Princesses' Fairytale~魔法と科学の出会いは何を魅せるのか?
@YukiiroKotoha
第一章:二人の王女と新たな世界
プロローグ
これは科学の世界でのある王女の物語。
これは魔法の世界でのある王女の物語。
これは科学の世界でのある王女の物語。
これは魔法の世界でのある王女の物語。
本来は交わることのない二人の王女の物語。
***
「今日は何の実験をしましょうか。」
そう言いながら私―エクスマキナ王国第一王女ルナモニカ・フォン・エクスマキナ―は離宮の自室で頭を悩ませていました。なぜ王城ではなく離宮に自室があるかというと、過去に王城の自室で新しい薬品の実験をしていた際にその薬品が爆発してしまい、王城の一部を壊してしまったからです。それを原因として研究の場という建前でこの離宮が作られました。まあ、どう考えても危ないから隔離されたんでしょう。私自身は結果的に、とはいえ実験に専念できる環境を入手できたので満足していますが。
今、私の手元には次に行うことを考えている複数の実験の計画書があります。例えば、蒸気機関に代わる新たな動力の開発。例えば、近年開発された新たな物質の検証。例えば、庭で行っている交雑実験の観察。また、そのほかに私の憧れている「あること」についての資料も混ざっています。ただ、こちらは例え祈れど叶うことのない、そして、実現できる可能性があったとしても叶えてはならない憧れであるのですが。
それだけたくさんあっても一度にできる実験の数は限られています。だからこそ悩んでるんですが、これを決めるだけでも時間が過ぎ去ってしまいます。
「決めきれませんね、今日は新しい実験を考える時間にしましょうか。」
最終的にそう決め、棚から新しい紙を取り出そうとすると、急に眠くなってきてしまいました。眠くなるにしても少し早すぎるような気がするのですが・・・?
「このまま机で突っ伏して寝落ちしてしまいそうです。」
そう呟いて私はペンを取って机に向かいましたが、抵抗することもできず、意識は沈んでいきました。
このときの私はこれからまさか、何もかもが変わって行くことになるとは考えてはいませんでした。
***
「さてと、今日も素材集めに行きますかー!」
私―ヘカテリア王国第一王女フレアニア・フィア・ヘカテリア―は今、王城の自室の窓際で私自身が魔法での飛行の補助のために作った魔法の箒を片手にそう言ってみた。まあこんな時間には誰も聞いていないんだけどね。
ええと、持っていくものは、普段から使っている長剣二本、予備の武器として使っている魔法剣、あと非常食を少々に魔力回復用の魔石、よし、一通りある。今日はどの方角に行こうかな。西の森か、北の平原か、東の山岳か、それとも南の丘陵地帯か。
「ん-、西の森に今日は行くことにしよっと!」
そう言うと同時に私は自室の部屋から飛び出してっと。次に箒に跨って普段から使ってる魔法を使って、空を飛んで西の方へ。
「ん?なにか違和感があるような・・・?」
森に着いたとき、ぱっと見は今まで何回も入ったことのある森なのに、何か変な違和感があった。少し迷ったけれども素材欲しさに森の中に突入することに決めた。お、魔物がいっぱいいる。
「来た来た来たー!素材がたくさん!」
そう言って二本の剣を抜いて、襲い来る魔物に切りかかった。けれども、それくらいではうまく傷を負わせられない。
「むう、さすがにきついかー、ならこれで、〈エンチャンテッドソード〉!」
そう言うと私の持つ二本の剣に魔法の効果が乗り、魔法剣になる。そして、その剣で切りかかると、あっさり魔物に致命傷が入り絶命した。やはり魔法の力は偉大である。
魔物を切り捨てた後、、残りの魔物に向き合い、一気に駆け出す。そして、そのまま切りかかっていく。
「なんか、いつもよりも少し数が多いかな?じゃあこれもセットで、〈ウィンド・バレット〉!!」
その声に反応して私の剣先から風の弾丸が何個も撃ちだされていく。それらは魔物へと直撃し、致命傷を与えていく。当然、そのときも剣を振るい続けていく。
戦闘開始から十分くらい経っただろうか、周りから魔物の気配が消えた。
「ふう、これで全部狩りつくしたかな。戦利品剥ぎ取りと行きますかあ。」
汗を拭いながらそう言い、魔物の素材を回収していく。毛皮でしょ、爪でしょ、魔石でしょ、その他にもたくさん!!最高!!
粗方素材を回収し終わって王城へと戻ろうとしたときにそれは起こった。急に眠気に襲われる。
「んー、やばい、外で寝るのは絶対にやばい、なんとか耐えないと…。」
そう言いはしたけれども戦いの余波もあってそのまま意識を手放してしまった。
私はそのとき知らなかった。次の瞬間何もかもが変わっていたなんて。
***
その夜、交わることのない二つの世界が揺れた。そのとき、誰もが意識を手放していた。そして、次に世界を認識した時、誰もが理解するだろう。そこは今まで自分がいた世界とは違う世界であると。
だって、その世界は、交じり合わないはずの2つの世界が融合してしまった世界なのだから。
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