第3話 初めての友達


 ホームルームが終わり、入学式という事で授業も無い為、終わり帰りの支度をしていると隣の席の男子?が話しかけてきた。


 

「やぁ、僕の名前は綾小路雪、よろしくね!」


 

 そう話しかけてきた男の子…いや、おとこの娘?それとも女子なのか?分からない…どっちなんだ?

 優は困惑しながらも自己紹介をする。


 

「俺の名前は佐藤優だ。こちらこそよろしく!俺の事は優と呼んでくれ。」


 

 そう言いながら握手をする。


 

「じゃあ僕も雪と呼んで欲しいな。」


 

 そう照れくさそうに雪が言ってきた。


 

 雪の容姿は名前に違わず雪のように白い肌、背も優の胸の辺りまでしかない。

 顔付きも女の子と言っても過言では無いが、スカートでは無く男子指定のスラックスを穿いている。


 

 (もしかしたらスカートが穿けない理由があって、僕と言っているのも、ただのボクっ娘なのかもしれない!そうだよな、こんなに可愛いだもん、きっと女の子に違いない!高校に入って1人目の友達がまさかこんなに可愛い子なんて·····ふふふ、フレンドからガールフレンドになったりしちゃったりして!よし!聞いてみよう!)


 

「そうか、雪って呼ばせて貰おうかな。あぁ、つかぬ事を聞くが女の子…」


 

 優が女の子と発した瞬間に雪の背後に般若の顔が見えた。

 とてつもないプレッシャーを感じる。

 雪が満面な笑みなのが余計に恐怖を感じさせた。


 

(間違いない、殺る気だ。ここでの選択を間違えたら間違いなく殺られる!雪はこんなに可愛い顔をしてスタンド使いだったんだ!)


 

 この間わずか0.001秒!

 優は質問の内容をすぐさまシフトチェンジした。


 

「女の子…のタイプとかあるのか?」


 

 その瞬間雪の背後の般若が見えなくなった。


 

「女の子のタイプかぁ、そうだなぁ…」


 

 そう言いながら雪はこっちをチラチラ見てくる。


 

 (僅かに頬が紅いのは気のせいだろう。だってそうだろう?俺たち男同士だもんな?だよな?そうなんだよな?…なのに何で、そんなに頬を紅く染めてるの?どうしてチラチラこっちを見てくるの!?)


 

 優は1人悶々とあれこれ考えていると雪が口を開いた。


 

「ん〜…内緒」


 

 そう言いながら片目をつぶり、人差し指を優の唇に付けた。


 

 ゴーンゴーンゴーン。

 優の脳内に結婚式場でよく聴く、鐘の音が再生された。


 

「毎朝味噌汁を作ってくれないか?」

「え?味噌汁??優お腹すいたの?」


 

 (…はっ!危ない危ない。今脳内で一瞬、雪と結婚式を挙げてた。)


 

「あぁ、そうなんだよ。朝少し寝坊しちゃってな。食パン1枚しか食べて無いんだよ。アラームを7時にかけたと思ったら8時に間違えたらしくてな。笑えるだろ?」

「あぁ〜、分かる。僕もたまにやっちゃうもん。」


 

 (…はっ!いかんいかん。雪の仕草がいちいち可愛すぎる。)


 

「そうだ雪、こうして友達になったんだから、連絡先交換しないか?rinneとかやってる?」

「うん!交換しよっか!えへへ、優と連絡先の交換嬉しいなぁ」


 

 そう言いながら雪は頬を紅く染めながらQRコードを差し出してきた。


 

 (え?この子はなんなの?わざとなの?俺の事が好きなの?ラノベでよくある、鈍感系主人公でも無ければ、難聴系主人公でも無い限り、好きなのかな?って思うのは仕方ないよね?ねぇ?そうだよね?…なんかこの際男の子でもいいような気がしてきた。だってこんなに可愛いだもん。きっと親も許してくれるさ!…いかんいかん。俺はまだ諦めない、絶対に可愛い彼女を作るんだ!)


 

「そうか、俺も雪と連絡先を交換出来て嬉しい。そうだ、良かったらこの後一緒に帰らないか?ほら、俺たちもう友達だろ?まだ時間もお昼前だし何か食べて帰らないか?」


 

 そう言うと雪は嬉しそうした。


 

「えへへ、じゃあ優と初めてのデートだね!」

「子供は3人が良いです。」


 

 優はそう言いながら雪の手をとっていた。


 

「え?子供?3人?何の話?」

「いや、こっちの話だ」


 

 (危ない〜。またトリップしてた。雪と3人の子供に囲まれてたよ。)


 

「よし、じゃあ帰るか。」

「うん!」


 

 こうして優と雪の禁断のラブコメが始まった。



 

「いや!始まってないから!おい!ナレーション!勝手に始めるな!ラブコメのラの字も始まってない!」


 優の虚しいツッコミだけが空に響いた。

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