電車

電車

　今、レールの上を走っている。そのレールは開通からまもなく20年が経過するが、運の良いことに、ほぼ毎日のように点検してもらっている。だけど僕は不安だ。

　今日はとても天気が悪い。見通しが最悪だ。この先に何があるのか分からない。そのせいで、切り立った崖に向かっているようにさえ思えてくる。

　スピードが上がってきた。思わず目を背けてしまう。不安が募っていく。さっき通り過ぎたレールを左にいけば良かったと思えてくる。

　その度に、僕は思い返す。あの駅を出発した時、車掌さんに言われたのだ。だから僕はまた前を向いた。