【祝一万PV!】氷姫と呼ばれている最強(最恐)マドンナが実はただのコミュ症で、無自覚ヤンデレということを俺以外知らない……?
風鈴 美鈴
甘い恋人
第1話 始まり
神楽 天音(かぐら あまね)──きっと、この名前を聞いたことがない人はここ、如月学園にはいないだろう。
彼女は氷姫……と呼ばれている学園のマドンナで、かっこかわいいイケ女だ。
ちなみに喧嘩がめちゃくちゃ強いっ。
一度俺も助けてもらったことがある。
あの時の天音先輩はすっごいかっこ良かったなぁ……。
そして今日の放課後、俺はこれから天音先輩に告白をする。
噂によれば天音先輩はいつも放課後に残って一人教室で読書をしているらしい……?
確か天音先輩は2年A組だったはずだ…。 まあでも、間違っていても探せばいいかな?
そう考えながら俺は天音先輩のクラスに向かった。
他のクラスでは教室で残って友達と話したり、友達とゲームなどをしている人が多いらしい(俺はボッチですぐに帰るから知らない)が、天音先輩のクラスは氷姫が残るため、みんなすぐに帰るという。
だからこれから俺は、誰もいないであろう教室で、天音先輩に……告白をするのだ。
まあ、天音先輩のことだ………俺の告白を冷たく断るかもしれない。……いや、もしかしたら話すら聞いてくれないかもしれない。
でも、それでも俺は伝える。後悔など絶対にしない。
彼女に俺の思いが伝わるだけで十分だ。
それに、この気持ちが変わることもない。
そう覚悟していたから、だから俺は………「天音先輩…俺と、付き合ってくださいっ」「……!ふえっ?」
「……は?」
顔を真っ赤にして驚く天音先輩を見て……すっとんきょうな声を出してしまった。だって、彼女がそんな人だとは思っていなかったから。
「あ、え、うぅ」
天音先輩はいまだに顔を真っ赤にしてうろたえていて、必死に文庫本で顔を隠そうとしていた。
……天音先輩、隠れてないですよ。
可愛らしい。……正直、ずっと見ていたいけどそういうわけにはいかなかった。
おそるおそる俺は天音先輩に声をかける。「………あ、の?返事って貰えたりしますかね?」
「!あ、ち、ちょっと…待って、ええと…」
ん?そもそも、なんで彼女はこんなにうろたえているんだ?
ふと、そんな疑問が浮かんだ。
噂によれば天音先輩は──
「天音先輩?今さらなんでそんなにうろたえているんですか?」
「え、な、何のこと?」
「だって噂によれば、天音先輩……今までに百人以上に告白されたって……?」
「えっ!?し、知らない。私っ何も知らないっ……」
「告白されたことなんてこれがは、初めてだよ……」
ふむ。噂は所詮、噂だった訳か。天音先輩が嘘をついているとは到底思えないしな。
ここは信じるとしようか。
「……というか君、罰ゲームとかじゃない?大丈夫?」
な、なんか急に心配された?でも、これだけは伝えないと。天音先輩が不安になってしまう。
「ははっ。ちがいますよ。俺は、自分の意思で告白したんです」
俺がそう返すと、天音先輩の顔が一瞬で赤く染まった。
それをごまかすように天音先輩がまた文庫本で顔を隠した。
「………あ、りがと。で、でもっ……き、今日は無理。後で返事、絶対するから……」
「わ、私っ。もう帰るね……さよなら」
天音先輩はカバンに文庫本を突っ込むと走って教室を出ていった。
俺も帰るか、と思い、扉の方に向かうと何故か天音先輩が戻ってきた。
「は、はぁ。な、名前聞いてなかった、ね」 「ああっ。確かに言ってませんでしたね。俺は日向 葵(ひなた あおい)です」
「……そ、う。ご、ごめんね…今度こそさようなら」
少し余裕ができたのか天音先輩は微笑むと今度こそ去っていった。
────────────────────
告白からすでに数日が経っていた。いまだに天音先輩から返事はきていない。
ちなみに一応、進展はあった。まあ、あったといってもすれ違ったら天音先輩の方からあいさつをしてもらえる程度だが。
そんなことを考えながら下駄箱を開けると何故か一通の手紙が入っていた。
イタズラかといぶかしげに思いながら手紙を開くとそこには……
『放課後屋上に来て下さい。待っています』
とだけ書かれていた。宛先も、名前も書かれておらず、紙の真ん中に本当にポツンと書かれていた。
今は冬だ。今年は去年に比べて雪こそ無いものの、すごく寒い。
正直待たせるのは得策ではない。…だからここは行った方がいいのだろう。
俺は手紙をカバンにしまいながらいつものように教室に向かった。
────────────────────
──放課後
俺は屋上に向かっていた。なぜなら俺は約束だけは守るやつだからだ。
俺はいい子だからな。
そして………屋上にいたのは───
「あ、まね先輩?」
他でもない、天音先輩本人だった。
「……なんで?」
「あ、あ、あ……こ、こく……。へ、んじ」
しどろもどろになっていたが………まあ、言いたいことはわかった、うん。
そして天音先輩は顔を真っ赤にしながらもゆっくり、ゆっくりと言葉を紡いでいく。
「数日、考えて、ね?君……葵君と付き合ってみたいなって。」
天音先輩は真剣な顔でしっかりと俺に伝えてくれる。
「私、コミュ症だし……付き合ったこともないからわからないことが多いかもだけど……こんな私でも良かったら」
「もっ、もちろん無理にとは言わないし嫌いになったならそれで……」
確かに、彼女は俺が好きになった天音先輩とはちょっと違うけど……
「嫌いになんて、なりません。確かに俺は、あの時いじめから助けてくれたかっこいい天音先輩を好きになりました。でも、俺は天音先輩を好きになったんです。もちろん、俺はどんな天音先輩でも受け入れます」
俺は天音先輩が好きだ。それが変わることはない。
その気持ちを伝え終わるころには、天音先輩は泣いていた。
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