第7話

上級ダンジョンのソロ攻略で、Bランク討伐者となった

そして最後のレベルアップの儀式を行う

数えてはいた訳ではないが、恐らくレベルは99か100だろう


俺は1つの可能性を探る為に魔大陸へと向かうことにした

ここで問題が発生した

アルカナ大陸と魔大陸をつなぐ道は1つしかないのだが、その道が通称「死の道」と呼ばれており凶悪な害獣が沢山いるこの世界でも最大の危険地帯とされている



その為、1人で渡るにはAランク以上の討伐者、チームだとBランク以上でないと通行許可がおりないのだ


レベルがカンストしているから俺はAランク討伐者と同じくらい強い!!と言っても規則だからと拒否された


まさかこんな事で躓くとは…


途方に暮れていたらえらい美人が近寄ってきた

あろう事か、その美人は毛むくじゃらの俺に話掛けてきた


「こんな所でどうしたの?」


近くで見るとさらに美人、しかも身長が高い…180くらいだろうか?それにこの世界では珍しい黒髪

なのだがよく見ると体つきが意外とがっしりしてる?ような気がする


愚痴っても仕方ないがこれも何かの縁だろうと思い今置かれている状況を話してみた


「それはなんとも…君は幸運だね、ついてくるかい?」


質問の意味が分からなかった

一体どこへ向かうと言うのだろう?


「ははっ、やっぱり僕ってオーラがないのかな?」


そう言いながら胸元から何かを取り出し俺へと渡す


それは魔大陸の物ではあったが、確かに討伐者カードだった

そしてそこに記されていたランクはA…


この人がAランク討伐者だって?

俺とあまり歳が変わらなさそうに見えるのに

確かに驚いた、凄いと思った。それは嘘じゃない

でもそれよりもこっちの方が衝撃的だった


「僕…??」


確かに少しガタイはよさそうに見えた、若干違和感は感じた…

でもこれが男!?


その反応に美人な彼は不服そうな表情をする


「失礼しちゃうな!!僕はれっきとした男だよ!!なんなら証拠を…」


そう言いながらズボンへと手をかける

やめろ!やめてくれ!!開けてはいけない扉を開けそうになるじゃないか!!


「す、すまん!!悪かった!だからこんな所で…」


「はは、冗談だよ。心外だけどそっちもよく言われるんだ…男らしくしたいんだけどね、髭もあまり生えてこないし…」


そう言いながら口周りを撫で回す

髭だけの問題ではないだろ…

見た目とは違いなんだか変な奴だ

えーと、名前は…討伐者カードに書かれている名前を見る


「ルイス、でいいか?俺の名前は和泉」


「和泉?それなら君はやっぱり召喚された異世界人なんだね」


異世界人は珍しいんだろうか?

それにこの言い方だとルイスは異世界人ではないみたいだ、こんな綺麗な黒髪をしているのに


「あぁ、これかい?」


ルイスは自分の髪の毛を掴む


「僕の祖父が異世界人なんだよ、だから異世界の話をよく聞いていてね。異世界人とも会ってみたかったんだ!!」


ということは50年前に魔大陸に召喚された異世界人の子孫という事か


遠い異世界の土地で同郷の子孫に出会う…なんだかとても壮大な物語の登場人物になった気分だ


俺が前衛、ルイスは魔法タイプなので後衛

ルイスは1人で死の道を渡れる実力者だから俺が居ても何も変わらないと思うけど…


連携も上手くとれており害獣自体もそれなりに強いが言うほどか?と思うレベル

これなら俺1人でもこれたんじゃ…


しばらく進むとそんな俺の考えを打ち砕くような害獣の群れが現れた

5…10…15…いやどんだけだ!!

流石にこの数は相手出来ないだろ、慌ててルイスの方を向く

なぁに?とでも言いそうな顔で首をこてんと傾げる

可愛いなぁ!こいつ!

じゃなくてっ!!


「なるべく1箇所にまとめれる?」


こいつあれと戦うつもりか?

いや、でもこいつはAランク…力の一端を見れるかもしれない


攻撃を避ける事に集中して、俺に注目させれば…


「ルイスっ!!」


「風よ、ウインドストーム」


ウインドストーム…確か上級の風魔法だったはず

しかも今気付いたけど普通の魔法より詠唱が短い?


ウインドストームによって俺を追い掛けていた害獣が竜巻に閉じ込められる


「火よ、ファイア」


ファイアを放つとウインドストームが炎の竜巻となった

その中で害獣達は燃え尽き、塵となった


どうやらさっきの場所が山場だったらしく、それ以降は害獣の数も減り無事魔大陸へと着いた


「ルイス、ありがとう。君がいなかったら俺は死んでたよ…いや、そもそも死の道を渡ることも出来なかったか」


ルイスへと別れの言葉を告げたのだが、ルイスの表情が変なものになっていた


「ルイス?」


「魔大陸へ帰って来たけど大してやる事はないんだだから和泉、君さえよければ僕が魔大陸を案内してあげようか?」


少し寂しそうな、不安げな

そんな表情をしたルイスがそこにはいた


その申し出自体はとても有難く、なんならこっちからお願いしたいくらい


というかルイスにこんな顔をされて断れる奴なんているのだろうか…

こいつは男!こいつは男!と自分に言い聞かせたのはここだけの話


こうして俺はルイスと魔大陸を旅する事にした

俺は強くなる為に、アルカナ大陸にはない技術や武器、戦い方を求めて魔大陸にやってきたから丁度よかった



――1年後



いろんな場所に行った

色々と収穫はあった、中でも特に俺の興味を引いたのはステータスを見ることが出来る魔法の存在


この世界にきてすぐの頃、ステータスオープンなどと叫んたりして自分のステータスを見れないか試行錯誤したくらいには欲しかった魔法だ


幸運な事にそれを知っていたのはルイスだった

系統は無系統に分類されしかも初級

とは言え魔法は魔法、俺に魔法が使えるのか?と思ったが魔法は習得方法が決まっていてそれを満たせば誰でも使えるらしい


その情報はさらに俺の心を踊らせた

俺はまだ強くなれるんだと!


なにはともあれまずはステータスの魔法

習得法は簡単なものだった

12時間連続瞑想をするだけ

ただしそれを1年間続けないといけないというのが厄介だった

世間的にこの魔法が知れ渡ってないのは、習得法のせいだろうとルイスは笑っていた


流石に1年間付き合ってもらうのは悪いのでルイスとは別れた

ただ瞑想するというのも、もったいないので近くに武術の道場がある所に宿を取った

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