たった一人の部長と新入生



A 女性 ラノベ研究部の部長

B 男性 新入生でラノベ研究部への入部希望者


A「ん?新入生の子かな?ようこそ、ラノベ研究部に。入部希望かな?」

B「あ、はい!よろしくお願いします!」

A「元気がいいね。私が部長だ。まあ、先輩たちが卒業して私一人になってしまったが、これからよろしく頼むよ」

B「部長一人なんですか?」

A「ああ。だから今年で部から同好会に降格してしまうが…。まあ、私たちがやることは変わらないから気にしないでくれ」

B「はぁ…そういえば2年生で入部した人って部長だけなんですか?」

A「ああ、そうだが。なぜだい?」

B「実は兄がこの部のOBでして、すごい新入生が入ってきたって。書籍化もされていると聞いてます」

A「兄…ああ、そういえば君と同じ苗字の先輩がいたな。なるほど、あの人の弟くんか。私もあの人には新作の感想を聞いたり、添削てんさくしてもらったりでお世話になったんだ」

B「そうなんですね。兄から教えてもらって部長の作品全部読ませてもらいました!それで…不躾ぶじつけなお願いですけど…。サインもらえませんか?」

A「私のかい?」

B「はい!ダメ…でしょうか?」

A「そうだね……。君はラノベはよく読むのかい?」

B「え?はい。兄がラノベ好きなので、その影響で」

A「なるほど。ならこれから君に兄君あにぎみの代わりをしてもらおうか」

B「え?兄の代わり…ですか?」

A「ああ。書籍化するにあたって私にも当然編集者がいるのだが、その前にいつも君の兄君あにぎみに読んでもらい、一読者としての感想を聞いていた。君にもそれをお願いしたい」

B「僕でいいんですか?」

A「ああ、サインは引き受けてくれたさいの前金として渡そう」

B「サインをもらえるうえに部長の新作を誰より早く読めるとなっては、むしろこっちがもらいすぎな気もしますが…」

A「そんな喜べるものじゃないと思うよ。当然感想を求めている以上、忌憚きたんのない意見を言わなければいけない。君にそれができるかな?」

B「そ…そういわれるとなかなか…でも、頑張ります!」

A「いい返事だ。君には期待しているよ」


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