第88話 身長は、朝のうちに測ると少し高い

 人間の体は、脳味噌が詰まった頭蓋骨を背骨で支えているわけですが、成人の頭の重さはボーリングの球くらい重いのです。

 

 背骨さん、かわいそう。頑張れ背骨。


 まっすぐ立った状態で、頭の重みで上方向から押しつけるように背骨に負荷を与えていると、一日の終わりに少し身長が縮むらしいです。


 背骨は、軟骨をクッションにして、頸椎けいつい7本、胸椎きょうつい12本、腰椎ようつい5本、計24本の骨が繋がって出来ています。

 直立姿勢では、ぎゅっと上から圧迫され、骨の継ぎ目の軟骨部分が圧縮される格好になります。その分、数ミリですが、身長は低くなります。


 寝た姿勢になると、軟骨の圧縮がなくなり、元の身長へと自然に戻ります。

 要するに、夜寝て、朝起きた直後に身長を測ると、それが本来の身長であり、昼間や夕方に測るよりも数ミリ高い結果になります。


 これはもちろん、地球の重力があるから起こる現象であり、スペースシャトルで無重力の環境下に暮らす宇宙飛行士などは、軟骨の圧縮がまるで起こらないため、地球に帰ってきた時には数センチも身長が伸びていた人もいたそうです。


 予備知識として、将来宇宙飛行士になる予定は無いけれど、ほんのわずかでも身長を伸ばしたい人にオススメな情報。


 地球は、完全な球形ではなく、わずかに「楕円」だって知ってました?


 ものすごく極端に言うと、赤道のあたりを左右に引っ張ったような、アーモンドみたいな形に歪んでいるのです。

 そんないびつなリアル寄りの地球儀を作っても、気持ち悪くて誰も買ってくれないでしょうけど。


 星の中心に向かって重力が働いているとすれば、直径が異なる場所ではその数値に差が出ます。


 楕円で歪んでいる部分は、重力が微妙に異なり、地球の中でも「重力が少し強い場所」「重力が少し弱い場所」という差が発生するのです。

「回転楕円体」である地球の中心から、北極(あるいは南極)までの距離はおおよそ6357km。

 地球の中心から赤道までの距離はおおよそ6378kmという、長さの違いがあります。


 日本国内で言うなら、北海道の方が、沖縄よりも、重力が0.15%強いということになります。


 家電品店で購入できるデジタル体重計などには、「初期設定」の中に「地域設定」という項目を登録する機種があります。

「なんで住んでいる場所が体重計に関係あるの?」と思う人もいるかもしれませんが、都道府県により、発生する「重力の違い」の誤差を自動修正するためなのです。


 つまり、北海道や東京にいる人が、沖縄に行って身長や体重を測れば、身長は高いし体重は軽い、という測定結果になるってことです。


 ほんのわずかですけどね。

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