第24話
目の前ではもがくフジマキ。
心の中ですまないと謝り、体重をのせチタンブレードを降りおろそうとした。
刹那だった。
乾いた破裂音が響いた。
突如、フジマキの肩あたりから血が出る。
「ぐあっ」
目をふさいだまま痛みに顔を歪める。
その時だった。
拡張現実が味方のサインを表示する。
僕は拡張現実が表示するサインの方向に目を向けた。
すると校舎の屋上に『ダスト』の狙撃班が二人。さらに拡張現実が反応し、複数の仲間のサインを表示する。
次々とアサルトライフルを装備した『ダスト』の隊員達が現れ視界で確認する。
アサルトライフルを装備した隊員達は僕とフジマキ、イリスを片側から囲むように一例に隊列する。
視界が回復したフジマキは目を開け、飛び込んできた光景に驚いていた。
「なんだ、これ?
フジマキは辺りを見回す。
僕とイリスは顔を合わせる。
マイクロイヤフォンから通信が入る。
『黒田訓練兵、イリス訓練兵。 聞こえるか?』
マイクロイヤフォンから聞こえてきたのは増原教官の声。
「増原教官!」
『詳しい説明は後でする。ふたりともそこを離れろ』
「しかしフジマキは銃弾が……」
『それは大丈夫だ。今、君ら二人をのぞく全員が特殊な弾頭を装備している』
「特殊な弾頭?」
『詳しい説明は後だ。まずはそこから退け』増原教官は感情を殺した冷徹な声で告げた。正直、僕は戸惑っていた。
「了解しました」
弱々しく答え、僕とイリスは顔を合わせ撤退しようとフジマキから距離をとる。
《ダスト》の隊員たちが一斉にライフルを構える。
フジマキは唖然としながらただ見ていたがふと僕の方を向いた。
僕とフジマキの視線が会う。
彼はなんだか悲しげな表情をしていた。
その瞬間、マイクロイヤフォンから増原教官の指示が聞こえた。
『発砲を許可する』
その言葉を機に隊員達が一斉に引き金を引く。
隊員達が放った弾丸は一斉にフジマキに向かい飛んでいく。
フジマキは右手で顔を防ぐ。
砂ぼこりが舞い上がり、煙が立ち込める。
隊員の一人が腕をあげると全員が引き金を引くのをやめた。
弾丸の嵐がとまり、フジマキの姿が視界で確認できた。
フジマキは銃弾を浴び身体の箇所に傷ができていた。
「嘘だろ。あれだけの銃弾をうけて死なないなんて」
僕は呟いた。
「そんなもの聞くわけが……」
フジマキは隊員達をみてニヤリと笑った。
彼の身体は活性型ナノマシンにより回復しようと穴が空いた皮膚が戻ろうとしたときだった。
傷口が修復されそうになったときだった。
塞ぎかけていた傷口が途中で止まっていた。「なっ……」
フジマキは驚いた表情をした。
僕とイリスも何が起こったのかわからず呆然とする。
致命傷になりそうな攻撃を喰らっても活性型ナノマシンで回復していたフジマキの身体に変化が起きていた。
「何をしたんだ……?」
僕は疑問を口にした。
ダストの隊員が腕を降りおろすと次には隊員達がまた引き金を引いた。
発射された弾丸がまたフジマキを襲う。
「ぐあぁぁ」
フジマキは右腕でガードするが銃弾が彼を貫いていく。
皮膚が再生しかけそこをまた銃弾に貫かれていく。
「また僕をのけ者にするのかぁぁ」
フジマキは痛みに顔を歪めながらさけんだ。それは彼の心の叫びに聞こえた。
フジマキは右手でガードしながら隊員達がいるほうへジャンプした。
「ガァァ」
隊員達は銃口を空へと向けるが遅く、跳躍したフジマキが真上に来ていた。
彼は隊員の何人かを落下した勢いで踏みつける。
すぐに隊員は引くが何名かはすでに絶命。
僕とイリスはフジマキへと駆ける。
隊員達はフジマキに銃口をむけ、引き金を引き続ける。
銃弾があたる度にフジマキは痛みで顔を歪める。
しかし、彼も此方に反撃を繰り返す。
「フジマキィ!」
僕は彼の名を叫んだ。
フジマキは僕の方をジロリとみる。
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