新生活スタートの記念ライブ

 数日後。

 有村さんから電話があり、無事、審査が通ったとのことだった。

「通って良かった」

「まあ、何もやましいことは無いんだから、審査通らないことはないと思うんだけどな」

そういう訳で、俺達は早速、引っ越しの準備に取りかかった。

実家には行こうと思えば、すぐに行けてしまう距離なので、そこまで荷物はなかった。

皆で使う家具・家電をホームセンターで買い、業者に取り付けてもらって、俺達の新生活はスタートした。

 リビングは演奏スペースにし、今まで学校の備品で代用していたキーボードとドラムを楽器屋に行って、奏音ちゃんと詩音の意見を聞きながら買った。俺と響がコンビニバイトで貯めたお金で買うことは決めていた。二人へのプレゼントだ。

「二人の大事なバイト代なのに、いいの?」

「いいんだよ、二人にはいつもお世話になっているからな」

「ここは有難く受け取っておきましょう、姉さん」

「ありがとう」

「それでは早速シェアハウスでしていく上でルールを決めていきますよ」

「そういや言ってたな、そんなこと」

「まず第一に、姉さんの意見を一番尊重すること」

「ああ、分かってちゃいたけど、やっぱそんなんか」

「絶対姉さん女王政です」

「何だよ、それ」

「でも奏音ちゃん、そんなに無理なこと言わないからいいんじゃね」

「そういやそうだな。ならいっか」



 次のライブは4月末なので、それに向けて練習をする。

俺は大学とバイトの合間に練習をした。

今回は新曲無しなので、まだ気楽だ。

SNSにも4人でシェアハウスを始めたことを呟いた。

それに対する意見としては「楽しそう」「すぐに練習できていいね」「奏音様と同居とかうらやまけしからん」などなど。

奏音ちゃんと詩音もパン屋さんでバイトを始めた。何故パン屋さんなのかは奏音ちゃんのフィーリングだ。行き帰りも同行できるからとのことで詩音も必然的にパン屋だ。

ちゃんと働いてるかな、詩音。少し心配だ。


 大学にも慣れ始めた4月末。

 ゴールデンウイークに入り、ライブの日になった。


「「「「ことりノート、ファイヤー!」」」」


「新生活スタートの記念ライブだぜ! 五月病なんて吹っ飛ばせ!」



1曲目「チアフルフラワー」

 青春ソングからスタート。聴いてる人を応援する。


 2曲目「走れ! アラシ!」

 「走れメロス」からインスピレーションを受けて作った曲。友との約束のためにアラシは走る。


 3曲目「ジェリーフィッシュ」

    深海をテーマにした、少し不思議なメロディの曲。


 4曲目「メッセンジャー」

     リズミカルな郵便配達員の曲で締め。


「以上、ことりノートでした! ありがとうございました!」


 

 いつものファミレスで反省会をした後、皆で我が家に帰宅する。

 もう家族のような存在になっている俺達、これからも頑張ろう。

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