第99話 「花火鑑賞士」という資格がある

 夏の風物詩といえば、やはり「花火」。


 自宅の庭で、静かに線香花火をするのも風情があって良いですが、暗い夜空に「ヒュー……ドカーン」と打ち上げる、鮮やかな大輪の花は格別です。


 打ち上げる時に「ヒュー」という音が入るのは、花火の球に「笛」と呼ばれる部分を取り付け、打ち上げの際に意図的に音を鳴らしているのだそうで。


 花火を打ち上げるのは、暗い夜。

 どのタイミングで打ち上げたか分からず、急に「ドカーン」と来るよりは「打ち上げましたよ」という合図として、「ヒュー」という音を事前にワンクッション入れて、観客が花火の瞬間を見逃さないようにする配慮なのだとか。


 実験的に「笛」のない花火を作ったのをテレビで見たことがありますが、急に「ドカーン」と花火が響く、なんとも味気ないものでした。

 やはり、打ち上げ花火と言えば、「ヒュー」のあとの「ドカーン」が、日本人のDNAにはすり込まれているのかもしれません。


 で、今回の本題。


 2003年から、秋田県で創設された資格試験で「花火鑑賞士」というのがあるのだそうです。


 NPO法人・大曲花火倶楽部が主催・運営したもので、「花火を鑑賞するための知識と技術の向上、花火文化の普及と発展、花火を芸術と捉え、花火師を敬う」ことを目的としています。


 資格試験は年に1回、受験料は六千円。

 サイトから申し込むと、テキストと受験票が送られてきて、テキストで事前勉強をします。

 そして当日、会場で講義を受け、最後に筆記試験となるそうです。

 中には、花火の打ち上げ映像を見て、「これはなんという花火でしょうか?」と問いかけるものもあるとか。


 花火の名前って専門的なので、一般人が聞いてもピンと来ないのが多いのですが、


「今のは、錦冠菊にしきかむろぎくだ」

「次のは飛遊星ひゆうせいか」

「これは昇曲導付青銀乱錦冠菊のぼりきょくどうつきあおぎんらんにしきかむろぎくだ!」


 とか、映像を見て言うわけですね。なんかすごい世界だ。


 花火ファンには有名な資格で、その試験のために毎年県外から多くの受験生が集まるらしいです。


 合格した人は、秋田県の花火資料館「花火庵」に、木札で自分の名前が残るらしいですよ。


 興味のある方はどうぞ。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る