第3話 家出の結末

僕が狩野さんと小屋の中にいると大人の男の人の声が聞こえた。


「誰かいるぞー」


しばらくすると小屋の扉が開いて男の人が入ってきた。


「いたぞー」


その人は大声で誰かに知らせているようだった。

少しすると数人の大人が集まってきた。

おそらく僕たちを近所の人達が探してくれていたのだろう。


大人の中には僕のお父さんとお母さんもいる。

僕はお父さんとお母さんを確認して少しほっとした。



「ウッ」


僕の頬に衝撃が走った。

お父さんが僕を拳で殴ったのだ。


僕は痛みに耐えながらお父さんの方を恐る恐る見た。


「何でこんなまねをしたんだ?」


お父さんは怒りに震えた声で怒鳴った。

僕はお父さんがこんなに怒るのを初めて見た。


「お父さんとお母さんがどんなに心配したかわかるか?」


お母さんの顔はこれ以上ないくらいに泣きはらしている。

体中の水分が出てしまうんじゃないか?

それくらいお母さんは涙で覆われていた。


お母さんは声にならない声で僕に言った。


「良かった・・・。」


僕は安心と後悔と痛みが入り混じって声を上げて泣いた。


「お父さん、お母さん、ごめんなさい。」


僕はこんな時に非常識かもしれないが嬉しかった。

お父さんとお母さんが僕のことを本気で心配してくれたから。



問題は狩野さんの方だった。


狩野さんは僕に両親のことを自慢していたし、血の繋がりを僕に主張していた。

でも、狩野さんの両親は来なかった。


狩野さんの両親は狩野さんのことが心配じゃないのかもしれない。

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