第22話 武官オリオンとアメリア ③
地球にたどり着いてから、すでに一週間が経っていた。
アメリアはハンネスと会えないまま、ただ時だけが過ぎて行くことにいらだち、怒り始めた。
「お前は優秀な武官だと聞いていたが、このありさまは何なのだ?
ワープトンネルではルカを見失ったし、この星へきてからは、もう一週間も経つのに、まだハンネスさまの居所さえ探し出せていない」
そう言って、アメリアはオリオンを睨み付け、終いには近くにあった物を手当たり次第に手に取り、投げつけた。
アメリアの言葉と粗暴な行為に、オリオンは、全く迷惑な話だ、と心のなかでつぶやいた。アメリアは美形の姫ではあったが、エルフィンの奇跡にも近い美しさの前では、比べようもなかった。
いくらアメリアが恋い焦がれ、ハンネスに尽くそうとも、ハンネスの心はすでにエルフィンへの想いで満たされていた。いくら美しい娘であろうとも、ハンネスの心に入り込める余地など、全く残されていないに等しかったのだ。しかし王家の血を引くこの娘は、ハンネスの伴侶は自分だとなぜだか堅く信じていた。
残酷なようだが、この娘に現実というものを知らせるべきだと、オリオンは思った。
「医官ハンネスに会わせることはまだ出来ませんが、遠くからその姿を見ることは可能なので、ご案内します」
と、オリオンはアメリアに言った。
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