第31話 今日の晩御飯はどっか美味しいところに食べに行こうぜ⑤

「終わりましたね」

「終わったな」

「「疲れた〜〜〜」」


 俺と京子は背中を合わせて座り込む。

 今日はこのダンジョンが一つ目だが、もう帰ろう。

 それだけ疲れた。


 もう一回同じことをやれと言われても断固拒否する。


「そういえば、俺は結構称号が手に入ったんだけど、京子も手に入ったか?」

「え? あ、はい!」

「どんなの?」

「えーっと秘密です」

「……そっか。それがいいな」


 俺もすでにいくつかの称号を隠してるし、今回得た称号もあまり人に知られたくないものもある。

 特に、『聖女親衛隊』とかは聖女である京子には知られたくない。

 なんか、俺が京子のこと大好きみたいじゃないか。


 俺は京子に背を預けたまま自分のダンジョンGo!を取り出し、ヘルプを使って得た称号について調べていく。


 『災禍の生還者』

 ランクアップ現象などのダンジョン災害で生還すると取得できる。

 効果

 ・運のパラメーターが上昇する。

 ・スキル『直感』を獲得する。


 『双刀の極意』

 両手に武器を持った状態で同一ダンジョン内のモンスター千体以上を討伐すると取得できる。

 効果

 ・盾スロットに武器を装備できる。

 ・スキル『二刀流』を獲得する。


 『一騎当千』

 一度の戦闘で自パーティの千倍以上のモンスターを倒すと取得できる。

 効果

 ・敵パーティの数が自パーティの数以上だとステータスが大幅上昇する。

 ・複数体相手の同時攻撃のダメージが上昇する。


 『一撃一殺』

 一度の戦闘中に千体以上のモンスターを一撃で倒すと取得できる。

 効果

 ・クリティカル率が大上昇する。

 ・クリティカル発生時、相手に即死ダメージを高確率で与える。


 『最適解』

 戦闘中に最適解を選び続けると取得できる。

 効果

 ・クリティカル率が上昇する。

 ・最適解を選び続けるとHP、MP、SPの減少速度が低下する。


 『忍び、鍛える者』

 忍術を使って逆境を跳ね除け続けると取得できる。

 効果

 ・全ての忍術の効果が大上昇する。

 ・スキル『忍耐』を獲得する。


 『不撓不屈』

 戦闘時間三時間以上の戦闘に勝利すると取得できる。

 効果

 ・SPの減少速度が大きく低下する。

 ・スキル『逆境◎』を獲得する。


 『守護者』

 長時間戦闘でパーティメンバーにダメージを通さず勝利すると取得できる。

 効果

 ・防御系ステータスが上昇する。

 ・スキル『かばう』を獲得する。


 『聖女親衛隊』

 戦闘中、聖女を守り続けると取得できる。

 効果

 ・聖女がパーティにいる場合、全ステータスが倍増する。

 ・聖女がパーティにいる場合、HP、MP、SPの自然回復スピードが倍増する。


 普通のDランク探索者で五個持っていればいい方という称号を今回の戦闘だけで五個以上手に入れてしまった。

 この戦闘がそれだけ大変だったということだ。


 称号はどれもかなり効果の高いものだが、『聖女親衛隊』の効果は規格外だと思う。

 聖女がパーティにいる場合と条件が指定されているが、他のスキルが上昇なのに対して、このスキルは倍増だ。


(スキル名称もそうだけど、スキルの効果も京子には秘密だな)


 やさしい京子であれば、このスキルがあると知れば俺とのパーティの解散を躊躇するようになるだろう。

 この称号については京子には知られるわけにはいかない。


(俺もたまに一人でダンジョンに潜って、『聖女親衛隊』に頼り切らないようにしないと)


 聖女がいると大幅に強くなる称号を得たということは、聖女がいないと弱体化してしまうということだ。

 強い状態になれきってしまわないようにたまには一人で潜って調整しないといけないな。


 それ以外にも称号はたくさんあるが、この称号は条件が他人によるものなので、条件を満たせなくなった時のために称号なしの状態もちゃんと準備しておかないと。


(ん? もしかして、称号ってオンオフができたりする?)


 称号一覧をスクロールしていると、長押しするとポップアップメニューが出てくることに気づく。

 その中に、『ON/OFF』という項目があるのに気付いた。

 試しに聖女親衛隊の称号でOFFを選択してみると、称号がグレーアウトされた。

 どうやら、非活性になったらしい。


 これなら、一人でダンジョンに潜らなくても大丈夫か?

 今、京子とは共同生活をしてるからな。

 一人でダンジョンに出掛けていたりすると、バレるかも知れない。


 とりあえず、この称号はもしもの時以外はOFFにしておくことにしよう。


「それじゃあ、帰ろうか」

「そうですね」


 疲労もある程度回復してきたので俺たちは立ち上がる。

 そして、リザルトウインドウを進める。


――――――――――

Dランク以上のダンジョンを完全踏破しました。

『ダンジョンの種』を獲得しました。

――――――――――


「え?」

「は?」


 どうやら、ランクアップ現象の騒動はまだ終わらないようだ。


「京子にも出たか?」

「サグルさんもですか?」


 俺は同じタイミングで変な声を上げた京子に声をかける。

 どうやら、京子の方にも変なメッセージが出たらしい。


「俺の方には、『Dランク以上のダンジョンが完全踏破されました。ダンジョンの種を獲得しました。』って出てるけど、京子の方は?」

「こっちも同じです」

「とりあえず、これを調べてから出た方がいいと思わないか?」

「そうですね。危ない物だったらまずいですし」


 俺たちは再び座り直した。

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