異世界転移編

第1話

激しい光に視界を奪われた

「祐二ー!傑ー!剛ー!」


大声で叫ぶが返事はない


光が収まり徐々に視力が回復してきた


「どこだここは」


視力は回復したのに辺りは一面真っ白で何も無い所だった

剛達だけじゃなく教室にいた他のクラスメイトの姿も見当たらない


何が起きた?

誘拐!?それにしてはなんだか…


(スキルを選べ)


困惑している俺の脳内に声が響く

なんというか気持ち悪い

脳内に文字が浮かんできて、耳の内側から声がするような感覚


「あんたは誰だ?」


(スキルを選べ)


「会話する気、あんのか?」


(スキルを選べ)


(お前は一体誰なんだ?何が目的だ)


相手に倣って脳内で(?)話しかけて見ても返答はない


会話は不可能っぽい

まるでゲームのチュートリアルのような…

それにスキルって一体!?


状況が飲み込めず混乱していたら右手の中にスマホのような物が現れた



〈スキル一覧〉

・魔力増加

・魔法想像

・魔法適正+

・剣術

・槍術

・弓術

・斧術


スマホの画面を見てみたらこんな感じだった

スキル一覧?

本当にゲームみたいじゃないか

ここからスキルを選べってか?

何個選べる?オススメは?スキルの説明は?

分からない事だらけじゃないか!


軽くスクロールしてみたが画面が下にいくだけで止まる様子はない

ただでさえ分かんない事だらけなのにスキルの数まで尋常じゃなく多いときた…

はぁ…どうすっかね?


とは言えやれる事など1つしかなかった

俺のモットーは何事も慎重にだ

全部見るしかねぇだろ!


どれくらい時間が経ったのだろうか?空も時計もないので分からないがかなりの時間をかけて全てのスキルを見た

中には魔王や戦士、賢者などのスキルというより職業のようなものまであった


厨二心のままに選ぶとしたら魔王なんて最高だろう

だが俺の性格はそれを許さない

スキルは見たが未だ何が何だか分かってない

情報を得られないかと色んな操作をしてみる

ふとスキル名を長押ししてみた

すると…


・弓術

〈スキル名:弓術〉

効果:弓の扱いが上手くなる

派生スキル:弓術+、中級弓術、上級弓術、弓マスター

使用方法:指定武器所持時発動

必要技能:力10、技15、速5


詳細画面が出てきた

派生スキルに必要技能…

分からない事がさらに増えた

それでも…


さっきの何倍もの時間をかけて俺は全てのスキルの詳細画面を見た

その中で1番必要技能が高かったのが魔王だった


・魔王

〈スキル名:魔王〉

効果:魔王の如き力を手に入れる代わりに聖属性が弱点になる

派生スキル:魔神

使用方法:常時発動

必要技能:レベル100、体力10000、魔力10000、力500、技500、速500、魔500


レベルという概念もあるみたいでますますゲームっぽい


全てのスキルを見ていく中で1つの仮説に辿り着いた

理由は分からないが今のこの状況は、俺が好きなアニメや漫画でよく見る異世界転移ではないか?と

そして今はよくある異世界転移ボーナスを貰う時間じゃないか?と

ならばこのスキル選びはかなり重要となる

そしてスキルは1つしか選べないと想定して考える


俺は仮説を基に再度全てのスキルを眺める

そしてもう1つの仮説に辿り着く

必要技能を満たしていない場合、そのスキルは使えないんじゃないか?と

もしそうなら強いスキルを選んでも使えずに終わってしまうかもしれない


それなら俺が選ぶスキルは…


・リセットボタン

〈スキル名:リセットボタン〉

効果:1度だけ転移時に戻る事が出来る

派生スキル:なし

使用方法:スキル所持者が生存時「リセット」と叫ぶ

必要技能:なし

EX:リセットボーナス有


このスキルにしますか?

○はい ○いいえ


迷わずはいを選択


すると再び視界が激しい光に覆われる


視力が回復してきた


今度はさっきのような白い部屋ではない

でかい部屋だ

高校の体育館くらいはありそうな広さ

装飾は派手で金色のシャンデリアのような物まである


「和泉っ!!」


「傑!」


俺を見付けた傑が駆け寄ってくる

辺りを見回すと他のクラスメイト達もいた

すぐに祐二と剛も合流した

3人に確認した所、3人も白い部屋に行きスキルを選んだみたいだ

祐二は魔法適正(全)、傑は剣術+、剛は勇者というスキルを選んだらしい

俺のスキル一覧には魔法適正はあったが魔法適正(全)はなかった、剣術はあったけど剣術+はなかった。

それに勇者なんて見かけてもない、魔王はあったけど…


剣道部の傑は剣術+があって、主人公っぽい剛は勇者がある

それぞれ人によって選べるスキルが違うってことか


俺のスキルも聞かれたが格闘術と嘘をついた

例え信頼出来る仲間でもリセット出来るスキルなんて教える訳にはいかない…


「転移者の皆様!!どうか私の話を聞いてください」


教会の司祭っぽい服装をしたおっさんが大声で叫ぶ


「私の名前はケジリ=ホーキンス。女神教の司祭です。貴方達はこの異世界に召喚されたのです」


仮説が当たったようだ

本当に異世界転移なんてあるんだな

たまに行方不明者がでるのも異世界転移のせいだったりして…


それを聞いたクラスメイト達の表情は様々だった

歓喜する者、泣く者、複雑な表情をする者


クラスメイト達が落ち着いてからケジリは説明を始めた


この世界の名前はユーグレナというらしい

異世界ものでよくある剣と魔法の世界

ユーグレナには人間が住むアルカナ大陸と魔族が住む魔大陸の2つの大陸があるらしい

人間と魔族が争っていて魔王を倒してくれ

なんて事はなく人間と魔族は良き隣人として暮らしているらしい


ただこの世界には害獣と呼ばれる生物がいて

それらは人間と魔族を食料にして生きている

害獣に対抗する為、女神が50年に1度異世界人の召喚が出来る召喚陣を作ったとされている

アルカナ大陸と魔大陸交互に召喚している為、アルカナ大陸での召喚は100年ぶりだそうだ


俺たちは害獣と戦う為に召喚されたということだ

人間と魔族も害獣と戦っているが異世界人の方が強いらしい

それにはきっとスキルが関係しているのだろう


最後にこの世界に召喚された者は元の世界に戻る事は出来ないと告げられた…

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る