第9話 騎士と永遠のレディー ②

 ある日の朝、オスカーは誰もいない早朝の広場で、ルカがひとりたたずみ、何か不思議なことをしているところに出くわした。

 両手を使って、何かを作っているようなしぐさをしていた。

 そしてそのあとボールを投げるようなしぐさをしたのだが、とつぜん遠くで小さな炎が舞い上がり静かに消えていった。


『何だろう?』

と思い、オスカーはルカに近づいて行って、何げなく聞いた。


「何をしているんだい?」


 驚いたことにルカは、

「フォース玉投げ」と無邪気に笑いながら答えた。


 驚いたことにルカは、フォースの球を作っては投げる、という遊びをしていたのだった。


「お祖父さまから昔、教えてもらった遊びなんです」

と素直に答えるルカに、オスカーは仰天した。


 ルカはまったく気づいていないようだったかったが、それはフォースを操るための、最初の初歩的な訓練だった。


「小さい頃、兄がお祖父さまと一緒に、毎日、庭で武術の練習をしていたんです。

 僕も一緒に練習がしたくて、

『教えて・・・』とおねだりしたら、

『それでは、この遊びをマスターしたら、教えてあげよう』と言って、教えてくれた遊びなんです。

 でも小さい頃は、この遊びがうまく出来なくて、一緒には練習させてもらえませんでした」


 オスカーはなぜルカが、あの総統の執拗な攻めを受けながらも、あの奥の間から脱出できたのか、初めて理解したのだった。

 ルカはフォースを使って、総統の攻めを耐え抜き、扉までたどり着いた。

 そして自分でも知らないうちに、フォース爆弾を扉に放ち、扉を壊したのだった。

 ルカの持つフォースは、特別なものだった。

 そしてそのフォースを操るすべを、きちんと体得していなことは、危険なことだった。しかしそれを教えられる者は、帝国には、誰もいなかった。





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