第56話 まふゆの診断



 白い病室ーー普通の部屋と変わりはなく病室の半分にはベットは置かれている、しかし、反対側には巨大なモニターがあり、太い配線や危機が床に散乱している。俺は椅子に座り、目の前に立つ銀髪のまるで人形みたいな少女を見据えた。



「くん、くん。くん、くん。先輩の頭からさゆりの匂いがする」



 まふゆは俺に鼻を近づけ匂いを嗅いだ。



「おい、変にくっつくな」



 まふゆの身体を押し除けようとしたが、その手は吸い寄せられるように彼女の胸を触った。



「先輩のえっち……」



 無表情だが頬を赤め下を向くましろ。手には小さめだが柔らかな感触と、彼女の背後に浮いていたロボットアームが俺の両手を掴んでいた。



「……おれの腕を勝手に操作するなよ」




「むぅ……胸を触って反応しないなんて、もしかして先輩は男好き?」



「ラブコメの漫画の主人公じゃあるまいし、これくらいのことで……」



 もみもみーー



「手は正直……先輩が私に欲情してくれて嬉しい」



 そう言いながら、彼女は俺が離そうとする片手を両手で掴んで手を動かす。



「……機械がダメって言われたからって自分の手で揉ませることが合法だと思うな!」



「先輩、自分の欲望には素直になった方がいいと思う。我慢は良くない。私は欲望に素直な先輩が好き」



「おれは常に自分の欲望に素直なつもりだ。自分の気持ちに嘘をつくことは良くないと思っている」



「そう、両思いで嬉しい」



 まふゆは俺の両手をギュッと掴んで顔を近づけてきた。AIで生成された美少女画像のように精巧で整った顔が目の前にズームされ、少しドキッとする。



「なんで、婚姻届けと印鑑を持っているの?」



「私たちの愛を法的に証明するため。大丈夫……先輩はここに名前と印鑑を押すだけだから。あとの手続きは全部私がやって置く」



「それはものすごく困るだけど」



「どうして? 私なら先輩を幸せにできる。高収入で出世街道まっしぐらの美少女。働かなくても3食ご飯が出るし、先輩はお家でゴロゴロしてればいいの」



 自身を美少女と言うやつに美少女はいないが、悔しいことにまふゆは誰もが認める美少女だった。仮に人工的に作られた美少女だと言われても多くの人はその事実を疑うことはしないだろう。




「むむむ、それは大変魅力的だけど人としてなんだか終わってるような気が……」



「私なら、先輩のどんな性癖も受け入れられるし、なんなら……お薬で⬛︎⬛︎⬛︎を生やして、先輩を本当の女の子に……」



 まふゆは俺を抱きしめて耳元で囁いた。

 そしてさりげなく彼女は腿から徐々に手をなぞるように上げてくる。



「女の子がそんな下品な言葉ってーーひぇ……!!?」



 身の危険を感じた俺は彼女から離れた。




「そ、それよりも、さゆりに生えたあれは治るの!?」



「むぅ……反応が早い。さゆりは大丈夫。一時的なものだから、時間がたてば正常になる。先輩も無くなっているでしょ?」



「へっ……? あっ、あれーー!!??」



 俺の下半身に存在していたジュニアはいつのまにか姿を消し、そこはまだ草地も生えない双丘に変わっていた。



「残念、サンプルとっておけば、あとでこっそりと人工繁殖も可能だったのに……」



 まふゆは心底残念そうに呟く。



「おい、それは普通に犯罪じゃないか!」



「大丈夫、バレないようにやるから」



「おれに話している時点でアウトだろうが!」



「安心して先輩には迷惑はかけない。ちゃんと育てるし、認知だけしてくれればいい」



「やだよ。そんなの子どもが可愛そう……」



 お父さんが女児でニートなんて俺でも嫌だ。



「じゃぁ、その時は責任者とって籍にはいって」



「えっ……ん? あっ、はい?」



 考えず暇もなく返事をしてしまった。

 まふゆがきょとんと目を丸くしてフリーズしたように俺を見る。



「ふーん。先輩……お人好しすぎ。これじゃぁ、私以外の他の女にすぐにつけ込まれちゃいそうで心配……そうだ、発信機付きの首輪つけていい?」



「い、言いわけあるかー!!」



そんな俺とまふゆを、ベットに座った鳳凰院めいが呆れたようにみていた。



「ねぇ、私の病室でイチャイチャしないでくれる? ものすごく迷惑なんだけど」



 彼女はそう腕を

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