失恋シュミレーター

第1話

　政府は、異次元の少子化対策。

　しかし、

　若者は、

　交際、別れを繰り返し。

　大人は、

　結婚しては、別れます。

　何なら熟年離婚なんてのもあったり…。

　愛する人は、あなた唯ひとりは、遠い夢？

　これでは、子供を育てる事も出来ず、子供が増えるわけもなく。

　政府は、少子化対策に、頭を悩ませていました。

　そこで、作ってみました。

　失恋シュミレーター。

　せめて、別れる事のない、幸せな結婚。

　辿り着く迄の、その道を正しく導くお手伝い、政府に依頼されました。

　私は、科学者、理系女子。

　量子コンピューターの世界的権威。

　私の初めて出来た恋人は、助手のあの人、あのイケメン。

　私の量子コンピューター。

　性能だけは、保証付き。

　完成間近のシュミレーター、

　とにかく、試して微調整。

　恋の行方をシュミレート？

　もちろん私の恋で試しましょう。

　足りない情報、調べましょう。

　私の恋のお相手の、

　助手の彼との将来は、

　明るく、眩しい未来だと、

　私の量子コンピューター。

　答えてくれるに、決まってる。

　でも…。

　最近の彼。

　仕事が終わると。

　すぐに帰ってしまいます。

　ふたりの時間が、無くなって

　映画も海も、行けなくて、

　彼は、とても疲れています。

　私の量子コンピューター、

　ふたりの未来は、どうなるの？

『ふたりの相性は、良好。このまま恋が、進展すると、幸せいっぱい未来の確率、９７％』

　えっ！

　１００％じゃないの？

　私の何がいけないの？

　私の量子コンピューター。

　答えて頂戴、

　ふたりの未来。

　１００％の幸せを、

　手に入れるための方法を。

　募る不安。

　見上げる夜の曇り空。

　星の見えない、暗い空。

　ふたりを未来へ導く星は、どこにある？

　星の見えない夜（よ）の私、

　あなたを探して、迷います。

　翌朝、彼の目はウサギ。

　赤く染まって、涙の目。

　私の恋は、ピンチなの？

　教えて、量子コンピューター、

　シュミレーターは、失敗ですか？

　それとも、これは３％？

　彼のお誘い有りました。

　真面目なその目で、話があると、

　今夜のディナーは、別れの晩餐？

　私の恋は、ひとつだけ。

　終わりの近づく、その恋を

　黙って看取ってあげましょう。