第20話
私たちが集まってすることは、主に夏休みの宿題をしながらの雑談だ。
「……先輩って何気に頭良いですよね。この前の期末テストも学年一位だったし」
何気にではなく、見た目通りだ。見た目だけなら、大学課程を修了している。
期末テストだけではなく、その前の中間テストも、もっといえば今までのテストは全て一位だそうだ。
これを聞いた時は、私も橘君も驚いた。でも、それと同時に納得もしてしまう。先輩の頭は、中学生離れしていたから。
「別にどうということはない。学年一位を取ったとて、賞金が貰える訳でもないからな」
先輩にとって、順位なんてどうでもいいのだろう。ただ出された問題を問いてみたら、一位が取れてしまったという感じだ。
「でも、一位なんてスゴイですよ。僕には絶対に無理」
「そんなことはないぞ。勉強すれば、誰でも取れるだろう。……橘後輩は歴史が得意だったな。歴史なんて、教科書を全て覚えるだけで満点が取れるぞ、簡単だろう」
先輩にとっては「だけ」なのだろうけど。
「そんな簡単に言わないで下さいよ」
「そうよ。あなた、自分に出来ることは他人も出来ると思っているのでしょうけど、それは違うわよ」
どうしても出来ないこともあるのだ。
「そんな風には思っておらんが……。気を悪くさせたのなら、済まなかったな」
「あ、いえ。気にしないで下さい」
その後休憩となって、セバスチャンが今日のおやつを持って来た。
「あ、あの、先輩。……本当に今日やるんですか?」
シャーベットを食べながら、橘君が尋ねる。
「無論だ。計画の実行は本日だ」
「何を今更ビビっているのよ、橘君」
「ビビってはない、けど」
今日、私たち心霊研究会はある計画を実行しようとしていた。
私と先輩はノリノリだが、橘君は不安気だ。
「大丈夫かなあ……」
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