寂しがり屋の商店街の記憶が繋ぐ

綿飴童子

第1話 シャッター商店街

 私の通う文化教室は、かつて日本有数の繁華街だった場所にある。

 演歌のタイトルにも使われたその場所だけど、今はすっかり寂れてしまって空き店舗と空き地ばかりが目立っている。今日は平日だが、ここを歩いている人は片手で数えられる程に少ない。

 ここは昔、張り巡らされた張り巡らされた細い路地まで小さなお店がびっしりと建ち並ぶ賑やかな通りだった。有名な百貨店だって何軒かあって、いつも道幅いっぱいになる程の人混みで溢れていた場所だった。

 好奇心旺盛で幼なかった頃、ここには宝探しに似た興奮があった。

 だけど今は、ガラスの奥から除いている空っぽの什器や、閉店した食堂の変色した食品サンプル、スプレーで落書きされたシャッターなど…衰退のニオイを感じるものしか目に付かない。少しでも華やかに見せようと点されているLEDライトの光が光が、寂しさをより強調しているようで、胸がギュッと締まるように苦しい。

 

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