花が咲くまで初見月。

ミンイチ

第1話

 去年の年末、君が倒れた。


 お医者さんが言うには、とても珍しい遺伝性の病気らしい。


 そして、延命治療をしたとしても、現代の技術では2月ごろまで持つかどうからしい。


 僕は絶望した。

 

 君と一緒に桜を見に行くという約束も、一生一緒に暮らしていくという約束も、そのほかの色々な約束も果たせなくなってしまう。


 しかし、お医者さんがコールドスリープの提案をしてくれた。


 君を眠らせて、君の病気を治すことができるようになった頃に君の凍った眠りを解いて治療するといったものらしい。


 僕はとても悩んだ。


 この提案を受け入れれば君を生かすことができるが、僕は君との約束を果たすことができなくなってしまう。


 僕は悩みに悩み、この提案を受けることにした。


 そして、一つだけ約束をしてもらった。


 君を起こすのは春が来てからにしてくれ、ということだ。


 君が目を覚ますころには花が咲いているだろう。



 君は僕を恨むかもしれない。


 それか、君はとても悲しむかもしれない。


 そして、この決断は僕の独善的な考えかもしれない。


 僕はこれに対して言い訳も弁明もしない。


 けれど、ただ一つだけ言いたい。


 僕は君に生きてほしい。


 そして、僕には想像ができないような生活をしてほしい。


  202X年1月23日


君を愛した人より

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