第9話 青天の霹靂
「相変わらず多過ぎるだろ!」
【無駄口を叩かないで。次が来るわよ。】
「くそっ!」
俺は、ブレインであるルキフェルの指示に従いながら、帝都の上空を駆け回った。雨のように振り続けるUCを1体ずつ、確実に葬りながら、魔法を放ち続けた。
既に、固有魔法の第一段階を使って自身の火力を最大限に強化しており、俺は順調に空を飛び回った。
「それにしても、凄まじい火力だな。」
「そりゃあ、史上最強の戦艦をコンセプトに作った空中戦闘艦だからね〜。まぁそのせいで、紙装甲になっちゃったけど、火力だけは自慢できるよ〜。」
「金持ちがやる事はえぐいな。」
正直なところ、クシナダにはかなり助けられていた。
流石に超級UCを葬ることはできないが、それでも上級以下のUCならクシナダの主砲や副砲で対処することができる。これにより倒すべき敵を限定化、下級は地上の騎士団、中級と上級はクシナダ、それ以上の敵UCは俺が対処することにし、撃ち漏らすことなく敵を葬り続けた。もちろん、残骸の落下などの被害が出ているが、事前に構築した防衛ラインを突破されるようなことは起きていない。
ここまでは、100点と言ってもいいような内容が続いていた。だが、いっさい油断できる状況ではなかった。
これ、いつ終わるんだよ。
【空の割れ目の規模からしてあと20分ってところね。それまで耐え切れば、私たちの勝ちよ。】
なんでわかるんだ?
【無理やり作られた空間の割れ目は、時間の修復力によってされるわ。それにかかる時間を、逆算によって推測したのよ。貴方もいずれ、できるようになると思うわ。】
超生物の真似事をしろと言われてもな。
というか、わかるなら最初に教えてくれよ。
【教えない方が、貴方の注目が限定されるから良いと思ったよりのよ。実際、ここまではほぼ完璧と言っていい展開だわ。でも、おそらく本番はこれからだわ。見なさい、下の連中から疲れが見え始めているわよ。】
リソースを少しそっちに回して戦わないとってことか・・・・・・
【踏ん張りどころよ、頑張りなさい。】
くっそ、やってやる。
襲撃開始から既に40分が経過していた。最初のうちは上手い具合にこちらの攻撃が噛み合っていたため対処できていたが、だんだんと疲れが溜まり始めていた。
俺はまだまだ全然やれるが、それ以外のメンバーには疲れが見えた。改めて、俺の他にまともな魔法師が茜さんぐらいしかいない事が響いている。
最初の方は積極的に動いてくれていた騎士団やシーナ達の動きや魔力は鈍っているし、クシナダの方も最初の頃のよりも弾幕が薄くなった気がする。おそらくだが、終わりの見えない戦いを前に、持久戦に切り替えたのだろう。
いい判断だ。
「〈
凄まじい勢いで戦場を駆け回る茜さんは、次々とUCを真っ二つに切り続けた。
「弾と燃料はどれぐらい持つんですか?」
「持久モードに切り替えたから、燃料の方は半永久的に戦い続けれるけど、弾の方はこのまま撃ち続ければあと10分ほどで弾切れになっちゃう。実弾以外の攻撃手段なら使えるけど、周りへの被害を考えると、使える兵装は限られてるよ〜。」
「俺の予想だと、あと20分ほどで攻撃は止まると思います。だから、弾幕を今の半分にした上で何とかして20分間持ち堪えて下さい!」
「わかった〜。」
そんな軽い返事をした後、茜さんは通信魔法を使ってクシナダとコンタクトをとった。するとすぐに、弾幕が以前よりも薄くなり、指示通りに動いてくれいることが確認できた。
と、ならば俺もギアを一段上げて、できるだけ広範囲のUCを討伐できるように立ち回る。
流石は元とはいえA級魔法師だ。魔力の動きが素晴らしい、一つ一つの動きに無駄がなく、動きがスムーズだ。
そう言っている間にも、多くのUCを葬りさった。
相変わらず、とても頼れるお人だ。
「よし、このまま!」
【っ!健斗、気をつけなさい!何か来るわ!】
第二ラウンドを目前に、上空の割れ目が突然魔力を収縮させ始めた。
次元を飛ぶためには、多大な魔力を消費する。その量は、転移させる者の持つ質量と魔力によって依存する。つまり、収縮された魔力の量によって、これから飛んで来る敵UCの強さがわかる。
「これは・・・・・・」
「破滅級・・・・・・」
茜さんが、そう呟いた。
6段階あるUCの内の最上位に値する化け物が姿を表した。
それは歴史上、人類では黒白しか討伐したことがない、正真正銘の怪物であった。
「「「退避ーーー!!!」」」
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どうでもいい話
いきなりボス戦
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