第12話 エルフの国①


「閣下、そろそろ近くの国に挨拶回りに行きませぬか?城壁もでき、しばらくは土を馴染ませる必要もあります。手土産は我が用意致しますゆえ。」


「クワンが言うならば任せる。」


「かしこまりました。行商から一番近いエルフの国の場所は聞いております、準備が出来次第向かいましょう。」



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エルフの国。

隣国であるエルフの国。

規模で言えば数百人程の集落であるが、エルフは一人一人が精霊を扱える戦士のため国として存在している。



「閣下、ここは我に任せて貰えませんか?」


「クワンがそういうのは珍しいな」


「多分、奥にいるエルフの王は我の知り合いの可能性が高いのです。中々に森の民らしくない我好みの性格をしていますので閣下のお手を煩わせる必要がないかと。我の存在を気づけばの話ですが。」


「それなら好きに任せるとする」


「閣下は、”わかった”と頷いてくだされ。我にお任せを。」




広めの屋敷内。

応接室代わりになるであろう部屋に通される。


「森の民らしくない部屋ですな。他種族も来るので外交用の部屋といったところでしょうな」


数分が経ち、数人のエルフが部屋にやってくる。



「お待たせした。この集落のまとめ役をしている・・・む!!??、、、この魔力はまさか!?」


「流石は希少種族のハイ・エルフ族だな。我に気づくとは無駄に長生きな種族なだけはある。」


「生きて、、、いや、死にきれてないという表現が相応しいか。何百年ぶりに再会とは悪巫山戯が過ぎる。(わるふざけ)」


「確かに我は生きてはおらぬな。悠久の時を生きる古きエルフの友人よ、久しいな。」


賢き人だった友人よ、死霊となり再会するとは予想外すぎるな。また会えたことは嬉しいが、一つ聞いてよいか?其方ほどの男が魔の者となり、仕えるほどの王は現世の魔王なのか?」


「ククク・・・残念ながら閣下は魔王ではない。今はまだ小さき国の王。だが、いずれは大陸の王になられる御方だ。此度の訪問は隣国のエルフの里へ挨拶にこられた。我は思うことがある故に土産と共に足を運んだと言うわけだ

。其方がここにいるのは何かの運か縁があるのであろう。まずは実物を見てもらいたい、其方の方がこの価値はわかるであろう。」


「いったい、そこまで言う土産とは?」


クワンが木箱をテーブルの上に差し出す。


「驚かずに見るが良い。が、古き森の民が驚く姿を見れるのもまた一興。罠などない、木箱の中を其方が開けるが良い。」


そうか、其方は幼き人の時は悪戯が好きな少年だったな。では、開けさせていただこう。


エルフの王は、木箱を開ける。


「こ・・・これは古に失われた世界樹!?その葉か!?これをどこで手に入れたクワン!!」


驚愕の表情を見せる王。

横にいる側近達も唖然とした顔を見せる。



「流石に一目で気づくとはな。鑑定が出来る者を呼んできて良いぞ。真実である確証が欲しいであろう。正真正銘、世界樹の葉だ。なんなら実をも持ってきておるぞ。近隣国を回る予定だから全ては渡せんがな。古の友が驚く姿を見れて一興。」


「鑑定が出来る者を呼んでくれ。

枯れた葉ではない。この葉はまだ青々しい。

一体、どこに世界樹があるのだ!教えてくれクワン。我々、ハイ・エルフに取って世界樹は神の樹、信仰の対象なのは其方も知っておろう。今の世界では存在しないはずだ!太古に枯れておる!!」


「ふふふ。古き友人よ、其方の表情を見れて我は満足だ。閣下、古き森の民には世界樹は精霊の宿木、人の世界で言うところの神の存在に等しいものでございます。我の古き友人に仔細を伝えても問題はございませぬか?」


「うむ、任せる。」


「ありがとうございます、閣下。

古き友人よ、我が王より許可が出た。人払いはしなくても良いのか?」


「ここにいるエルフ達はハイエルフではないが古参の信頼のできるエルフだ。一緒に聞かせてくれ。」


「我が王、クロノス閣下が世界樹を育て上げた。閣下の溢れ出る魔力を用い、世界樹は息吹、育ち、大樹になった。今もなお、我が国で日々、世界樹は成長をしておる。」


「そんな、、、まさか、、、世界樹がこの世界に存在するのか、、、」


「信じろという方が怪しいといえよう。

我らがクロノス王国に確認に行かせると良い。国の出入りの許可証は用意しておる。鑑定が使えるエルフを行かせればよかろう。自身で見られることをお勧めするがな。」


「それが事実であれば、我々は世界樹の下に行かねばならない。古きエルフの我らハイエルフは世界樹を守るのが使命。エルフもまた同じ役割を持つ同族だ。」


「古き友人よ。我と同じ、悠久の時を持つハイエルフともあろう其方がそう焦るでない。其方が言っておることは、閣下の王国に属するという事だ。戦をして奪い取るというなら、辞めておいた方が良いぞ、古き友人としての助言だ。我と閣下を相手にまともに戦えるのは其方くらいだ。誇り高きエルフ族が人族の王の下に付き従うこと、それに納得するのか?」


「死してなお存在する死霊の王になった其方がそこまで言うと言うことは、クロノス王の実力はそれほどに抜きん出ているのだな。

戦をする気は当たり前だがない。世界樹をこの世界に蘇らせてくれたクロノス王には感謝しかない。我ら、ハイエルフは世界樹を守る為に産まれた種族。我が一族は喜んでクロノス王の下に参るつもりだ。他のエルフの同胞達はそれぞれに選ばせる、決して敵対させることはさせぬ、我が真名に誓う。」

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