第3話 城門の中に!

又も荷馬車が背後から来るが、横を駆け抜ける所で止まる。

「兄ちゃん乗ってくか」

「お金が無いんで、乗れません」

(銀貨はないよ、運転手さん)と心の中で思う。


「それならば、なにか食べ物を持ってないか?」

「食べ物?それならこのクッキーではどうですか?」

包みを開けて缶の中から一つ出す。


「オイオイそんな高級な物は銀貨より高いぞ! それなら3枚くれよ1枚は食べるが2枚は家族にお土産だな、さあ乗れ」

クッキーを渡したら、荷台に座らせて貰った。


「あとこれ紅茶です、喉が乾いたでしょう、さしあげますよ」

缶の蓋を開けておじさんに渡した。

「オオ悪いな、確かにクッキーは、甘くて美味いが喉に絡みつく」

おじさんと話しながら、この辺のことを聞く。


聞いた事の無い国や街の名前、そして王都には王様がいるらしい。

この先の街は何処かの貴族の領地で、領主がいるらしいと。

酔いが覚めて来たな、やはりSFのパラレルワールドだな。


俺はまずは生きていかなければならない。

「おじさん、さっき食べたクッキーは売れますか?」

運転しているおじさんに聞いてみる。


「そうだな〜、俺は銀貨1枚で譲って貰ったが、もしかすると金貨1枚の価値があるかもな、あの美味しさならな!」


「良いんですよ、俺が楽してますので!」

そうか、金貨一枚か、銀貨何枚分なんだ?


「それは商業ギルドに売りに行った方が良いな、俺は小麦を売りに行くので一緒に着いてくると良いよ」

親切なおじさんは、売り場所まで案内してくれるみたいだ。


「本当ですか、助かります!」

俺はウキウキしていると、しばらくして街の外壁が近づく。


「かなり大きいですね?」

「そうだね貴族の領地の次に大きいかな、王都は何倍も大きいぞ!」

(やっぱり、夢と魔法の王国の城門と違うな)


立派な城門に突き当たる、何人か並んでいるが、しばらくすると順番だ。

門番に言われて、おじさんは胸から何かの板を出す。


「よし通れ、次はお前だ身分証明書を出せ!」

一応探すふりして。

「え〜と持ってません」


少し険しい顔の門番さん。

「なら、銀貨5枚と個々に手をおけ」

「すいませんお金も無いです」

どうしようかと思っていると、さっきのおじさんが助け舟を出してくれる。


「あゝ待ってくれ門番さん、俺が立て替えておくよ、仮の身分証を発行してくれ」

おじさんは門番に銀貨を渡した、俺は石の上に手を乗せた。


「よし犯罪者じゃないな、この紙を渡す、10日間の仮入場書だ!

出る時に金は返す、延長ならもう一度こちらに来い、銀貨5枚持って来てな!」

「おじさんすいません、立て替えて貰って」

おじさんに頭を下げて、ぺこり。


「いや良いよ、さっきのクッキーの代金だ、それでも足りないかもな!」

2人を乗せた荷馬車は街に入って行く。


しばらくすると、立派な建物が見える。

「ここが商業ギルドの建物だ、降りて玄関で待ってて来れ、裏側に荷物を置いてくる」

「なら中で待ってます」


そお言って降ろしてもらい俺は玄関に向かう。


玄関を入ると大きな吹き抜けだった。

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