勇者になる日まで

月杜円香

第1話  プロローグ ~夢~

僕は、はっちゃけていた。

こんなに、身体が軽くて思い通りに動くなんて生まれて初めてのことだった。


・・・でもここは何処なんだろう!?

見渡す限り草原だ。

僕の格好も変だった。

見たことも無いボロい服を着ている。

家はパパが会社の社長だから、こんな服は着たことが無いよ。


あ、僕の名前は、荒峰拓斗(アラミネ・タクト)

桜蘭中学1年生だ。

だけど、学校には一日も行ったことが無いんだ。


そういえば、おかしいな。

僕は、生まれつき心臓が弱くて、ほとんどの時を病院で過ごしてきたんだ。

だから、外の世界のことは何も知らない。

たまにやる、ゲームとか、本の中の世界しか知らない。

それもこの頃は、体調が悪くて沢山の線みたいなモノを身体に繋げられて、息をするのも苦しいから、変なものつけられてさ・・・


でも今の僕は、そんなものは一切つけてない。

丸腰だぞ~~?


そんな事を言ってると、草の陰から魔物が現れた。

突然のことに、僕はビックリした。

あ!!こんなに興奮すると、心臓が・・・

痛くない!?


突然のことで、動けずにいる僕に魔物の方が先に攻撃して来た。


「わあ!!」


僕は、魔物に向かって、転がってた石を投げたんだ。

魔物は意外とダメージをくらったようである。


もう少し、大きな石も持てそうだぞ

そこで僕は、手よりも大きな石を拾って、魔物に投げつけてやった。


でも石が大きすぎて、手から落ちてしまったんだ。

でも僕は、そのまま魔物に向かって、投げつけたような仕草をした。


『ギャウ~ン!!』


そう言って、魔物は逃げて行ったんだ。


「あれ!?どうしたんだ!?」


僕の頭は?マークが満載。


「やるじゃないか。魔法使いか!?」


声の方に目をやると、逆光の中に背の高い男がこちらを見ていた。

金色の長い髪を首の後ろで縛っていた。

瞳の色は良く分からない。


「僕は、そんなんじゃないよ。」

「そうか!?でもあれは、かなりの上級魔法だぞ?」


と言うと、その男は細身の剣を魔物目掛けて投げつけた。

剣は魔物に命中して、魔物は息絶えた。

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