地獄のスカウトマン

(大阪)大阪市浪速区難波中2丁目付近で声かけ 2月14日夕方

https://nordot.app/998165191008862208?c=134733695793120758


大阪府警によると、14日午後5時50分ごろ、大阪市浪速区難波中2丁目付近の路上で女性への声かけが発生しました。(実行者の特徴:年配男性、はげ頭、小柄、赤色フード付きパーカー、黒色ズボン)


■実行者の言動や状況


・通行中の女性に後ろから近づき、追い抜く際に、声をかけた。


・「ずっとついてきたら地獄やぞ」


■現場付近の施設


・なんば駅[南海]、なんば駅[大阪メトロ]、大阪難波駅[近鉄・阪神]、近鉄日本橋駅[近鉄]、大国町駅[大阪メトロ]など



〜〜〜



 男は人を見極めるのが得意だった。

 彼が探すのは、現世に疲れて非日常を欲しているような人間だ。


 ところが、最近は人間の精神の多様化が急速に進み、男の眼も鈍りつつあった。


 ──なんでどいつもこいつも疲れ切ったような顔してんねん。


 さっきも上司からせっつかれて、男はイライラしていた。


「人手不足なんだよ」とその上司は言っていた。


 地獄で働く人材が少なくなって久しい。だから、男のような地獄のスカウトマンは今、馬車馬のように働かされている。


 男には二つ名があった。

 〝地獄ポイント〟。


 現世を離れたそうな人間を見つけて、スッと近づき、自然に地獄へついて来させる。まるで、電車がレール切り替えのポイントで進路を変えるかのような手際の良さ。


 だから、地獄ポイントなのだ。


 男は目をつけた女性の背後から早足で近づく。そして、追い抜きざまに声をかけた。


「ずっとついてきたら地獄やぞ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る