第182話 節分で豆をまく必要が無い人

 微妙に日は過ぎてしまいましたが、「節分」について。


 私の地元だと、まく豆は「落花生」なんですよ。床に落としたものでも、殻を剥いてそのまま食べられますし。


「鬼は外ー、福は内ー」と言いながら「大豆」をまくのが一般的なようです。

 地方によっては、大豆や落花生、豆ではなくて小さく丸めた紙をまいたり、お菓子をまいたり、いろいろあるみたいですけど。


 五穀豊穣を祈り、穀物をまいて幸せを祈ったのが起源ですが、「毘沙門天が鬼の目に豆を投げて退治した」という古い言い伝えから、豆を使って邪気や災い(=鬼)を払う要素もあります。


 まく前に、大豆を炒った方が縁起が良いとされています。

「豆を炒る」が、「魔目を射る」に通じ、鬼を払う効果も上がる……感じなんですかね。


 豆をまかなくても良い名字の人がいる、というのを御存知でしょうか。


 それは「ワタナベ」さんです。


 ワタナベさんの字は「渡辺」「渡部」「渡邊」「渡邉」など違いがありますが、どのワタナベさんでも良いようです。


 由来は、平安時代までさかのぼります。


 酒呑童子しゅてんどうじという鬼が、多くの鬼たちを従えて都を荒らし回り、民衆たちは大変困っていたそうなー。(日本昔ばなしの市原悦子ナレーションっぽいイメージ)


 源頼光みなもとのよりみつに命じられ、渡辺綱わたなべのつなという武将が討伐隊を結成したんだと。

 渡辺綱は鬼退治に出かけ、見事に酒呑童子を仕留めた。

 酒呑童子の配下の茨木童子が仇討ちのために渡辺綱に挑んだが、腕を切り落とされてしもうた。

 こうして、渡辺綱の強さは鬼たちに知れ渡り、鬼は「ワタナベ」という名を恐れ、その子孫にも近づかなくなったんじゃ。

 なので、ワタナベさんはわざわざ豆まきをしなくても、鬼たちが寄ってこないのだそうな。めでたしめでたし。


 そんな伝承があるので、全国の「ワタナベさん」は豆をまく必要が無いのだそうです。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る