第6話 忍者の掟と特性。

サスケに忍者の掟を教えられた。



『自分が忍者と言う事を誰にも知られてはいけない』



知られてはいけないって……直ぐバレるんじゃね?

「忍び同士なら問題無いが、もし忍びではない者にお主が忍びと知られた時……」


何だ?

そんな溜めるなよ!


「全ての忍びがお主を殺しに行く事になる」

「マジで!?」

それは無理ゲーだろと思い項垂れる。


バレちゃいけないって事は、店で忍者装備も買えないって事でしょ?

しかも、他のプレイヤーや住人NPCの前で、忍術を使えないって事じゃん。


……やっていけるのか?



「これを使ってみろ」

そう言ってピンポン玉程の蒼いガラス玉を差し出してきた。

受け取るがこれが何なのか分からない。


「これは?」

「それは【看破】のスキルオーブじゃ」

えっ、マジで?


「……どうやって使えば?」

「握って使うと念じれば使える」

言われた通りにすると、玉は光になって手に吸い込まれていった。


「それでワシを見てみるんじゃ」

良く分からないが言われた通りに、サスケを見ながら心で【看破】と唱えると、目の前にウィンドウが出てきた。



名前:???

職業:忍者

クラス:???

状態:???

HP:???/???

MP:???/???

スキル:???



職業しか見えないんですけど?


俺が首を傾げているとサスケが口を開いた。

「職業しか表示されんじゃろ? それが忍者の特性じゃ」

忍者の特性……。

「換装してみろ」

言われた通り【忍換装】を念じると、服装が真っ黒な忍び装束になった。



自分の身体を見て思った。

ザ・ニンジャ装束だ!

「頭巾で頭を覆ってるのに視界は全然変わらないな」

「それも忍びの特性じゃな。 今後、忍びの装備を新調したい時は、お主にやった巻物で行うのじゃぞ」


俺はインベントリから巻物を取り出し使うと念じる。

すると、巻物が手から離れ目の間で浮きながら開かれると、専用ウィンドウが現れた。


「なるほど、ここで弄るのか」

忍者の頭や身体と言った部位事の装備をここで変えるって事だな。


「【忍換装】をして忍者になっておる間は、どんな能力で見ようと職業しか表示されんからよほどドジを踏まぬ限りバレる事は無いじゃろ」


これなら何とかなるかな?

もう1つ、気になっている事を聞く。



「装備を店で買えばバレるんじゃ?」

「そりゃ普通の店で普段の格好をして買えばバレるじゃろうが、そこは安心せい」

まさか忍者になって店に行けってか?


「世界中に忍び専用の店が点在しておる」

「マジで?」

「普通では分からん所にあるがな、忍びの巻物を持っておる者なら辿り着けるようになっておる」

そんな店があるのか。



「その者たちは忍びとして前線を退いた者達が殆どじゃ、後輩のためにと支援しておる」

パイセンありがとう!

「店で買うのも良いが、自分で作る事も覚えた方がよいぞ」


生産スキルを上げろって事かな?

まあ、鍛冶とかはやりたいし、生産スキルも上げるか。



「忍びは俗世に溶け込み真の姿は誰にも知られぬ存在、決して油断するなよ?」

さっきまでの雰囲気からガラッと変わって重い雰囲気が流れる。

助言として受け取っておこう。


「分かりました! ありがとうございました!」

お礼を言って頭を下げる。


するとサスケが右手を差し出して来たので握手をする。

その瞬間、握手をしている手の周りに変な文字が連なって現れると、直ぐに光の粒子となって消えた。


「これで、忍びの誓は交わされた」

忍びの誓とは何ぞや?


サスケが言うには、忍者同士が握手を交わす事でお互いがその者が忍者であると、他の者に言えなくなると言う契約で、もし誰かに言えば言った者が処分されるらしい。


これから握手しまくれば、誰が忍者か分かるのか。

「では、いつでも見ておるからの」

その言葉を残し目の前から、霧が風で流れていくかのように姿を消した。


「かっけー!」

あんなスキルもあるのかぁ。

是非俺もやってみたいぞ。



とりあえず元の姿に戻してと……早く普通の服が欲しい。

昔の日本に居るみたいで何とも言えない。


どこかで先に服を買おう。

あっ、金が無いや。

どうにかして金を稼がねば……って、いつ街に転送されるんだろうか?

さっきから待っているんだけど中々転送されない。



「もしやここから自力で行けと?」

これはチュートリアル的な物で、終わったら始まりの街的な所に送られるんじゃねぇのかよ!


「マジかぁ……あっ」

そう言えば、クエストが終わったからマップも使えるようになってるはず。




マップを開くと辺り一面森だった。



「どっちに行けば街があるんだよ」

誰か教えてくれ……。


いや、俺は忍者になったんだ。

それくらい自分で見つけろって事だろうな。


「ん~……西に行ってみるか」

何も無けりゃ方角を変えればいずれ人の集まる場所を見つけられるはず。

そう決めて、西へ向かって歩き出そうとして思い出した。


【偽装職】普段の職業は侍にしておこうかな、この格好だし。



名前:キジ丸

職業:侍

クラス:荒くれ者

状態:普通

HP:354/354

MP:100/100


スキル:職業・【斬法5】

    特殊・【魔力制御5】

    技能・【刀術5】

称号:異界者、サバイバー。



これなら見られても大丈夫。

では西へ向かってGO!


その前に、枝を削って木刀を作りインベントリに入れる。

武器が無いと怪しまれるからな。

インベントリが使えるって滅茶苦茶便利だね。


ちなみに、称号の異界者はプレイヤーである証拠で、サバイバーは野営での回復量が増える効果がある。






その後、俺はひたすら森の中を西へ向かって走る。

暫く進むと大きな猪と出会ってしまった。


こいつで自分の実力の程を測らせてもらおうと思い、インベントリから木刀を取り出し、茂みの中から飛び出した。




ちなみに本来のステータスはこうなっている。


名前:キジ丸

職業:忍者

クラス:下忍

状態:普通

HP:354/354

MP:100/100


スキル:職業・【忍換装】【偽装職】


       【戦闘術1】【分身術1】

       

       【空蝉術1】【隠密1】

    

    特殊・【暗視】【魔力制御5】

      

       【看破1】

    

    技能・【石工6】【木工8】


       【細工5】

    

    耐性・【空腹4】【打撃5】


       【斬撃6】【刺突8】

       

       【恐怖8】【精神10】


称号:異界者、サバイバー。



スキルの横にある数字はスキルレベルだ。

暗視、技能、耐性スキルはサバイバルの結果だな。

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