第6話② 茂美、47歳の恋(2)

17歳の夏。

田舎の神社の境内。


田んぼの真ん中にある小さな鎮守。


大きなケヤキの木を背にして。

私は貴方に抱かれ、キス、していた。


初めてのキス。

貴方もそうだった。


レモンの味がすると。

ずっと夢見ていたけれど。


なま温かい唇の感触と。

少し、しょっぱい唾液の味。


でも。

凄く、興奮して。


ギュッと。

貴方の背中を抱きしめていた。


大好き。

心の中で何度も呟いていた。


セミの声。

木漏れ日が枝の葉から眩しく注いでいた。


静かな時間が過ぎる。

でも、貴方の手が胸元を。


その時から。

怖くなった私の心が。


貴方を遠ざけてしまったんです。


幼い恋心。

貴方を嫌いになった訳ではなかった。


只。

怖かったのです。


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