リボン 〜リハビリ用超ショートショート〜

 男の子が目覚めると、枕元にクリスマスプレゼントが置かれていた。


 今年もサンタさんがきてくれたのだと破顔する。


 中身はなんだろう。


 振っても音は鳴らない。


 気になって仕方がなかったので、リボンを引っ張って開けてみることにした。


 しかし、いくら引いても中々結び目が解けない。


 固く結ばれているのではない。


 どうもリボンが長くなっているのだ。


 引いても引いてもやはり解けない。


 リボンが伸びる、伸びる、伸びる。


 しばらく引っ張り続け、やっと結び目が解けた。


 喜んだのも束の間、リボンはひとりでに恐ろしいほどの速さで伸び続けていく。


 男の子が悲鳴をあげて両親が飛び込んでくるが、すぐにリボンの海に飲み込まれていった。


 男の子の姿も見えなくなっていた。


 やがて男の子が暮らしていた家がミシミシと軋み、バァンと破裂してリボンが街中に飛び出していく。


 人々は逃げ惑うが、1人、また1人と捕まり、リボンの底へと引き摺られていく。


 いつのまにかリボンの両端が分裂しており、伸びる速度も増していった。


 そうして街中、国中を覆い尽くし、やがて海へと向かっていった。


 数日後、リボンは世界中を覆い尽くしてしまっていた。


 今日も地球はリボンの層によってむくむくと肥大している。


 やがてそれは月へと近付いていった。

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