第38話 間違えやすい漢字の区別

 これから、この文章をお読みいただく方の中で、ハギノさん、あるいはオギノさんなど、「萩」「荻」の字が入っている方。


 先に謝罪しておきます。大変申し訳ありません。


 私、いまだに、「萩」と「荻」、「はぎ」と「おぎ」の漢字がごっちゃになって混同してしまうのです。


 名前で「荻原さん」とあると、「えーっと、ハギワラさんだっけ、オギワラさんだっけ……」と悩んだり、名前を代筆するような場面に、「オギノさん」と書くつもりで「萩野」と書いて、オギノさんからは「これじゃハギノだよ」と注意されたり、ということがありうるわけです。


 自分なりに、「良い覚え方はないかな」……と考えた結果、「萩(はぎ)」という字は、草かんむりに「秋」ということに気付き、「はぎ」と「あき」、母音が一緒になるので発音する時の口の形が同じ、と覚えたらよいのでは、と思った次第。


 草かんむりの下が、けものへんに「火」と書くのが「荻(おぎ)」。


 この字を含む苗字の方、この字を含む地名の方、いまさらな話で、本当にすみません。


 もうひとつ、間違えやすい字として、「微分積分」や「微妙」の「微(び)」の字と、「特徴」の「徴(ちょう)」の字。


 「微」「徴」と並べて見ると、よく似ています。


 これに関しては、昔、学校の先生に言われたことがあります。

 言ったのは、数学を教える中年男性教師でした。


「いいかお前ら、将来、微妙の微の字と、特徴の徴の字で、似ていて迷ったら、今日のこの話を思い出せー。微妙の微の字は、微分積分の微でもある。数学に使う字には、円周率を示すπ(パイ)が入ってるんだよ。これさえ覚えておけば、もう一方の字と混同することはなくなるからな」


 確かに「微」と「徴」の文字としての差は、中央下部分の「π」と「王」の部分だけが異なっており、「数学に関する方に、πが入っている」と覚えておけば、「πのある方……微分積分の微だ!」と、区別して思い出すことができます。なにげに助かるアドバイス。おかげで、「微妙」や「特徴」と手書きで書く時も、迷うことはありません。


 大人になると、教科書で教わった知識よりも、先生が話していた雑談の内容の方が、妙に頭に残っていたりするものです。


 もうひとつ、よく似ている字について。


「杮」という字、なんと読みますか? 


 これ、「かき」ではありません。「こけら」です。

(環境依存文字なので、機種や文字表示設定によってはちゃんと表示されていないかもしれません)


 木へんに、「市(いち)」と書くのが、木に実る果物の「柿(かき)」。

「こけら落とし」などで聞く「こけら」の方は、「市」の字の上部分が点ではなく、上から下まで中央に突き抜けた一本の線となっています。

 ぱっと見た目で分かりにくいんですけど。(フォントによっては、ほぼ見分けがつかないこともあるようです)


 更にもうひとつ。「いこみき」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?


「已己巳己」と書きます。

“よく似ているもの”を例える時に使う言葉です。


 三種類の字が使われており、二文字目と四文字目は同じ文字です。

 

 「己(おのれ)」という字や、干支の蛇年で「巳(み)」は見たことあるかもしれませんが、一文字目、縦棒が中間で止まっている「已(い)」は、あまり見ない字ですよね。

 字の下手な人が書いたら、どれがどの字やら、ワケが分からなくなってしまいそうです。


 私の友人に、「お洒落(おしゃれ)」という字の二番目の字を「酒(さけ)」と勘違いして(横棒一本あるかないかで別の字です)覚えていた人がおり、そんなエピソードで思いついた、間違えやすい漢字の話でした。


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