ずっと取ってつけた感じあったのそういう事か"

 "まぁちょっと言葉は強かったけどな"


 たまに厳しいコメントがあるものの、概ね良しと言った感じらしい。

 それを見て、ゆあが胸を撫で下ろす。


「じゃあ、取り繕える気がしないので素で行きます。齋宮、次行くわよ。次はコウモリよね?」

「まぁ、もうちょっとスライムの生息範囲だけどな」

「そっか……じゃあ、スライム倒しに行きます」


 初手からコケたが、配信はまだ続く。

 俺はゆあの後を追いかけた。

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