第13話 勇者
さて、今日の夜ご飯を作ろうと思う。周りを見渡していると、ここにいる冒険者や商人?
は、硬そうな干し肉とパンを食べてた。不味そう。自炊しないのかなとも考えたけど、普通に考えて、『アイテムbox』スキルを持っている人がレアだろうからまぁ、仕方ないのかも。まぁ私は普通に自炊するんですけどね。まぁ、簡単なやつでかつ美味しいものにする予定だけど。しかしどうしようかなぁ、この世界にあるまともな料理って少なそうなんだよね。うーん、普通にステーキ丼でも良いかも?美味しいし簡単だし怪しくないし。よし、ステーキ丼かな。
ステーキの味付けはステーキ用ニンニク醤油にする。これ、ちょー美味しいんだよね。そしてご飯もめっちゃ進む。想像しただけでヨダレがでるなぁ。じゅるり。
まずは焚き火を焚く。次にブロックと、鉄板で即席ホットプレートを作る。下に牛脂で油を塗る。あとはステーキ肉を置いてステーキ用ニンニク醤油をかける。片面が焼き終わったらひっくり返してと。こっそり塩胡椒を振って完成。包丁で肉を一口サイズに切り分けてご飯の上にのせる。最後にきざみのり、刻みネギなんかをのせれば完成。そして、そろそろご飯が無くなりそう。今度作っとこ。なんか、周りの冒険者たちがこちらを指を咥えて見てる。絶対あげないからね。
では、いただきます。ぱくっ。脂の少ない肉を選んで正解だわ。噛めば噛むほど肉汁が出てくる。ああ美味しい。これは反則的に美味しい。無心で食べていられるよ。あとなんだろう、地味に近づいてくるのやめてもらっていただけます?絶対あげませんからね。
「ご主人様、これすっごく美味しいですね。特にこのタレ?ソース?が美味しいです!これならいくらでも食べられそうです」
うんうん。めっちゃ分かるその気持ち。
さて、夜ご飯にステーキ丼を食べたのはいいものの、ニンニクの匂いをどうしようか。臭いだろうし体を拭きますかね。多少はマシになるだろうし。テントの中でぬるま湯につけたタオルで体を拭いていく。これで少しは匂いがマシになるでしょ。
うんぬーまだ勝てない。暇だしオセロでもしよって誘ったのが間違いだった。全く勝てない。やっぱり途中まではすごく順調だったのに、最後に巻き返されるんだよなぁ。ちょっと手加減してもらったけど勝てなかったし。やっぱ私ってボードゲームの才能なかった?はぁ負けっぱなしだし、もう寝よ。布団出してクルハに抱きついておやすみなさい。ボードゲームはもうやりたくない。
ふと気がつくとクルハがテントにいないことに気がついた。今は、午前5時半。やっと日が出てきたくらいかな?テントの外に出てクルハを探していると、気絶した人がいた。
「なにこれ」
「ご主人様のテントに入ろうとした不埒者を気絶させただけです。安心して下さい」
「ふぅん、なら良かった。ありがとね」
「はい!」
まさか、私のテントに入ろうとしてくるとはねぇ。これからテントは鍵付きのやつにしないとダメかもなあ。防犯面じゃちょっと心配だし。まぁ、クルハがなんとかしてくれるだろうけどね。
「しかし、この人どうすればいい?このままほったらかしといていいの?」
「まぁ、縄で縛っておくのが無難でしょうね。ご主人様、縄持ってませんか?」
縄かぁ。あんまり使う機会がないから作ってないんだよね。まあ、この人を縄で縛るために縄を作りますか。まぁ、嫌がらせの意味も込めて、ハーネスのロープで縛ろうと思う。これだと絶対に解けないだろうしね。ふふふ、これも全て勝手に入ってきたお前が悪いのだ。
「クルハ、これで縛れる?」
「勿論です、こんなの私にはちょちょいのちょいですよ」
「あれ?クルハってそんなキャラだっけ?」
「あ、すいません。昨日徹夜で見張りをしてたので…」
あー深夜テンションみたいな感じかな?
