10話

「ねぇ、シリウスは今日も剣術の練習なの?」とメアリーがきいてきた


剣術の練習?いやいやアレはそんなもんじゃない!

一言で言うと地獄だ!


終わることのない素振り

延々に覚えさせられる形

倒れるまで続くダッシュ

オヤツと言う名の豆の乳煮

父さん相手に打ち込み稽古


さらに剣術が終われば密かに続けている 魔力放出

夜に親の監視のもとする練習では、魔力が消費しきれなくなってきたので


密かに村外れに行き、火炎放射や川に向かって水を出したりして、魔力を使い切る

魔力は筋トレと一緒で限界を超えて、頭痛が来てからの1発が魔力の器をでかくすると思って続けている

その成果か、自分の最大魔力がもっと大きいのか、僕の魔力量はまだ成長している


「シリウス、どうなの? また遊べないの?」

おっと!この地獄の一年を振り返ってしまいメアリーを無視してしまった。


「ごめん、メアリーまだまだ修行は終わらないから、また時間があれば遊ぼう」

まるで興味のない異性からの誘いを断る口実を喋っているみたいだ、

まぁ実際そうなんだが。


「メアリーは今年も教会学校に行くんだろ?」

「そうだよ、シリウスもレオもこないから退屈だよぉ」

「読み書きはちゃんとできたほうがいいから頑張って」

「うぅ〜」


メアリーはまだ字がおぼつかず

去年だけでは合格できなかったので教会学校に行くことになっている


地獄の修行の日々が過ぎていった

「2人ともそろそろ村の見回りをしてみるか教会学校も行かなくて良くなって、時間もあるから」


「する、する」

「俺たちに任せてよ、おじさん」

2人とも地獄からの開放と思い飛び跳ねて喜んだ


だが違った……


見回りと言う名のマラソンだった

一周が約16キロの外周に郵便配達をかねた村内ルートラン

合計23キロのコース、これを3時間、時速8キロで走りながら


さらに外周の鉄線の300メートルおきにある雷の魔石の残量を

見て減っていたら充填していく


外周に張っている鉄線に触れると魔石からの電気が流れビリッとする

これでイノシシ、シカなどの害獣よけになる


さらにゴブリンなど弱い魔物も近づかなくなる

だが強い魔物には、ほとんど効果がないから注意が必要だ


普通、魔石は魔法が使える人は魔力を流すことでスイッチのオンオフができる

魔法が使えない人は雷の魔石のついたペンほどの小さな杖で魔石同士をあてることで発動する


雷の魔石は他の魔石と違い常に発動状態にある

なので直接触れるとビリッと電気が流れる

その作用を利用して鉄線に電気を流している


回収するときはスライムの布と呼ばれているゲルクロスという布を使って触る

この布はゴム素材のようなもので絶縁体物質で感電しなくなる


走りながら父とレオが魔石を確認し減っていたら、この布で巻いて持ってくる

それに僕が雷の魔力を込める


父は母の負担を減らして機嫌をとりたいから

雷魔法が使える僕に手伝わせただけみたいだ……


見回りが終わって帰り着くといつもの地獄が待っていた、

これじゃあ増えただけじゃないか!


「父さん、僕たちはまだ6歳だよ、こんな地獄の特訓はムリだよ」とはっきり伝えたら

父は笑顔で「頑張れ」とサムズアップしてきた。


駄目だこいつ……早くなんとかしないと……


そう思いながら追加されたノルマをもうろうとする意識のなかこなしていった


今日のノルマをすべてこなし家に帰るとメアリーが泣きそうな顔で立っていた

「シリウスゥ〜! 勉強教えて、みんな合格して私だけになっちゃった うぅ〜」


早くベッドに横になりたいが可哀想か……

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