第45話

         ◇


 駄目だった。私の力不足だった。

 そもそも、何故もっと早く気付かなかったのだろう。

 思えば、私は先輩の誕生日も住所も電話番号でさえも知らなかった。

 聞かなかった私が間抜けだったのか、先輩が上手くはぐらかしていたのか。

 恐らくは後者……。


「あなたの誕生日はいつ?」

「西暦一九九九年、七の月、空から恐怖の大王が……」「それはノストラダムスの予言。あなたが私より遅く生まれた訳がないでしょう」

「ノストラダムスと言えばだな……」


 こんな感じに……。

 きっと、私が少し調べればすぐに分かったはずだっだ。

 何故、私を頼ってくれなかったのか。

 何故、辛い現実に抗おうとしなかったのか。

 私には先輩を理解することが出来なかった。

 それが悔しくて、腹立たしくて。

 自分が、こんなに弱い自分が情けなくて。

 だから、もっと強くなりたいと思った。

 もう、失敗はしたくないから。

 もう、誰かを失いたくはないから。


 空と見ると、今の私の気分とは裏腹に、苛立つくらい真っ青な空が広がっていた。

 この空の下、今もどこかで、あのド阿呆超能力者がへらへらと笑っている。

 そう思うと、妙に憎たらしくて。

「…………バカ」

 もう一度だけ、テレパシーを送った。




 さて、思い出話はここでおしまい。

 現在の私の話に戻ろう。

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