「流石に体に良くないよ。今日は少し休んでて。別に1人でも大丈夫だから」
「流石にご主人様を置いて寝るとなると…」
「寝て」
「いやしかし…」
「寝て?」
笑みをプラスしてみる。
「う、分かりましたよ。この人を縛ったら寝ることにします」
うんうんそれで良いのだ。
私も2度寝しようかなと思ったけど、まだ不埒者がいるかもしれないから、起きてることにしよ。朝ごはんはご飯に…あ、ご飯無くなりそうだったんだ。ついでに作りますか。とりあえず、10合くらいでいいかな。とりあえずご飯が炊けるまでさっき作ったキャンピングチェアに座って景色でも眺めてますか。ああ綺麗だなぁ。心が癒されるよ。横で蠢いている人を除けばね。
「なに、お前。こっち見ないでくれます?キモいんですけど」
「んんんんんっんん!んんんっん!んんっ!?」
「ちょっと何言ってるか分かんない」
クルハに縛られたのに喋ろうとするとは。キモいにも程があるでしょ。あ、口の紐が解けた。どんなでかい声で喋ろうとしてたんだよ。
「おい!おめー!勝手に縛りやがって!さっさと解けよこの紐!ご丁寧にハーネスの紐で縛ってんじゃねえ!」
ん?この人、ハーネスのことを知ってる?もしかして勇者とかそこらへんの人ですか?だとしたら関わりたくないんですけど。一応『鑑定』してみますか。
________________________________________________________________________
【名前】永塚圭吾(男)
【種族】ヒト族
【職業】勇者
【年齢】16歳
【レベル】11
HP 200/200
MP 150/150
力 30
生命力 30
器用さ 30
機敏さ 30
知性 30
魅力 30
運 30
【固有スキル】
転移者
Lv Max
火の勇者
Lv Max
【スキル】
鑑定
Lv 1
アイテムbox
Lv Max
火魔法
Lv Max
自動翻訳
Lv -
剣技Lv 4
________________________________________________________________________
うわあ、本当に勇者だったよ。最悪。めんどくさくなりそうだなぁ。
「おい!お前!速く解けよって言ってるだろ!勇者の命令を聞けないって言うのか!?」
「いや、当たり前でしょ。勝手に人のテントに入ってきて何様のつもりですか?」
「勇者様だが?」
はぁ、めんどくさい性格だわこいつ。
「ちょっと!人様に何迷惑かけてんの!謝りなさい!」
おぉ、新しい人きた。なんか生徒会長やってそうな見た目してる。
「げ、椎名じゃん。いや、俺なんもしてないよ?」
いやいや、縛っている状態で言っても多分説得できないと思うんだけど。
「縛られている時点ですでに信用できないよ!で?何してたの?朝起きて皆んなで集まって出発しようとしてた時に圭吾くんがいなくて探してたんだよ?」
「いやあ、えっと、その、」
「はぁ、あとで理由は聞くとして、すいませんね。私達の仲間が変なことして。よければ、ハルト公国まで送っていきましょうか?お礼もしたいですし、それに一応馬車で来てますし、こいつを歩かせれば席は空きますし」
嫌だね。絶対に嫌。こいつと一緒にいるだけでも反吐が出そうだし。ここはしっかりと断っておこう。
「まぁ、私はハルト公国を目指していますが、ゆっくりと行きたいので断っておきますね」
「本当に大丈夫ですか?ここから歩くと、1ヶ月くらいかかりますが…」
うわあ、これどうしようかな。1ヶ月も歩きたくないし…仕方ない。本当に仕方ないけど、馬車に乗ることにしますか。本当に嫌なんだけどなぁ。あ、クルハのことも言っておかないと。
「じゃあ、お願いします。あと、友達が1人いるんですけど大丈夫ですか?」
「勿論大丈夫ですよ。こいつを馬車に乗せなければ良い話ですから」
「分かりました。では、いつ頃出発でしょうか?」
「そうですね、日が真上に来たらでどうでしょうか」
「分かりました。では、私はこれで」
「はい。本当にすいませんでした。」
はあ。思いもよらないハプニングな巻き込まれたよ。あ、キモいやつが引きづられてった。ざまあ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます