初めまして。
この度は『自作品への意見や提案がほしい方へ』企画にご参加いただき、ありがとうございました。主催者の島流しにされた男爵イモです。
作品の方は一通り拝読致しました。
起承転結に沿って、物語が枠に組み込まれていたかと思います。拙さの目立つ作品でしたが、「小説を書きたい」という意欲や熱意は伝わりました。あとはそれを形にして、内容に説得力を持たせるという段階に進んでいただければと思います。
それでは、作品を読んだうえでの課題点を述べていきます。
端的に表すなら、本作はツッコミどころの多い作品です。結末や見せ所を書くために材料を合わせて、強引にお涙頂戴を狙った感が否めません。そんな違和感の原因は二つです。
➀第三次世界大戦から日本vs三カ国という論点のすり替え
➁蒼一郎の設定の粗さと、最期の不自然さ
それぞれに話を分けて解説していきます。
まずは➀について。作中では列強三カ国による世界の植民地化を述べている中で、あるときを境に日本と三カ国の闘いへと話が転じます。この流れ自体は構わないのですが、そこから休戦協定につながるのはいただけません。あくまでも日本は、領土防衛に徹しているだけの弱い立場にあります。三カ国からすれば、手を出さない限り害はないわけです。そして武力で敵わないのなら尚のこと、自国が有利になるように抱き込もうとするでしょう。そうした状況下で、列強三カ国が日本相手に事実上の降伏に出るのはあり得ないと思います。歴史を紐解けばわかるように、国家は狡猾な側面をもっています。なので、話を休戦協定にもっていくとしても、日本側が不利になる条件を出してくるのが当然といえます。この辺りの提案については、➁にも触れたうえでさせていただきます。
続いて➁。蒼一郎に関しては設定が滅茶苦茶です。いっそのこと超能力者とした方が、整合性は保たれるのではないでしょうか。作中での侵攻に対する対処や非殺傷は、「生身の人間」という設定では通せない域の業です。そして、死ぬ間際では喋り過ぎです。違和感が強く、白けてしまいます。普通の人間であることを表現するなら、呆気なく殺された方が喪失感や虚無感は引き立つことかと思います。また、彼の死の場面は都合の良さが目立ちます。作中では副大臣の暴走で殺されるわけですが、普通なら三カ国の代表がそれを止めるでしょう。蒼一郎の力は強大ですし、引き込めば切り札にもなりますから。なんなら、休戦協定の条件として蒼一郎の引き渡しを求めるかもしれません。三カ国の均衡を維持するため、彼を共有の兵器にしようと。人間であるぶん情で動くため、厄介な兵器のはずです。
さて、ここまでの内容を基に改善案の一つを提示します。
私が本作を書き換えるなら、「蒼一郎は休戦協定の条件として、三カ国に引き渡される」とします。それで美琴とは離ればなれに。蒼一郎の行先は機密保持の面から明かされず、今後一生会うことは叶わない。しかしながら、それが世界を元の状態に戻す唯一の手段となる。考え抜いた末に、美琴は離別を受け入れる。やがて月日が流れて平和になった世界で美琴は、影でその平和を支え続ける蒼一郎に想いを馳せるのであった。という風にします。
これでも設定の穴はありますが、尤もらしさは演出できていたのではないでしょうか。いかにフィクションであっても、説得力がない話はなかなか受け入れてもらえません。作り物であっても、それらしさを追求することは大切です。作品の推敲や改稿をされるのなら、その点を念頭に置いて作業を進めていただければと思います。
最後に気づいた範囲で誤字脱字の報告になります。
プロローグより:中国ほど軍隊・戦闘機保有数の多くない。→戦闘機保有数「も」
:撤退していった各国の軍隊員たちは皆、→「軍人」の方が適当かと。
第1話より:さらに、日本は本来防衛費の回すはずの予算を→防衛費「に」
:別の楽だったわけではないですよ。→別「に」
:日に日に各国の軍事兵器たちの強力になって→軍事兵器たち「は」
:その後、彼は孤児院の入ったのですが→孤児院「に」
第2話より:ある日、強さに変わりに壊れていく蒼一郎を見た→助詞の用法が不自然。
:ここが大人なの見方ができる私が適任でしょう。→ここ「は」
:もとろんです。→もちろんです。
:蒼一郎は大臣にそばにより右手の小指を差し出した。→大臣「の」
:楽や道のりではないことは百も承知だけど→楽「な」
第3話より:『戦争の長続きさせている張本人』→戦争「を」
:蒼一郎は何も言わず、下向いたまま動かなかった。→下「を」
:蒼一郎は正座の体制で背筋を伸ばし、→体勢
第4話より:大好きな人を失った損失感で美琴は泣いていた。→喪失感
:今は他の国の代表を終戦協定を結んでいるところでは。→代表「が」
:我々は3か国で大規模な兵器のよる戦争を行っていただろう。→兵器「に」
最終話より:美琴は何もしょべらず→喋らず
以上になります。
最後に大どんでん返しを期待してしまいましたが……。
いくら強くてもたった一人に全部を背負わせるのは中々ない状況ですが、こういったラストはありそうですね。
この短さでたっぷり詰め込まれた話だと思いました。
何とも言えない終わり方ですねぇ。
世知辛いと言うか、なんと言うか。
まあせめて、平和が続くことを祈りましょう。