ファーストライブ
ライブハウス
7月、夏休みがもうすぐ始まる頃だった。
俺達は練習して、何曲かは、まあ通せるくらいになった。
バンドを組んだからには、やはりライブがやりたいというもの。
「ライブって、どうやるんだ?」
「ライブハウスでやるんじゃないのか?」
「ライブハウスって、何処にあるんだ?」
「店長に聞いてみるか」
店長というのは、俺達が楽器を買った店の店長である。あれから、時々お世話になっている。
「店長、この辺でライブハウスって何処にあるか知ってますか?」
「この辺だと、スターダストかなあ……」
「スターダスト、カッコいい名前だな!」
「星屑って意味ですが」
「そのスターダストは、何処にありますか?」
店長はチラシと地図をくれた。
「とりあえず、行ってみるか!」
ライブハウス・スターダストは楽器屋から徒歩5分の場所にあった。
「たのもー」
「お、おい、道場破りじゃないんだから」
「おっ、威勢がいいねえ」
スタッフと思われる方が対応してくれる。
「突然すみません、俺達ライブがやりたいんですけど」
「ああ、ライブね。ここは初めて?」
「はい」
「バンド名は?」
「ことりノート、と言います」
「可愛いバンド名だね」
「ありがとうございます。こちらの姉さんが考えました」
「おっ、女の子もいるんだね」
「ええ。姉さんは作曲も出来る素晴らしい方なのです」
「へえ、そりゃすごい」
「はい、姉さんを褒め称えるのです」
「こら」
年上だろうと態度を変えない詩音を叱ってやる。
「で、ライブがやりたいんだよね」
「はい」
「次は8月24日にやるけど、間に合わせられる?」
「ええっと、何曲くらい出来ればいいんでしょうか?」
「4~5曲かな」
「微妙なところですね」
俺達がギリ通せるくらいの曲は今3曲。もう一曲分の練習時間と、既存曲のブラッシュアップに時間を取るとすると、ギリギリのスケジュールだ。
一番出来てないのが、俺で、俺があと一か月程度で、人に聞かせるレベルの演奏が出来るかというと、自信がない。
「多少、少なくてもいいよ。MCとかに充ててもいいし」
「3曲でいいなら行けると思います。4曲目は微妙ですね」
「とりあえず参加するってだけでもいいよ。うちは初心者でも歓迎してるから」
「ありがとうございます」
「で、チケットノルマなんだけど」
「やっぱりあるんですね」
「一応10枚にしてるんだけど、どう?」
「どうかな?」
チケット10枚が多い方なのか少ない方なのか分からなかった。
「クラスの奴らに聞いてみるか。ま、何とかなるだろ」
「じゃあ、決まりだね。余ったら自腹になるから、よろしく」
「はい、頑張ります」
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