カラオケと勉強

今日はオタクの集まりがある。

 中学時代のオタク友達二人と大野氏で、カラオケに行く。

「カラオケで精密採点をするでござる」


「けいおんメドレー行くぞ」

「EDを今度のライブでやるんだけど」

「おっ、いついつ?」

「文化祭。良かったら来いよ」

「うん。行くわ」

「篤志がベースやってるの見たいしな」

「で、女性ボーカルを男性が歌うのってどうするんだ?」

「キー設定を3~5上げてオクターブ下で歌うといいらしいでござるよ」

 大野氏がスマホで、ちゃちゃっと調べて言う。

「へえ、キー設定とか初めて触るわ」

 練習がてら何度か歌ったが、最高得点は79点。微妙だ。せめて80は越したい。

 それに、実際に歌うとなるとカラオケとは全然違う。

 今は友達のノリで楽しく歌えるが、本番は「けいおん」のことを知らないパンピも沢山いる中で歌うのだ。しかもベースを弾きながら。


次の日。

練習の前に勉強会から始めた。

「まずは宿題チェックだ」

 習った箇所のワークを貯めずに、すぐやらせる宿題を出している。それで放っておくよりも定着するし、テスト前に提出物を慌てて取り組まなくて済むのだ。

「あっ、やっべ」

「何だ、忘れたのか」

「ごめん。昨日寝ちまった」

「まあ、いい。次は気を付けろよ」

「分かった」

「詩音は?」

「忘れていましたが何か?」

「何で、そんな堂々と出来るんだよ。怖いもの知らずだな、おい」

「梅村さんなんて怖くありませんから」

「怖くなくても、やれって言われたらやれよ。お前のためでもあるんだから」

「いつもそう言って、夏休みの宿題とかもやらない」

「おいおい、そういうタイプかよ」

「学校の先生なんて怖くありませんから」

「お前なあ……。提出物になるやつなんて、とりあえずやっとけば成績上がるんだから、やれよ。問題はそれからだ。先生が怖くないとかは関係ない」

 詩音は納得したようには見えなかったが、奏音ちゃんに言われて、渋々と言ったところだ。


「じゃあ、今日は篤志ボーカルでやってみるか! カラオケでちょっと練習したんだろ」

「練習っていっても、そんなに上手くなってねえぞ。キーは4上げでオクターブ下歌うのがいいって決めたくらいで」

「分かった。不協和音になってたら教える」

「よろしく、奏音ちゃん」


 今日は奏音ちゃんによる微調整をして、それを楽譜に書いて、というところで終わった。


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