12話

次の日は早朝からレオが来て

持ってきたショートソードを自慢してきた


何やらオーレスの家紋入りの一級品だそうだ、ってかなんでレオはこんなにはしゃいでるんだ?


「ついに俺たちの冒険が始まるぞ! シリウスもわくわくしてるだろ?」

「ぜんぜんだ! ゴブリン退治なんて行きたくない……」


「シリウスの剣だ、俺のおさがりだが大切にしろよ」と兄がショートソードを渡してきた


「本当に今日は見学だけ?」

「と思うけど、父さんのことだからわからないがな」

「行くぞ! 先頭は俺、次にシリウスとレオ、最後をバージルのフォーメーションで行くから、しっかりついてこいよ」父は意気揚々と出発した



森に入りしばらく進むと

「いたぞ! お前たちはここで待て、バージル昨日と同じで行くぞ」

「了解!」


3匹のゴブリンがいた、父と兄はサッと移動し一気に斬り伏せた


「おい! シリウス、レオ魔石を取り出してみろ」

「イヤだ!」

「お前はまだビビってるのか? いいからやれ、なれとかないと後で苦労するぞ」


強制的にやらされる事になった……

先に兄が手本を見せてくれた、レオの子供が無邪気にナイフを刺している絵面よりはマシだが、やはりグロい


「ひ~! 気持ち悪い、なんでこんなに柔かいんだ」

ナイフが抵抗なく入る、硬めのプリンをスプーンですくうぐらいの感触だ


「ちんたらするな! 

魔物は腐敗が早いから素早くしないと腐って

それが地面にしみたら瘴気が溜まっていくぞ

魔石を取り終わったら油を撒いて燃やせ

魔法で燃やしてもいいが何があるか分からんから魔力は温存しとけ」

我慢して魔石を取り出して腐敗していくゴブリンに油を撒き


それからも10匹ほど処分していき昼食になった

グロいシーンの連続だったが疲れのせいかお腹は減っていた


持ってきた昼食を食べながら父は

「じゃあ、昼からはシリウスとレオも攻撃に参加してみろ」と言い出した……

「Sorry悪いが聞こえないよ耳にバナナが入っていてな」

「……?入ってないぞ」

7歳に魔物と戦えって親いるか普通?馬鹿なの?死ぬの?


イヤだ、イヤだとわめいてみたが効果はなかった


ドキドキわくわくが顔から出ているレオに

「無理なら俺に任せとけ!」と言われ

さすがにちゃんとしないとと思えた


「いたぞ! ちょうど2匹いるから1匹づつ仕留めろ、俺たちが補助につくから心配するな」


身を潜め近づいていく、見慣れてきた見た目だが今から戦うと思うと凶悪な顔に見える


「いまだ行け!」

父の号令とともに飛び出し斬りつける

「グギイィィー」

父や兄と違い1撃で討ち取ることはできなかったが2撃で仕留めた。


気持ち悪い……

手に残るぶ厚い魚肉ソーセージを切るような感触……

「は……吐く、うえぇぇ」昼ごはんを全部吐いた


「まったく、レオを見てみろ」

「やった~! 倒したぞー!」

レオは倒した喜びを全身で表していた


テンションの高いレオと違い僕はまだ手に残る感触が気持ち悪かった……



この日の駆除はここまでになり

家に帰り、すぐに父と一緒に風呂に入った


「シリウスは弓をやってみるか?」

今日の僕の様子をみた父からの提案なのだろう

「弓か……考えてみようかな」

「母さんは弓の名人だったんだぞ、百発百中の腕前だ、教えて貰ってみろ」「……うん、聞いてみる」


あの生きた肉を切る感触はキツい、

前世があるからなのか?

レオはなんともなく喜んでいたし……


「レオはどうしてあんなに喜んでいたんだろう」ポツリとこぼすと


「レオはもともと領主の子で三男だから男子がいない従弟の家

ここの村長の家の養子に来たんだ

最初はいらないから家を出されたと思っていたみたいで

かなり不貞腐れていた、ちょうどお前と喧嘩して怒られる前ぐらいだな

最近は実家に認められたいと頑張ってるみたいで

ゴブリン駆除の話を村長にしたときも、自分から参加したいと言ってきたぞ」


「すげえなぁ……おとなだな……」

前世持ちの僕なんかよりよっぽど……



夕食のときに母に話、次の日からポーターをしていた母から後衛の戦い方と弓を教わることになった


母の修行は朝早くから始まった

理由?いつもの地獄の特訓の前にするからだよ……


「母さんはポーターだったから

本職の弓使いの戦い方ははっきりとはわからないけど

確実に言えることは自分が怪我をしてはならないってことね

後衛の役目は援護射撃と逃げ道の確保をすることなの

逃げ道の確保の方がはるかに優先順位が高いのよ」


「逃げ道を作って、逃げてくる仲間の援護をする

それが1番重要な仕事

前衛は倒すことを考え後衛は生き残ることを考える

頼りになる後衛がいるとパーティの生存率が劇的に向上するのよ」


先ずは役割の説明から始まった


母が使っていたショートボウをもらい、持ってみたが約1メートルもあるので130センチほどの僕の身長だとかなりデカい


これで射った矢を50メートル先の的に当てる


これをまずは100本

1ヶ月ほどたつと+50本


さらに1ヶ月たつと25メートル先に右中左と3つの的があり

母の号令に従い射っていく


さらにさらに1ヶ月たつと的が8個になり言われた番号に素早く射る

どんどん的も本数も増えていく……

どうやら両親そろってスパルタ教育らしい……

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転生劇 シリウス 常考 無意味 @tenseigeki

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