珍探偵金田一コナン続編
あのね!
第1話⁂過去⁂
前編でもお伝えした通り、大酒飲みで、ギャンブル狂、おまけに女好き、腹に据えかねた母親の八重子が虎男を連れて家を出て、住み込みのお手伝いさんとして働き出した事はお伝えしてあるとは思うが、実は…とんでもない事に……虎男が小学校に上がる年の春先に夜逃げをしていた事実が判明した。
そして…なんと……母と虎男が夜逃げした理由は、実は…夫が不慮の事故で無くなっていたからだ。
◆▽◆
遡る事一二年前。
誕生したばかりの虎男の目の前で凄まじい限りの夫婦喧嘩が勃発中。
「今月の給料が消えているが?お前さん……お金は……お金は……?」
「嗚呼……テへへ……虎男に美味しい物でもと思って……?パチンコで……テへへ」
「イヤイヤまだ母乳で、なんにも食べられないって~の?パチンコ——————ッ!まさか?全額使った?」
「テへへ……虎男の為にと思ってね。テへへ?」
「とんだ言い訳するんじゃないよ。このウスラトンカチが!今月どうやって生活するんだい?」
「嗚呼……それで……もう少しお金を用立ててくれれば……今度こそパチンコで大当たりして、十倍にしてやるからさ~テへへ」
「この甲斐無しが!まだ目が覚めないんだな?クッソ————————ッ!こうしてくれるわ!」
出刃包丁を取り出して父を追い回す有り様。
「タッ助けてくれ————————ッ!」
虎男の目の前を刃物や、まな板や、壊れたラジオ、更には古びた小型テレビに椅子等が、バンバン飛び交っている。
赤ちゃんの虎男は目をパチクリとさせ、その光景に驚きを隠せない。
だが…その時にボ~ンと虎雄の鼻に壊れたラジオがぶつかった。普通だったら大泣きしそうな所なのだが、虎男は何かしら……?ビビビッ!と雷に打たれたような……そんな不思議な感覚に捕らわれた。こうして虎男には類まれな能力?嗅覚が備わった。
あああ!そう言えば……?どうりでペッチャンコの鼻だと思ったが、はは~ん…?なるほどね!ラジオが当たって潰れちゃったんだ?
「もう……アッタマに来た!このギャンブル狂殺してくれるわ———ッ!」
頭にきた八重子が出刃包丁を振りかざしたその時虎男が、ここぞとばかりに泣きわめいた。
「オギャア オギャア」
「ギャギャ—————————————ッ!タッ助けてください。ナンデモ……何でも……なんでもします—————ッ!」
「もう、どうしようもない…ああああああ……そう言えば……?近所に成金婆さんが住んでいるだろう?おん年七十歳らしいが、韓流ドラマにハマってDVDを買いあさっているらしい。「冬のソナタ」ヨン様に始まり『愛しのヨン様~😍💘💞』と拝み倒していたらしいが、何とも変わり身の激しい。最近ではあの「愛の不時着」の『ヒョンビン~😍、ヒョンビン~🧡💚💜』と近所にも聞こえるくらいの熱の入れようで大きい声で吠えているらしい?それは…それは…うるさいと聞いている。お前の唯一の取り柄そのルックスを利用して、あの婆さんを色仕掛けで騙して金をぼったくって来な!分かったな?私は乳飲み子を抱えて働けないから……」
「ああ……?そう言えば……三十歳も年の離れた旦那さんだったが、超高額保険に加入させられていたらしく、ガッポリ保険金が下りたと聞いている。人の噂では金目当てで結婚したともっぱらの噂、どうも~怪しい保険金成金らしいな?」
「そうなのよ。元々土木現場の社長さんでお金持ちだったらしいが、この社長さん糖尿病だったらしいのよ。そこで……食事制限が何よりもの薬なのだが、この婆さん料理の腕前だけは大したもので、何を血迷ったのか?これでもかと料理を沢山作って食べさせたらしい。それも…ちゃっかり甘~いスイ-ツもバッチリ忘れずに沢山作って食べさせていたらしいのよ。元々食べる事が何よりもの趣味だった旦那さん。呆気なく六十歳であの世に旅立っちゃったのよね~。その時まだ三十歳だった婆さん散々ホスト狂いで散財したらしい飛んだ男好き。それでも…最近は男はいないらしいのよ。まぁ~年齢を考えたら当然の事かもしれないけど……でも…老いらくの恋って事も有るので、だから今は男が居ないから、丁度チャンスよ。アンタ————ッ!散々借金こしらえてるんだから、どんな事しても、あの婆さんから金ふんだくって来な!」
「だけど?俺も使い古されて保険金かけられて殺されるって事は無いよね?」
「だから……腕の見せ所。婆さんを骨抜きにしてガッポリせしめて来な?」
それでも…八重子夫婦は、あの成金婆さんを知っているかも知れないが、それはこの界隈では有名な誰もが知る金持ちだからであって、向こうは、こんな貧乏人のボロアパ-トに住む、その他大勢の住人の事など知らない筈。
それでは、そんな見ず知らずの豪邸に、一体どうやって入り込むことが出来たのか?
実は…夫は元々外車のセ-ルスマン、成金婆さん車は運転しないようだが、お手伝いさんに運転させてあちこち出掛けている事をキャッチした。という事は車の需要はあるという事。
こうしてダメ夫吾郎を磨き上げて、一段とイケメンに仕立て上げ送り込んだ。
◆▽◆
職場を転々とする吾郎は、三十歳だというのに、まだ新米で上司から決められた事を決められた様にやるようなルーティン業務が主だった。それでも…最近はやっと単独営業に変わっていたので、早速成金婆さんの家を訪問。
”ピンポン” ”ピンポン”
「トキさん出てくれないかい?」
「ハ~イご主人様」
「あの~?どちら様ですか?」
「アウ○ィ中野支店の田中です」
「アウ○ィ?自動車?……チョットお待ちを……ご主人様、車のセールスの方がお見えですが?」
「アウ○ィ?嗚呼……本当はセールスマンなんかサッサと断りたいけど……アウ○ィは好きな車ね。御通しして!」
こうしてやっとの事、御目通りが叶った。そして…応接室に通された吾郎。
すると…余りの男前に ビビビッ⚡⚡⚡ ビビビッ⚡⚡⚡ビビビッ⚡⚡⚡まるで雷にでも打たれた様な激しい稲妻が体中に走った成金婆さん。
だが…肝心の吾郎はあっけなく死を迎える事となる。一体どういう事ヨ?
実は…この成金婆さん……とんでもない婆さんで……?
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