23.精算と勧誘

魔力量と属性について一悶着あったが、「なんだか凄く多いのだ」の一点張りでやり過ごし、『アダマンタイトの絆』の皆んなと冒険者ギルドに着いた。



それぞれ精算で、とオークが5体分の肉が含まれてます。と言うと素材をいつかのようにラルドさんがマジック袋持ってきて、鑑定してg数調べて貰いつつ、数量数えて貰いながら移動。キノコもキラービーも蜂蜜も出すと、だんだんジト目になったラルドさんとタフィーさん。



「アキさん、量もさる事ながら、この入れ物もなんですか?」

「おうそうだぞ。こりゃいいや。解体も魔法でできるって言ってたが、見事なもんだな。俺らの仕事はこれから部位に分けるくらいだわ!」

「なかったから、作った。注ぎ口あって便利っしょ?」

「そうですけど、これ下手したら商人ギルドか職人ギルドから勧誘来る案件ですよ?」

「そう?もう2つギルド入ってるし、もういいかなー。」

「もう、驚かせられてばっかりです。あと、口調!朝までと違いません?」

「ーーーーあ。猫被り忘れてた。」

「猫被ってたんですか......素敵紳士かと思ったのに.....私の純情返して下さい!」

「あっはは知らね。」



アダマンタイトの絆と話してたからすっかり忘れてたわ。もーこれで行けば楽だしいーや。何のための猫被りかは不明。幼馴染が面倒くさくなると楽観的になるのやめろとか良く言ってたけど、こういうとこだよなー。


精算はそれぞれ済んで、アダマ.....もうこれ長いから面倒だ。ブラウンさん達、でいーや。ブラウンさん達からはとても感謝された。「ポーション代」とだけ言って大銀貨1枚渡されたんだけど、いや!多いよ!と言うと、あのポーションは相場だと言われた。ーーーそーなの?本気にするよ?これからの参考にするよ?と念押しして聞くと、本当だ!と返ってきた。なら素直に貰っとこう。



そういう訳で、最後に俺の精算の番。まずは依頼達成の手続きをして貰い、精算。こちらのお金を日本円に頭の中で計算し直しながら聞いた。えー、


ゴブリンの討伐報酬34体×3千円と、魔石は10個自分用にして24×4千円=19万8千円。

キノコ類は各30個、計90個×300円で2万7千円。

キラービーは115匹だけど針と魔石は10個分自分用にしたので、105×針5千円で52万5千円。

105×魔石千円で10万5千円。

キラービーの蜂蜜はあんまり大量でも困るかな、と半分出して6500g×10個÷100gで650万。

オークは肉だけなので、自分用に少し取り分けて、討伐報酬1体5万円と、肉320kg÷100g×200円で64万円。

〆て804万5千円。



おお、お金持ち。

だがしかしここ最近のマイナスを数えると30万弱しか儲けてないって俺ある意味凄くない?



ーーーーーーーーーーーー


冒険者ギルドから出ると、さっき別れたばっかりのブラウンさん達が待ち伏せてた。明らかに待ち伏せだあれは。仁王立ちして腕組んでるもの。ーーーハク君以外。君はいい子だよ。真っ直ぐ育ってね。



「何ー?俺を待ち伏せー?俺ボコられるのー?」

「「「なんで(だ)よ!」」」



直ぐに突っ込まれた。だって待ち伏せ=ボコられコースかと。



「じゃあ何の用ー?さっきバイバイしたでしょー?ポーション販売も3日後に5本用意しとけばいいって話したし、洗浄魔法もその時に、場所は俺の泊まってる宿に来てくれるって話しだったじゃーん?」

「いや、よ。ほんじゃま、解散、て流れには一度なったんだけどよ。アキとは気も合うし、これからも一緒に依頼受けねーかと思ってよ。俺だけの意見かと思ったんだけど、皆んなそんな思いだってんで.....。」



しどろもどろ、の表現が正しい言い方で、シグナルさんがそんな事を言う。

俺は正直ビックリして、キョトン顔だ。



「「う。その顔可愛い......!」」



......サルビアさんが言うのはいいけど、ハク君が言うのは可笑しなセリフじゃない?

キョトン顔から怪訝な顔をハク君に向けると、サルビアさんもハク君に怪訝な顔を向けてた。



「やだ、ハク、好きな子いないとか言ってたけど、まさかそっちの気が......?」

「ち、違う!ア、アキ君は女の子みたいな顔してるから......!えっと、そうじゃなくて!えっと、つい!つい漏れたって言うか!」

「ーーーうん、アキが女の子だったらいいのにって言われた事は何回かあるから、言いたい事は何となくわかったわ。ーーーそれで?皆んな、俺の事メンバーに勧誘してくれてる訳?」



そう聞くと、皆んなブンブン頷く。ちょっと面白い。



「ーーーうーんと、俺、結構自分勝手で、やりたい事沢山あるんだ。例えばポーション作成とか、例えば素材集めとか。本と料理が好きだからそっちに没頭したくなるかもしれない。別行動になる事もあると思うんだけど、それでも誘ってくれる?」

「ーーー予定も考慮にして欲しいところではあるが。」

「予定の相談はするよ!」



俺も楽しかったし、仲良く冒険者するのも悪くない。1人は寂しいしね。

でも我慢はしたくないから、最初に我が儘を認めて貰いたくて色々言ってみるーーーと、ブラウンさんが困った顔をして自分達の望みを言ってきた。それは勿論、応相談で!



「じゃあ、仲間入りだね!あ、仲間だからって、洗浄魔法にポーション販売は正規値段で請け負ってよね!」

「そうだな!親しき仲にも礼儀ありだな!」

「あ、その言葉こっちにもあるんだ?」

「こっち?」

「俺ねー、「悪戯精霊」?にここに連れられて来たみたい。ここから南の森の外に出たから、近くの街はー、と思ってここに来たんだよ。」

「マジか。髪黒いし、ヤマト大国か?」

「ヤマト大国って閉鎖的って聞いたんだけど割と知ってるね皆んな?」

「まぁなー。そうかヤマト大国か。そりゃ遠いなぁ。帰んなくていいのか?」

「俺何処でも楽しくやれるから。」

「あ、そんな感じはする!」



あっははと皆んなで笑いあう。

ヤマト大国出身だとは肯定はしないどく。ミスリードでそう思っていればいいと思う。

今よりすっごく仲良くなったり、話さなきゃいけなくなったり、とにかく言いたくなったりしたら、俺が何なのか話そうと思う。だいたい、いきなり言われても、だよね。



こうして仲間が出来た。

ギルドにUターンして、メンバー登録をし、今度は宿屋をどうするかで揉めた。ギルドのテーブルと椅子を借りて、しばし宿を一緒にするか一緒じゃないと不便だってんで談議。


俺はあと6日分先払いしちゃってるし、皆んなが泊まってる宿はワンランク上らしくお風呂が入れるとかで。お風呂魅力的だよねー。浸かりたい。

そのお風呂は入ってる人多くないのか聞いてみると、10人くらい入れる浴場で、ちゃんと男女に分かれていて、循環と洗浄の魔法陣が施されていていつでも綺麗だから、時間差があるのか多くて他に4人くらい、だそうだ。


ただ、洗濯は受付していないそうで、みんなクリーニングに出すようになっているらしい。洗浄魔法のあれか。返ってくるのも1週間と長く、困ってるそうだ。

そこは『枕の誘惑亭』の方が待遇いいな。

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