2-11 絶対に内緒にしてよ?
珊瑚宮。
「遅かったな。なにか問題でも起こったのか?」
「問題? ええっと、
は? と
「ど、どうしたの、
「ただいま、じゃないよ。
「
「
「ちょっと待っていただければ、髪の毛を直したり着替えも手伝えますから、先に化粧を落とされてはどうですか?」
「うん、でもこれって洗えば落ちるのかな?」
それはですねー、と
「これなに? なにが入ってるの? どうしてこれで化粧が落ちるの?」
「私がわかるわけないじゃないですか」
当然のように
「これをぬるま湯に浸して落とすと良いと言われただけなので、気になるなら、まずはご自身でやって調べてみては?」
そういうのが
「顔を洗うだけで済めばいいけど。あの調子だと当分帰って来ないだろうな」
花嫁衣裳や肩に掛けていた真紅の羽織が、汚れないことを祈るばかりである。
「それで、鳳凰殿でなにがあったんだ?宗主と
「ああ、あの下手な茶番劇のこと?」
「問題はそれじゃなくて、あの宗主サマだよ。
言って、
最初の頃は、あの"渓谷の妖鬼"ということもあって、かなり警戒していた
(
特級の妖鬼などではなく、神子の眷属で
神子の生まれ変わりである
だから、今、こんな風に普通に会話をしている自分自身、実は恐れ多いことなのでは? と改めて思うのだが、飼い主に置いて行かれた犬のように不貞腐れている彼の姿を目の前で見てしまうと、その感情はどこかへ消え去ってしまう。
「あんたも、なんか大変だな。主があの調子じゃ、気が気じゃないだろうし」
「ホントに、あのひとは昔から······ああ、昔って言うのは、俺が神子に拾われた時からって意味なんだけど。昔からだれにでもあんな感じだったから、俺も
そこまで言って、はっと
「
「····俺が話したっていうのは、絶対に内緒にしてよ?」
「もちろん! で、
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