第20話 付き合う

 目を覚ますと、カーテンの隙間から光が差し込んでいた。

 もう朝か……。


 チラッと横を見ると、全裸の黒崎がスヤスヤと気持ち良さそうに寝ていた。 


 部屋の床には服や下着が散らばっている。

 ゴミ箱の中には大量のティッシュと0.01ミリの薄いアレが捨てられていた。

 

 そっか……。

 あれは夢じゃなかったのか。


 昨日、俺は黒崎と最後までしてしまった。

 本当は黒崎と最後までするつもりなんてなかった。

 けど、我慢できなくなって黒崎を襲ってしまった。

 はぁ……何やってるんだ、俺は。


 再び横を見ると、裸の黒崎が視界に入る。

 コイツを見ていると、あの夢のような時間を思い出してしまう。

 

『く、黒崎、それはヤバいって……』

『ふふ、気持ちいい?』

『う、うん……マジで気持ちいい。そんな技術どこで覚えてたんだ?』

『元カレのせいでこれ得意になったの。もっとしてあげようか?』

『うん、してほしいっ……』

『ふふ、いいよ。もっと気持ち良くしてあげるね♡』


 昨日の黒崎は本当に凄かったなぁ……。

 ぶっちゃけ、真帆より黒崎とエッチする方が気持ち良かった。


 テクニックも黒崎の方が上だし、身体の相性も良かった。

 また黒崎とエッチしたいなぁ。

 って、何を考えてるんだ俺は……。


 しばらくして黒崎が目を覚ました。


「おはよう、黒崎」

「うん、おはよう、和馬くんっ」


 黒崎はそう言ってチュッと俺の唇にキスしてきた。

 急にキスされて俺は目を見開く。


 黒崎コイツの唇めっちゃ柔らかいなぁ。

 あと黒崎の髪からバニラのような甘い香りが漂ってきて、頭の中がクラクラしてしまう。

 

「和馬くんっ……ちゅっ」

「黒崎……」


 舌を絡め合ったり、お互いの唾液を交換したりする。


 黒崎の唾液凄く美味しいなぁ。

 彼女も美味しそうに俺の唾液を飲んでくれる。

 それが嬉しくて仕方ない。


 俺たちは唇を離して視線を交える。


「あはは、いっぱいキスしちゃったね……」

「だな……」


 恋人じゃない人とたくさんキスしてしまった。

 本当にこれでいいのかな?

 ちょっとだけ罪悪感を感じる。


「ねぇ和馬くん……さっきから硬いの当たってるんだけど」

「え? あっ、本当だ……なんかすまん」

「謝らなくていいよ。全然怒ってないから。それより、これ大丈夫なの? 苦しくない?」

「ちょっとだけ苦しいかな……」

「ふふ、なら私がたくさんお口で気持ち良くしてあげるね」

「ま、マジで……?」

「うん、マジマジ。和馬くんのためにたくさん頑張るからっ」

「黒崎……」



 ◇◇◇





 黒崎にお口でお手伝いしてもらった。

 そのあと、ベッドの上で黒崎と最後までしてしまった。


 朝から黒崎と合体しちゃったよ。

 なんて贅沢な朝だ……。


「なぁ黒崎」

「ん? なに?」

「お前は本当に俺のこと好きなのか?」


 俺の問いに黒崎は「うん、大好きだよ」と即答した。

 黒崎の返事に思わず頬が緩む。


 そっか、コイツは本当に俺のことが好きなのか……。

 

 俺はどうなんだろう……。

 コイツのこと好きなのかな?

 分からない。

 分からないけど、黒崎のことは嫌いじゃない。


 違う。

 本当は分かっている。


 俺は黒崎のことが好きだ。

 『和馬くんのことが好き!』と告白された時からコイツのことが気になって仕方ない。

 最近はずっとコイツのことばっかり考えている。


 この感覚……。

 間違いない、俺は黒崎絵里に恋している。

 

 けど、また好きな人に裏切られるのが怖くて黒崎を避けていた……。


 これ以上黒崎のこと好きになるのが嫌だったから連絡先やSNSもブロックしたのに、それでも黒崎コイツは俺にアプローチを仕掛けてくる。

 何回拒絶しても俺のこと諦めてくれない。

 そのせいで俺も黒崎のことが好きになってしまった……。


 だから、


「なぁ黒崎、俺たち付き合わないか……?


 俺の提案に黒崎は「え……?」と声を漏らす。

 混乱していた。


「いいの……?」

「うん、いいよ。その代わり、絶対に浮気しないでくれっ。俺のこと裏切らないでくれっ」

「うん、絶対に和馬くんのこと裏切らないよ」

「黒崎っ……」


 俺たちは顔を近づけてキスをする。

 すぐに唇を離して大好きな人を見つめる。


「黒崎、これからよろしくな」

「うん、よろしくね、和馬くん」


 今日、俺と黒崎は恋人になった。

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