雪像事件

ミンイチ

第1話

『現在、〇〇市では大雪像大会が開催されています』


 ゴールデンタイム少し前の各地域のニュースの中からそんな声が聞こえてくる。


『今回の大会では子ども向けの部門、大人が楽しんで作る部門、大人が本気で作る部門のコンテストがあり、それ以外にも一般の方でも自由に作ることができる場所があるそうです』


 私は本気で作る部門でエントリーしており、1ヶ月ほど前から作成を開始して今日の夕方にやっと完成したのだ。


『今回は特別ルールとして、雪像に色をつけることが可能です』


 私も自分の作品に綺麗な色をつけた。


 欲しかった色を見つけるのに1週間ほど時間がかかったが、なんとかほしい色を見つけてそれを使った。


『今回も力作が勢揃いしており、一番大きな八岐大蛇やまたのおろちの雪像は迫力満点です』


 確かに、あれはすごかった。


 しかし、私の作品の方がすごかったはずだ。


『この雪像大会は今月の◇日まで開催しています

 では次のニュースです』


 なぜ私の作品を写さない。


 私の力作なんだぞ。


『1週間ほど前から続いていた連続殺人事件の犯人が判明しました』


 なぜ私の顔が写っている?


 私はただ、私の作品──椿の雪像に相応しい綺麗なを探していただけなのに。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

雪像事件 ミンイチ @DoTK

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

同じコレクションの次の小説

本の世界

★3 現代ファンタジー 完結済 1話