第57話 「ノスタルジー」は医学用語だった
「ノスタルジー」という言葉を聞いたら、あなたは何を想像するでしょうか?
私は、ぼんやりと、小学生時代の夏休み、虫取り網を持ってカブトムシを取りに山に入ったことや、駄菓子屋でアイスを買って、店先のベンチで食べたことなど、子供の頃の無邪気な記憶を思い出します。ベタですけどね。
「ノスタルジー」あるいは「ノスタルジア」は、故郷を想ったり、過ぎ去った時代を懐かしむ意味の言葉です。
元々は、戦場の兵士たちの、心の病を指す造語でした。
1688年、スイスのバーデル大学の精神科医、ヨハネス・ホーファーは、「帰郷」を意味する「nostos」、「心の痛み」を意味する「algos」、2つのギリシャ語を元に「
それは、ヨハネス・ホーファーが診断し、研究中だった「故郷に帰りたいと願っているが、叶わないかもしれないということを恐れる心の痛み」の症例についてでした。
特に18世紀から19世紀にかけて、戦場に立つ前線の兵士たちの中に、その「ノスタルジア」が蔓延。
この現象は、戦況が不利な時に発生し、兵士たちの間で感染していきます。
生死にかかわる状況で、勇気を鼓舞する必要がある時に「ノスタルジア」は現場の士気に強く影響します。
精神病理学の研究対象として、兵士たちの心を治療し、その病を排除する方法が検討されました。
時代と共に、「ノスタルジア」は医学的な精神疾患としての意味は薄れ、単純に「故郷への帰郷の想い」の意味が強い言葉として残りました。
今では、失われた過去や時代を懐かしむ意味合いも付与され、「ノスタルジア」は使われています。
ちなみに、「ノスタルジー」はフランス語で、「ノスタルジア」が英語です。意味は同じですが。
対義語として、故郷に帰ることを恐れる「
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